秒速5センチメートル(2) アフタヌーンKC

清家雪子(著者)

• 販売会社／発売会社: 講談社
• 発売年月日: 2011/04/22
• JAN: 9784063107395

商品レビュー

2025/10/16

実写版の公開にあわせ、アプリで第1巻分が無料解放されており、続きも気になったため、本作を置いている近所の漫画喫茶を探し、読んだ。

新海誠の初期の代表作『秒速5センチメートル』のコミック版の下巻。映画の第3話｢秒速5センチメートル｣をベースに、補完するエピソードや映画では描かれなかった"花苗"のその後が展開されている。

実写版の鑑賞前に読んだことを後悔するレベルの名作だった(オリジナル展開が良すぎて、実写版でこれを越えられる気がしない)。

純粋な恋心を失ってしまい、いつしか自分の感情や本心すらも見えなくなってしまった主人公・貴樹の描写が見事で、同世代の自分も共感しつつ、強く感情移入しながら読んでいた。

映画では描かれなかった｢秒速5センチメートル｣にいたるまでの貴樹の恋愛遍歴も明かされるのだが、ここもまた(良い意味で)キツい描写なのがすごい。

これだけ読むと、かなり彼を嫌いになりそうにはなるのだが、そこから少年時代の｢心｣を取り戻そうと、過去の自分に向き合うために、突飛な行動へと出る展開が清々しく、彼の今後を応援したくなってしまった。

また、映画では、物語の脇へと追いやられてしまった2人の女性(水野理紗、澄田花苗)を、むしろ、新たな主人公として物語を紡いでいるのも、漫画版の良すぎるポイント。

水野と貴樹の気持ちのすれ違いが丁寧に描がかれるビターな恋愛エピソードは｢アフタヌーンを読んでる！｣と納得させられる解像度で満足度が高かったし、映画では悲劇のヒロインとなった花苗に未来の希望を与えるクライマックスは、新海誠版とは全く異なる前向きな後味を残していたと思う。

この辺りも含め、作者の清家雪子さんの｢女性キャラクターへの愛情｣や｢彼女たちに対する祈り｣が結実したオリジナルな作品になっており、その点では、原作の新海誠版をも越える名作になっていた。

2022/08/13

原作を元にしたコミカライズの第２巻。第１巻は原作に沿って描かれていた世界も、第２巻では少し分岐することになります。しかし、貴樹が追い求めていたものがなんだったのか？原作、最後の場面での貴樹の表情が表したものがなんだったのか？それを、このマンガではとても分かりやすく、マンガならではの表現で伝えることができているように思います。原作を見てから本作を見たからかもしれないですが、「秒速～」が持つ、繊細な世界観を深く感じる事ができました。ただ、最終話はいらなかったんじゃないか・・・。ちょっと、蛇足気味だったような。

2016/12/03

読了。漫画が、良かった。どうしても、わからんのは、そない好きならなんで、と思った。遠距離恋愛はそない大変なのか。なんでやねんという怒りに近い感情が、沸き起こる。メールもできたんやったらもっと意思疎通ができたのではと思った。だから今の「君の名は。」の主人公は立派だなと思う。時空をねじ曲げるのだから。「秒速…」は、なんか、なんか。ぐっとなる。