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21世紀の国際法秩序 ポスト・ウェストファリアへの展望
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 東信堂 |
発売年月日 | 2011/04/30 |
JAN | 9784798900087 |
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21世紀の国際法秩序
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この本は、以前同一の翻訳者によって出版されたものを題名を変えて、翻訳をブラッシュアップして再版されたものである。私は両方とも読んだが、やはり新訳だけあって、大変に読みやすい。 その点を考慮してもなお、決して読みやすいとは言えない。 理由は大きく二つに分けられるであろうか。一つ...
この本は、以前同一の翻訳者によって出版されたものを題名を変えて、翻訳をブラッシュアップして再版されたものである。私は両方とも読んだが、やはり新訳だけあって、大変に読みやすい。 その点を考慮してもなお、決して読みやすいとは言えない。 理由は大きく二つに分けられるであろうか。一つにはフォークの語り口が自身が述べたことをすぐに否定するかのような個所が散見される。 法が政治の駆け引きの道具として使われる中、法のよって立つ位置の微妙さ加減を、またその位置を守るむずかしさをよく表している。 論旨は必ずしも明確ではないが、注意深く読めば、細い一筋の道が見えてくる。地政学に翻弄され、国家と国家のはざまで押しつぶされそうになりながら、大国、ほとんどの場合、民主主義を独自に都合よく解釈し、それを隠れ蓑とするアメリカをはじめとする西側諸国に結果的に与する誘惑に駆られつつ、そこから距離を置いて客観視しようとする、国家間の紛争を裁くものに必要な姿勢を彼は説く。しかし、理想主義に陥りすぎても現実的でないとする。法に愚直に頼りすぎると、現実的な判断ができなくなるとする。 今一つの理由は、主にこのレビューを書いている私自身の知識不足によるものであるのだが、アメリカのほかの諸国に対する介入とそれに対する国連、および世界の反応を知らな過ぎることである。我が国の報道も今に至るまで、アメリカ、もしくは西洋世界は善、それに異を唱える者は悪という姿勢であり、我々は物事を公平にとらえることができない。昨今はインターネットの普及で、様々なニュースソースにアクセスすることが可能になってきたが、我が国のジャーナリズムの趨勢は、いまだに旧態依然とした感覚から抜け切れていないようである。もっともそれには経済的な要因が深くかかわっているとは思うが。 本書に出てくる「ハードロータス」、「ソフトロータス」であるが、明文化されていないことは、何をしても許されるという考え方は、何も国際法上の行動にとどまらない。国内法の事柄であっても、法は我々を規制するものであり、常に抜け道を探すのが推奨される。法曹界に身を置く人々、法を運用する人々にもこのような態度が見られ、人間の本質かとも思える。 それにしても、と思う。法学者として彼は非常に理性的だ。かつてはベトナム反戦運動に深くかかわったらしい。私は世代的に知らないが、ある世代には非常な有名人らしい。ただ、彼は純粋なアングロサクソン系だという。アメリカ人としてアメリカを、そして世界を客観的に見て、政府に対しても物怖じをしない言動をしている人が何人かいるが、そのどれもが、オリジンにマイノリティを持っている。ノーム・チョムスキーしかり、エドワード・サイード然りである。彼のオリジンにもマイノリティがいるのだろうか。 時期は中東の民主化のさなかにあたるが、その後、リビアの問題もカダフィの死という形で一応の終結を見た。一般には文句なしに歓迎ムードのようであるが、しかし、私はこれはNATOによる介入であると思う。その他、国際法的には大変な問題を含んでいると思う。翻訳者は国際法をアカデミックに研究してきたと聞く。翻訳者には、ぜひ法的立場から日本に住む我々にわかりやすく、政治的介入と国際法の問題を議論してほしいと思う。
とらくま