ぼくから遠く離れて

辻仁成【著】

• 販売会社／発売会社: 幻冬舎
• 発売年月日: 2011/02/25
• JAN: 9784344019508

商品レビュー

2022/02/23

差出人「key」のメールによって、自分の性自認を揺さぶられることになる主人公「光一」。

keyが誰なのかは途中で分かってしまいます。
自分らしく生きるというジェンダーフリーな世の中を見越した作品のように感じました。

2021/08/06

第3の性、これ10年前なんだね。

題材が何であれストーリーテラーとして素晴らしい。登場人物それぞれしっかり描かれているし、文体も細やかで優しい。

keyの正体は予想と違った。でも、しっかり物語のフレームに収まったね。読後感も悪くない。ジェンダー物にありがちな嫌な後味が全くないし、背徳感とか汚さもなく上手くまとまっている。

世間の評価が低過ぎると思うけど、俺はずっと、エコーズの頃から辻仁成大好き。

2013/08/26

タイトルと本文は関連していないようで関連していた。
現状に燻る「君」と第三の性を持つ隣人との話。
一人称が君なことに違和感を感じた。自分は誰でもないというメッセージがあるということも分かるのだけれど。

理解されているようで、されていない人たちが居る事を思い起こさせる。

日常から非常(ある人の中ではそれが日常なのだけれど)への出発。そして見つけるありのままの自分への回帰が丁寧に描かれている。