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古代バビロニアの歴史 ハンムラピ王とその社会
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古代バビロニアの歴史 ハンムラピ王とその社会

ホルスト・クレンゲル(著者), 江上波夫(著者)

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古代バビロニアの歴史 ハンムラピ王とその社会

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 山川出版社
発売年月日 1980/03/01
JAN 9784634651708

古代バビロニアの歴史 ハンムラピ王とその社会

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2013/11/14

 どうして、羊飼いなのか? 「私に刃向かう者を私は殺し、その武器を砕き、その土地をめちゃくちゃにし、その住民を囚にし、その軍隊を鎮圧した。私に従わぬ者を足で踏みにじった。私はマルドゥク神の戦意を満足させ、かれの敵の(手足を)萎えさせる王。私は敵意ある者を追放し悪を引きちぎり、...

 どうして、羊飼いなのか? 「私に刃向かう者を私は殺し、その武器を砕き、その土地をめちゃくちゃにし、その住民を囚にし、その軍隊を鎮圧した。私に従わぬ者を足で踏みにじった。私はマルドゥク神の戦意を満足させ、かれの敵の(手足を)萎えさせる王。私は敵意ある者を追放し悪を引きちぎり、私の国内(の人々)を豊かな牧場に横たえ、(かれらに)恐怖を吹き込むような者をひとりとて私の民に残さなかった。」 「汝らの主人の家では嘘がつかれることがないのを汝らは知らないのか」  本書を読み始めたのはもちろん、ハンムラビという王に興味があったからだった。ただし、本書の内容は何となく私が持っていたハンムラビ王のイメージを裏付け、詳細に解説する内容のもので、衝撃的な発見があったわけではない。また詳細に解説するといっても、いかんせん4000年前のことであるから残された史料から読み取れることにも限りがある。漠然とした興味を満足させて、いくばくかの知識で補強するのには役立ったが、今なおわからないことはあるし、結局のところ解明されている事項の確認、にとどまった。  ところで、本書では折に触れて史料としての書簡の非有用性が述べられている。記述を目的としていたのではない書簡は、しばしば当事者にとっては自明であることが省略され、したがってそこから読み取れる情報は非常に断片的で得るものは少ない。またあえて書簡に書いて誰かに知らせるからには、それが通常の事態とは明らかに異なる性質を持つからであるので、書簡から当時のありのままの姿を想像することは難しい、とのことである。  筆者の意図したこととは異なるだろうが、それには賛同する。そもそも、人が何かを書き記す時は、それがあまりに自分の日常からかけ離れていると感じるからである。たとえば紀行文にしたって、旅先と自分の住処と共通のものについては誰も書き残さない。自分の服装について書いた旅行記など見たことがない、現地の衣装に身を包んだというのでもないかぎり。  本書を読んで私にとってクローズアップされてきたのは、もともとあったイメージを補強するだけのハンムラビ王についての叙述ではなく、彼ないし古代メソポタミアの王が自分を讃えて『羊飼い』『良き羊飼い』としていることだった。なぜ、羊なのか?  日本に生まれ育った私には、羊は縁遠い存在で、自分を羊飼いにたとえようなどという発想すら出てこないし、それが褒め言葉であるとも感じられない。キリスト教でイエス・キリストが羊飼いになぞらえられているのもなぜだか理解できない。古代バビロニアとキリスト教は時代的に大きく隔たっているが、それでも同じ『羊飼い』なのもわからない。  日本などとは比べ物にならないほど羊が身近であったのであろうことは容易に推察できるし、実際それを裏付ける史料も発掘されているらしい。しかし、身近であることと賛美されることの間にはまだもう何ステップかあるように思われる。なぜ王を讃えるのに羊飼いにたとえたのか?  また、キリスト教との関連はあるのか? ただ同じ価値観が連綿と受け継がれたというには、2000年は長すぎる気がする。少なくとも羊に関する限りにおいて環境の変化があまり見られず、メソポタミア界隈の人々は概ね同一の価値観を共有した、というところだろうか。  だが、肝心のその価値観が私には想像もつかない。羊がただの家畜ではなかったとしたら、メソポタミアの人々にとって何だったのか。家畜としても、どのようにどの程度人の暮らしに関わっていたのか。羊飼いとはどんな存在で、どういう理由で王の、それもおそらくは理想的な王の象徴となりおおせたのか。  同様の疑問は、王笏についても立ち上ってきた。かの有名なハンムラビ法典上部のレリーフには、太陽神シャマシュから王笏を授けられるハンムラビ王が彫られているが、そも王笏がなぜ王権を象徴し得るのかが私にはよくわからない。ただの杖のどこに西洋の人々は権威を象徴するにふさわしい要素を見出したのか。王笏は古代メソポタミアのみならずギリシャ・ローマ世界から今日のヨーロッパに至るまで連綿と受け継がれているようだが、さてあれの何がどういう理屈で王の王たる証左になるのやら。  西洋世界の人間ならば考えるまでもなく自明のことなのかもしれないが、私にはその理屈の欠片も見いだせない。時間があれば追及してみたい。

Posted by ブクログ

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