人は何故、人を殺すのか

田代則春(著者)

• 販売会社／発売会社: 文芸社
• 発売年月日: 2006/10/26
• JAN: 9784286020075

商品レビュー

2008/06/29

2008年6月8日の秋葉原のことは、退廃した非人間的なミュータント【糸糸山秋子風に言うならクソタレ・ボケばかダメ人間】の出現の象徴ということでエポックメーキングなことかもしれません。

それにしても、武藤舞さん初め虐殺された7人の方のこれからの人生を思うと、残念で無念で、申し訳ない気持ちが募り、犯人＝加藤某に対して、はらわたが煮えくり返る思いで一杯です。
実は私も年に4～5回どこかに行ったついでに秋葉原を訪れることがあるので、あの日遭遇していたら、もしかして何か阻止する行動ができたかもしれないなどと考えてしまうのです。

それから、お願いだから犯人の加藤智大を、容疑者と慣習的に呼ぶのは止めてほしい。現行犯逮捕で裁判しなくても明らかにこのすっとこどっこいが犯人なのだから。

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ＴＶで特集番組が組まれ同世代の若者たちが真剣に自分のことのように考えて発言し、新聞・雑誌で識者がもっともらしい貴重な意見を述べる。
いつもの光景ですが、どれも空々しくて心に響かない説得力を持たない感じで、空虚感ばかりで胸が苦しくなるのです。
例によって犯人像を探ろうとあれこれ報道されていますが、案の定くだらない・ろくでもない25年をダラダラと送ってきた奴でしかなく、これ以上の報道はまったく不必要だと思います。

加藤某が、今ぬくぬくと手厚く擁護されて、手ぬるい警察の取調べに鼻歌交じりに自慢げに感傷的に自供しているかと思うと悔しくてたまりません。もっと昔の特高警察よろしく食事も与えず電球を顔に押し付け、もちろん水も与えず、自らが惨殺した人たちの血だらけになった死体の実物がダメなら鮮明な写真と、その場で採集したむせ返る血の死臭を嗅がせて、
どうだオマエが殺した人たちの苦しみが判るか、何の罪も何の関係もなくオマエの手によって命を奪われた人の無念さをどうするんだ、と・・・・・・
・・・この表現は、これを書いていてほんの少しうつらうつらしている間に見た夢の再現です。私がそうしたいなんてことではなく、集合的無意識かもしれません。

それより無念の死で逝ってしまった7人の方のそれぞれの人生を精密に紹介することの方が大事ではないかと思います。

情けない思考の持ち主の加藤智大モデルはあちこちにいそうで、ニセの孤独や絶望を元にまたもや殺戮をやらかして有名になろうと虎視眈々と狙っていそうです。

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問題はきわめて形而下的な現象であるように思われますが、この本はこの事件を初めとする一連の、殺すのは誰でもよかった、という奴らに対する分析の重要な文献の第1冊だと思います。

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闇！そのなかでわれわれは何も見ることが出来ない。より深い暗黒が、いつも絶えない波動で刻々と周囲に迫って来る。こんななかでは思考することさえ出来ない。何が在るかわからないところへ、どうして踏み込んでゆくことが出来よう。勿論われわれは摺足でもして進むほかはないだろう。しかしそれは苦渋や不安や恐怖の感情で一ぱいになった一歩だ。その一歩を敢然と踏み出すためには、われわれは悪魔を呼ばなければならないだろう。裸足で薊を踏んづける！その絶望への情熱がなくてはならないのである。　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　・・・・・・・梶井基次郎『闇の絵巻』（1930年）