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ニーベルンゲンの歌(後編) クリームヒルトの復讐 ちくま文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
発売年月日 | 2011/04/08 |
JAN | 9784480428172 |
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ニーベルンゲンの歌(後編)
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商品レビュー
3.5
4件のお客様レビュー
・第20歌章 エッツェル王がヴォルムスのクリームヒルトのもとに使者を送ったこと ~ 第38歌章 ディートリヒがグンター王とハーゲンを取り押さえたこと
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後半中盤くらいまでは可もなく不可もなくという印象だったが、終盤になって物語の大精算の段階に入ってからは凄みを感じずにはいられなかった。些細なことから憎悪がどんどん膨れ上がっていく様がおぞましい。人間の避けがたい業という感じがした。 こんな悲惨な結末になってしまったのは、バーゲンが...
後半中盤くらいまでは可もなく不可もなくという印象だったが、終盤になって物語の大精算の段階に入ってからは凄みを感じずにはいられなかった。些細なことから憎悪がどんどん膨れ上がっていく様がおぞましい。人間の避けがたい業という感じがした。 こんな悲惨な結末になってしまったのは、バーゲンが訳もなくジークフリートを暗殺したのがいけないだとか、いやジークフリートが無理やりブリュンヒルトをグンターの妃にさせたのが悪いとか、そもそもジークフリートがクリームヒルトと出会ってしまったのが災いの元なのだとか考えてしまうが、そもそもこのように物事の原因を見つけ出そうとしてしまう心の働きが唯一にして最大の元凶なのかもしれない。人間の認知がそうなっている限り、不毛な争いは避けられないのだろうという気がする。そう思えて悲しくなった。不毛な争いを避けられないのなら、そのような世界の中でどのように振る舞うの望ましいのだろうか。リューディガーのような振る舞いだろうか。それともなんだかんだで争いに身を投じてしまったこの物語の登場人物とは違う振る舞いなのだろうか。難しい。
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ドイツ中世の英雄叙事詩。13世紀初頭に成立したと推定されているが、作者不詳。現在まで残っている3つの写本A,B,Cのうち、本書は写本Cを翻訳したもの。18世紀末からのドイツ・ロマン主義運動に於いては「ドイツのイーリアス」とまで評され、広く受容されていった。また本作に取材したリヒャ...
ドイツ中世の英雄叙事詩。13世紀初頭に成立したと推定されているが、作者不詳。現在まで残っている3つの写本A,B,Cのうち、本書は写本Cを翻訳したもの。18世紀末からのドイツ・ロマン主義運動に於いては「ドイツのイーリアス」とまで評され、広く受容されていった。また本作に取材したリヒャルト・ヴァーグナー(1813-1883)の楽劇『ニーベルングの指輪』でも知られる。 ジークフリートは、その挙措の描写が「伝説的な英雄」という記号そのままの没性格的で典型的な、内面の陰翳の無い木偶の如きものだったため、彼に対する興味は殆ど湧かなかった。 興味を惹かれるのは、登場する女たちのほうだ。男の「力」によって肉体を支配された二人の女。女の自意識は、自己の存在価値・自尊心を、自分を性的に征服した男の価値で測るものなのか。自分を所有する男を巡る、女同士の諍いが、男同士のあいだに暗殺劇を引き起こし、女によって唆された男たちがその復讐劇・大量殺戮に巻き込まれる。男の「力」の証明としての所有物以上では在り得なかった女たちの、男に対する【復讐】であろうか。或いは、女を性的所有物としか看做していない男たちが、それにも拘らず女彼女たちの性的魅力に翻弄されて性的客体であるはずの女たちに自らの性的主体性を奪われてしまうことに対する恐怖――「性」「美」「エロス」への恐怖――を、女たちへ投影し返すことで、このような物語が作られるのか。男の恐怖の逆照射としての女性像。この詩が歌われた当時、言葉・語りを独占していたのは間違いなく男たちだっただろう。だとすれば、この物語はそれを語り継いできた男たちからの女に対する【復讐】であろうか。 男の戦闘行為は「英雄的」と称揚され、女が残虐行為をはたらけば「鬼女」と貶める。同じ暴力に対する、暴力主体の性如何による二重基準。一皮剥けば、「力」と「性」に相変わらず支配されている人間。その二つの組合せがヨリ細密に、その表象がヨリ隠微になってきただけじゃないか。
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