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誰が小沢一郎を殺すのか? 画策者なき陰謀
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 角川書店/角川グループパブリッシング |
発売年月日 | 2011/03/03 |
JAN | 9784048850896 |
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誰が小沢一郎を殺すのか?
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商品レビュー
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本書の主張を粗くまとめると以下の通り。 国益を追求した政治家・小沢一郎を、それによって利権が侵される国内・外の勢力が結託して政治的影響力をほとんど潰した。 国内の利権勢力の中心は中央官僚機構。実は日本の政策決定のほとんどは官僚機構がになっていて、ほとんどすべての政治家は政...
本書の主張を粗くまとめると以下の通り。 国益を追求した政治家・小沢一郎を、それによって利権が侵される国内・外の勢力が結託して政治的影響力をほとんど潰した。 国内の利権勢力の中心は中央官僚機構。実は日本の政策決定のほとんどは官僚機構がになっていて、ほとんどすべての政治家は政策を打ち出すことはほとんどない。極論すれば選挙地盤へのバラマキしかやっていない。 このようなあり方を小沢一郎は変えようとしたが、アメリカと日本の中央官僚組織が一致協力して小沢潰しキャンペーンを行った。これが表題の「誰が小沢一郎を殺すのか?」の意味。 中央官僚が国の政策を決めるという形は他のOECD諸国には見られない日本独特な形だが、法律のあり方も日本独特。自由な解釈が出来るように作った法律を官僚が恣意的に駆使するという形だ。これらのしくみと官僚が飼い慣らしたメディアを使って、スキャンダルによってターゲットにした人物の影響力をほとんどなくすことができる。 以上が本書の主張の大まかな内容。講演をするたびに「あなたがなぜ小沢氏のファンなのか、私には理解できません」という奇妙な(と著者が感じた)質問を投げかけられたエピソードを紹介していて、このことが、著者に本書を書かせたのかも知れない。 評者の見るところ、本書の説明は非常に筋が通っていると思う。ただし、多くの人の政治観とまったく異なる説明なので受け入れられにくいかも。しかし人々の政治観は、テレビ局を含めた日本の利権勢力のキャンペーンによって作られているのだという説明も本書の中でされている。 評者の意見をつけ加えると、民主党下野後は「野党は頼りない」言説をバラ撒くキャンペーンもされた。いやキャンペーンなどではなく実際そうだったではないかと思う人が多いかも知れないが、自民党政府がいかに拙劣なコロナ対策をやっても、ダメダメなマイナンバーカードを推し進めても「自民党政府は頼りない」という声が聞こえたことはない。この意味を考えれば政治観が変わってくると思う。
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孫崎享「戦後史の正体」を読んで関心をもったもの。発行は民主党政権菅内閣時代の2011年3月。さらっと読めそうだと思ったが、日本人の伝統的な行動にまで踏み込んでいて、結構読み応えがあった。 著者は、日本には憲法も法律もあるにもかかわらず、実際には慣習や不文律の上に成り立っていると...
孫崎享「戦後史の正体」を読んで関心をもったもの。発行は民主党政権菅内閣時代の2011年3月。さらっと読めそうだと思ったが、日本人の伝統的な行動にまで踏み込んでいて、結構読み応えがあった。 著者は、日本には憲法も法律もあるにもかかわらず、実際には慣習や不文律の上に成り立っているという。日本には、独り歩きする権力システムに対して異議を唱え、改革を加えようとする者を阻止する仕組みがある。日本の官僚は、日本の非公式な政治秩序を維持するために、自らが法を支配し、法律を権力システムの枠外に置いている。 日本では、社会の掟に従順であることが権力者の慈悲に報いることであると理解されてきた。明治時代に議会が導入されて登場した政治家は、社会の調和こそが至高な善であるという価値観を汚すものとみなされた。1898年に初めて誕生した政党内閣は4カ月しか続かず、この後に首相になった山県有朋は、内閣が次官や局長の地位を政治家に与える権限をなくし、政党と官僚機構を隔離した。 日本の官僚は、自分の目的を達成するために、法律の中から適切なものを選び出すという習慣を続けてきた。法律は意図的にあいまいな表現を用いることによって、自分たちが自由に解釈できるようにしている。政治資金規正法も条文があいまいに記されていることによって、野心的な政治家に違反があったと主張することができるようになっている。 超法規的な秩序を維持しようとするために用いる手口は、対象とする人物を辱めて世間の見せしめにすることであり、検察が陣頭指揮をとって新聞が支援している。検察は、法務省の記者クラブに情報をリークして記事を書かせることによって、政治家をスキャンダルの対象とする。 自民党が長く政権を維持できたのは、日本の政治システムを維持しようとする保守的な姿勢を検察が支持し、政治資金や選挙などで違反しても騒ぎ立てることがなかったためである。田中角栄は、既存の日本の体制を脅かす存在とみなされたため、ロッキード事件によって逮捕された。小沢一郎も、日本が必要とする抜本的な改革に取り組む能力を持っており、現体制の脅威となりうる人物だったが故に人物破壊の対象となった。 アメリカは、日本が超法規的で非公式な権力システムを存続させることを支援する代わりに、日本をアメリカに隷属させようとしている。鳩山内閣が退陣に追い込まれたのは、アメリカのジャパン・ハンドラーたちと日本メディアのエリートだった。小沢は、対米関係を対等な形にして日本の主権を確立し、非公式の権力システムや超法規的なやり方を撤廃しようとした。 日本には欧米とは異なる伝統的な統治システムがあり、明治以降に導入した欧米式の社会システムは表向きのものであるという指摘は的を得ていると言えるだろう。仮に、その伝統的なシステムを官僚が維持していることを認めるとしても、法律をあいまいなものにして、検察が自らの判断によって政治家の生死を決めているとしたら、現実にこの国の権力を握っているのは検察ということになる。さらには、アメリカがその背後で影響力を及ぼしているとなると、無力感さえ感じてしまう。マスコミが報じる政治家のスキャンダルには裏があると考えなければならない。
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