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キス 徳間文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 徳間書店 |
発売年月日 | 2011/05/06 |
JAN | 9784198933623 |
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キス
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商品レビュー
3
2件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
最後の一作がなかったら確実に、評価はマイナスをつけていたと思われる。 偏愛的作家の西澤さんなのですがどうも、あたしの愛はこの人の論理的な運びに向けられているので、どうもその要素の有無で作品の善し悪しを決めているキライがございます。ま、人はそれこそを好みと言うんだろうけど、あたしの場合それが極端。洋服のブランドとかもそうなんだけど、この人の作るものすべてがそれ、素晴らしい!と耽溺できないのですよ。 西澤作品で好きなのは、アクロバティックな味の「解体諸因」、奇天烈な「笑う怪獣」、名作中の名作でしょう?「七回死んだ男」、あとはチョーモンインシリーズ。で、この森奈津子シリーズはかなりの難問。「両性具有迷宮」は正直、たぶんそのへんのエロ本よりも強烈なんじゃないかと思う。あたし、カレシがもし本棚をみていてこの本を手に取ったら、腹パンチして気絶させてでも奪い取るね。いやまじで。 んで、今回のこの「キス」ですが、そうか〜よく表紙をみれば良かった。このシロクマですよ。なんといっても「両性具有迷宮」でとんでもないことやらかしてくれたのは。えっと〜過激な描写が多すぎて、高校生とかには勧められないもん。んでその登場人物が多少バッティングする本作も、まずそこから始まります。ははは。今朝東横線でひらいた瞬間、まじで閉じました。朝から満員電車(しかもあたしが乗るのは圧倒的に先頭車両)で読むべきコンテンツではございませんでした。 ただ安心なのは短編なので、最初の1、2作以外、後半は大セーフ。特に最後の「舞踏会の夜」は、シロクマが書いたにしては、しかも生活のために(涙)書いたにしてはもう、最高に切なくいとおしい物語でした。あれいや、第二作目の主人公が書いたのか?(この辺の混乱は実際に読めばわかります。よろしければぜひ) <スノウ・ドラゴン> あらすじ:ひとり宇宙に、死ぬつもりで逃げてきた女性。一人かと思ったらその星には、でっぷりと太って、動くことも飛ぶこともなく、ただ怠慢に生きている竜が存在していた。一人で死ぬつもりだった女はいつしか、毎日ドラゴンに会いにいく。しかしドラゴンの常識と女の常識は噛み合わず、女はヒステリーを起こす日々。 <引用> 「仲間がみんないなくなってしまって、それであなた、よく生きていられるわね?もう死にたいと思ったりしないの?」 (よく判らないな。自ら死を願うとは、どういう意味なのだろう。そんなこと、考えたこともない) 「たったひとりで‥寂しくて‥絶望して、死んでしまいたい‥いっそ自殺してしまいたい、そんなふうに思ったことなんか、あなたはないっていうの?」 (サビシイ‥ゼツボウ‥それらがどういう意味かわからないが、ともかく、きみたちの種は単一個体として取り残されるとそれらの状態に陥る、そう理解していいのかな) <引用終わり> 女はそんな感情を持たないドラゴンに怒り、ドラゴンは自分は自分たちの生命活動を恣意的に停止させる術を持たないと説く。(死は実行するものではなく、待つものなのだ) 女は説明する。人間だってそうだが、人間は自ら作り出した道具があり、それで自ら死を選べるのであると。ドラゴンはこう言う。(まるで判らなくなった。さっきの話からすると、きみたちの種は仲間の個体数の減少に強い拒否反応を示すらしい。それどころか単一個体になると自らの死すら技術を駆使して達成しようとするという。なのになぜ自ら、種の逓減を目的としたドウグなどというものを作ったりするのだろう?) 前半のハチャメチャギャグ、この作品の前の短編の「キス」のエンディングとはうってかわってがらっと、物語は美しくも切ないエンディングを迎える。ネタバレごめんなさい、でもあまりに美しい表現だったので、そのまま引用します。 <引用> 銀世界は静かに眠りに就こうとしていた。異星人同士である竜と女を、そのふところに抱いて。外面も内面もすべて喰い違ったふたりを、いま雪という名の同じ柩に埋葬しながら。 <引用終わり> あたし、西澤作品がすごくすごくすごくスキ。でもそれとおんなじくらい、頭のどっかで、西澤さんは本当は、すごくダークな部分を持っているんだろうって思っている。輝いた優しい楽しい笑顔の下に、どうしようもないどろどろしたなにか。 寂しい気もするけど仕方ない。くらい部分がまるでない、葛藤のない人生なんてありえないかもしれないから。清濁合わせ飲むってまさにこのこと。どんなにくらい部分があろうが濁ろうが、それも含めてあたしはこの作品が、とてもすきになりました。 あなたはオトナですか?であればぜひ、最後の作品だけでも成立するので、お目通したまわれれば幸い。てなわけで今日のとこはこれで、どろん!
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