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メガチャイナ 翻弄される世界、内なる矛盾 中公新書
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メガチャイナ 翻弄される世界、内なる矛盾 中公新書

読売新聞社(著者)

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メガチャイナ 翻弄される世界、内なる矛盾 中公新書

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 中央公論新社
発売年月日 2011/04/23
JAN 9784121021069

メガチャイナ 翻弄される世界、内なる矛盾

¥110

商品レビュー

3.3

5件のお客様レビュー

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2016/01/15

読売新聞社が2010~11年に連載・掲載した、中国関連の特集記事をベースに再構成したもの。 世界人口の約5分の1を占める巨大国家・中国が、そのGDPが2010年に日本を抜いて世界第2位となり、更に高度成長を続けるということは、何を意味するのか。地球の資源、エネルギー、食糧、環境、...

読売新聞社が2010~11年に連載・掲載した、中国関連の特集記事をベースに再構成したもの。 世界人口の約5分の1を占める巨大国家・中国が、そのGDPが2010年に日本を抜いて世界第2位となり、更に高度成長を続けるということは、何を意味するのか。地球の資源、エネルギー、食糧、環境、安全保障はどうなるのか。本書では、予想を上回るスピードで存在感を増した中国と、その世界への影響を様々な角度から分析している。 ◆海洋強国を目指す中国は、1990年代に海洋の防衛線を外側に変更。南シナ海では、ほぼ全域の領有権を主張し、実効支配強化の動きを一段と強めている。更に、「真珠の首飾り」戦略で、ミャンマーからパキスタンにかけての複数の港湾建設に関与し、インド洋への進出も図っている。陸においても、ネパール、ロシア、中央アジア諸国で警戒感や脅威論が高まっている。 ◆資源確保のためにアフリカや危険国への投融資が加速しているほか、生活レベルの向上した都市中産階級の旺盛な消費意欲により、世界各地でワイン、肉、魚などの調達が大幅に増加。都市部を中心に自動車や家電の販売が大幅に増加している。一方、人民元相場の固定化により人民元が過小評価されていることが世界経済の不均衡要因ともなっている。約170の国と地域に住む約4,000万人の海外華人と本国の連携強化は、華人居住国の対中警戒感を刺激している。こうした急成長に、国内の環境への取り組みは追いつかず、海洋汚染や温室効果ガス増加などをもたらしている。 ◆若者の海外志向は高まっており、日本の大学・高校での存在感も増している。中国資本の入った日本企業は300社以上、中国人の日本旅行客数や日本で使うお金の額は増加し、中国マネーへの依存度は高まっている。農業分野でも、農産物の輸出先、労働力双方で依存度は上昇している。一方で、中国共産党は、威信低下への危機感から、抗日歴史教育を強化している。 ◆米国では、中国マネーを使った親中派づくりが政治・学術ほか様々な分野で進んでいる。雇用や所得に不安を抱える米国民にとって、巨大中国マネーに依存せざるを得ないものの、その影響力拡大への不安・反発も抱えており、そのジレンマは深い。陸・海・空に続く戦場とされる「宇宙」や「サイバー空間」では、米中が真っ向からぶつかる新たな攻防の舞台となりつつある。科学技術の世界では、米との連携などにより、研究開発力の底上げが進んでいるが、論文盗用や実験結果偽造などを引き起こす、短期的成果を求める社会や文化の変革が求められる。 ◆豊かな生活を追い求めることに忙しい一般庶民の関心は、政治より自らの経済的利益にある。そうした風潮を背景に、当局も平然と政治改革の棚上げを決め込んでおり、天安門事件から20余年を経ても政治体制に大きな変化はない。恣意的な言論弾圧も頻繁に行われている。言語における漢化は進み、少数民族に留まらずに、広東語・上海語の地盤沈下も進んでいる。都市部と地方には異常な格差が存在する。 刊行後4年が経ち、経済発展のペースの鈍化、人民元相場の変動化などの変化は見られるものの、本書の示す内容の傾向に大きな変化はない。現代中国について考えるための網羅的な知識・情報を得るために有益な書。 (2011年5月了)

Posted by ブクログ

2012/08/19

 いろいろと書かれているのでざっと今の中国を知るにはいいだろうが、内容が雑多でどこかでニュースで聞いた以上のものを扱っていないので、これをもとに卒論を書くのは不可能で、あくまでも新聞の延長である。

Posted by ブクログ

2011/10/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読売新聞の連載を纏めたもので中国の発展と膨張を環境、通貨、外交、消費者、国民感情などの視点から多面的に網羅している。 ① 海洋の利権と中国 尖閣諸島沖衝突事件での中国の強硬姿勢は中国の海洋上における対外膨張の一端にすぎないようだ。南シナ海・東シナ海ではベトナムやマレーシアと衝突を繰り返し、インドともインド洋で緊張関係にある。中国は漁船保護を名目に武装した監視船を各地に送っている。マレーシアの排他的経済水域では中国がガス田の資源探査を強硬し、マレーシアも海軍基地を建設するなど対抗している。しかしマレーシアの軍事力のみで自衛するのは難しいため、マレーシアはTTP交渉に参加することで経済面での米国との接近を図った。中国としては米国のアジアにおける影響が強まるのは避けたいがために、米国に対抗すべくより一層に強硬な膨張姿勢をとるといった悪循環が生じてしまっている。 ② 中国マネーと都市生活者の消費行動の変化 中国では食の安全問題に関する報道は規制されているが、富裕層の都市生活者の中国人は徐々に食の安全に関する意識を高めている。その結果として中国都心では日本をはじめとする海外からの輸入食品の需要が拡大している。たとえば日本からは長崎の日本茶葉が県庁のバックアップとともに売り上げを促進し、青森の林檎も安心・安全、高品質を売りに出荷量を伸ばしている。この流れを生かすことは日本の農業の衰退を食い止める手段となりうるかもしれない。またこのことは日本に限ったことではなく、すでにフランスでは成果を上げている。フランスではこの50年でワインの国内消費量が半減し、ボルドーの酒造業者は多く倒産した。しかし中国のワイン消費量はここ十年で二十倍に成長し、日本への輸出額との差を縮めている。近年では中国企業に買収され完全に中国への出荷にシフトした業者も現れ、ボルドーの酒造業者にとって活路となった。  ただ震災後の現在では中国における日本産農作物の風評被害たるや甚大なものであるし、安全・安心を売りに出せるような状況ではないので東北の農業復興の手段としては厳しいだろうと感じた。 ③ 民主化と中国 以前読んだ『ネット大国』のおける日本に対する中国人の国民感情の分析と多くの点が共通していた。若年層は政治などのメインカルチャーの分野で反日感情を植え付けるような教育がなされているものの、サブカルチャーの分野で日本に親しんでいるため大きな抗日感情には結びつかない。あるいは豊かな生活を追い求めることに忙しい中国人は「関心は政治よりも自分の利益。」なのである。こうしたある種の無関心と打算的風潮からも中国の政治体制は変革が遠のいているのである。また中国の総合的国力は天安門事件の1990年代から飛躍的に増大し、対中経済関係の重要性は高まった。なので(劉氏のノーベル賞受賞をめぐるイザコザはあったものの)基本的には欧米からの中国の人権批判の声はかつてに比べて相対的に弱まったのである。この点からも体制に変化がみられるみこみは少ない。

Posted by ブクログ

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