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制度転換期の企業と市場 1937-1955 講座・日本経営史4
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | ミネルヴァ書房 |
発売年月日 | 2011/04/22 |
JAN | 9784623056989 |
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制度転換期の企業と市場
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従来の歴史観では,日本は1945年の敗戦で壊滅し,アメリカの主導で作られた新しい民主化政策が,高度成長期以降の経済発展を可能にしたと考えられてきた。しかし,1980年代以降,「日本型経済システム」の源流を追究するにつれ,近年では,戦後改革のみに高い評価を下すスタンスを見直し,戦...
従来の歴史観では,日本は1945年の敗戦で壊滅し,アメリカの主導で作られた新しい民主化政策が,高度成長期以降の経済発展を可能にしたと考えられてきた。しかし,1980年代以降,「日本型経済システム」の源流を追究するにつれ,近年では,戦後改革のみに高い評価を下すスタンスを見直し,戦時期と戦後期の連続性に注目していく傾向にある。本書の対象時期である1937~55年は,確かに,45年を境界として,民需よりも軍需に対して多くの資源を生産投入していた時代と,連合軍の占領下で極度の物資不足が発生していた時代に区分される。しかしながら,他方で,企業や経営者の意思決定が政府によって大きな制限を受けてきた時代という点では,一貫して共通しているともいえよう。本書は,そのような最近の学界動向に基づき,当該期における日本の企業や経営システムの変容過程を,さまざまなケースから描写することを目的としている。 もっとも,各章を読んでみると,そのような日本企業の変質状況には,全部で3つのパターンがあるような気がする。第1に,戦前から戦時,戦時から戦後にかけて変化を遂げながら今日に至るもので,沢井実が題材とした企業組織の問題(第2章)や,山崎志郎がとりあげた産業金融および銀行の役割(第5章)などが,このパターンに該当する。第2に,戦前~戦時の変化のみを追うことが可能で,戦後には継続しないパターンがある。これには,和田一夫の事例による航空機工業(第3章)や,柴田善雅が研究した日本企業の外地進出(第7章)が当てはまる。そして第3のパターンは,戦前期には大したトレンドを示さないものの,戦時~戦後にその存在感を増幅させていくもので,高岡美佳が検討した衣料品消費や百貨店の動向(第4章)が,その典型だといえる。 このように,複数観察される日本企業の変質パターンをどのように位置づけるかという観点に対して,編者は何か特別にその方向性を示しているわけではない。しかし,太平洋戦争をめぐる連続と断絶について,どこまでが有効であり,どのような点に限界が存するのか,経営史の世界では,今後検討すべき課題なのかもしれない。 なお,章間に用意された関説については,工藤章が,郷司浩平という日本生産性本部の初代専務理事,および経済同友会の有力メンバーでありながら,これまであまり注目されてこなかった財界人に着目している。いまひとつの,軍用機から見たアメリカ戦時生産体制を観察してみた三品和広の論考とともに,非常に興味深い内容であった。 最後に,本書(初版第1刷)では,全体を通じて,誤字・脱字,助詞の脱落,節番号の重複,参考文献の明示忘れといった初歩的なミスが数多く見受けられる。この点については,やや出版が性急だった感を拭えない。少なくとも,「終戦後の1945年1月」(11頁),「三菱水曜会」(60頁),「製鋼一貫メーカー」(201頁)といった誤記は,複数人で査読していれば気が付くはずである。全6巻に及ぶ本シリーズの最後に発表された巻としては,いささか画竜点睛を欠いた気がしてならない。 (2011年度後期における大学院科目「上級日本経済史」のテキストとして,本書を使用。上述には,受講生の意見を一部含む。)
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