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音楽史を変えた五つの発明
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音楽史を変えた五つの発明

ハワードグッドール【著】, 松村哲哉【訳】

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音楽史を変えた五つの発明

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 白水社
発売年月日 2011/02/23
JAN 9784560081136

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商品レビュー

4.5

4件のお客様レビュー

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2021/06/24

音楽史を調べていくと、色んな有名アーティストの名前が並んでくるが、その背景には必ず何かしらの発明があり、そこから音楽が変わっていった。 この本を読むとそういったことがよく分かる。 本書では以下の発明を中心に書かれている。 ・楽譜 ・オペラ ・平均律 ・ピアノ ・蓄音機 個人的に...

音楽史を調べていくと、色んな有名アーティストの名前が並んでくるが、その背景には必ず何かしらの発明があり、そこから音楽が変わっていった。 この本を読むとそういったことがよく分かる。 本書では以下の発明を中心に書かれている。 ・楽譜 ・オペラ ・平均律 ・ピアノ ・蓄音機 個人的にはこの中で楽譜、平均律、蓄音機が特に面白かった。 楽譜が発明されたということは、それまで楽譜がなかったということである。 当たり前な話だが、楽譜がない、蓄音機もない状況では同じ演奏を2回以上聴くことができない。 つまり基本的には即興にせざるを得ない。 即興だけでは複雑な曲構成は不可能だし、演奏者自身がそこにいないと、他の場所で代わりに誰かが弾くこともできない。 そう考えると楽譜ってすごい偉大なんだなと思えた。 平均律も同じように、平均律がない時代がある。 平均律ない時代には純正律(正しくはその他諸々)を使用していたが、それでは転調が出来ない! 転調が出来ないというのは曲の途中ではなく、別の曲をやるときにも調が異なればわざわざその調にチューニングした楽器を用意しなければならないという不便さがある。 転調出来るようになんとか上手い具合に調整できないものかと色々試行錯誤してきたらしい。 そして出来たのが平均律。 しかし、これは純正律本来の物理的に綺麗な響きを失う。 それを捨ててまで転調が可能で便利な平均律を取るのか!という反発は多くあったと思う。 それでも、人は便利さを取った。 それによって純正律という響きは捨てられた。 蓄音機ももちろんない時代がある。 ない時代はコンサートホールなどに言って実際に聴くしかなかった。 しかし、レコードの登場でコンサートホールに行かなくても良くなった。 カセットテープ、CDの登場でより気軽に、外でも音楽が聴けるようになった。 そして今はタダで音楽が気軽に聴けるようになった。 ここでも人は便利さを取ったことによって、何かを失ったものがある。 発明によって化学反応が起き音楽は変わっていく。 今はサブスクが主流になったが、これによってまた何か化学反応が起きるのか? 音楽はだいたいやり尽くした感があるが、これから先の発明によってまた大きな変化があるはずである。 そしてそれによってまた失われるものもある。 でも、それは新しい音楽の誕生になるのだから悲観することはないのかもしれない。

Posted by ブクログ

2011/04/30

文字や活版印刷の発明が、思考やコミュニケーションの領域に多大な影響を与えたということは言わずもがなである。一方で、音楽の世界における数々の発明は、日の目をみることがあまり多くない。しかし記譜や録音技術の発明は、同じように今を生きる我々に多大な影響を与えてきた。本書はそんな音楽史に...

文字や活版印刷の発明が、思考やコミュニケーションの領域に多大な影響を与えたということは言わずもがなである。一方で、音楽の世界における数々の発明は、日の目をみることがあまり多くない。しかし記譜や録音技術の発明は、同じように今を生きる我々に多大な影響を与えてきた。本書はそんな音楽史に残る五つの発明にフォーカスをあてた一冊である。 表題になっている五つの発明とは、「記譜」、「オペラ」、「平均律」、「ピアノ」、「録音技術」のことである。そして、これら五つの発明を紐といていくのは、イギリスの作曲家、ハワード・グッドール氏。人気コメディ『ミスター・ビーン』のテーマ音楽などを担当した人でもあるそうだ。 ◆本書の目次 1 細く赤い線 - グィード・ダレッツォと記譜法の発明 2 革命を引き起こした音楽 - オペラの発明 3 偶然の産物 - 平均律の発明 4 音量を調整できる鍵盤楽器 - バルトロメーオ・クリストフォリとピアノの発明 5 メリーさんの羊 - トーマス・エジソンと録音技術の発明 例えば、記譜法の発明は十一世紀の初頭、無名の音楽家グイード・ダレッツォ氏によって為されている。これは音楽の世界において、地図の発明に匹敵するような出来事だ。それまでの音楽は、すべて口承伝達によって伝えられてきた。しかし、この伝言ゲームのようなやり方で、どこまで原型を留めて伝えられてきたのかは定かではない。音楽が正確に書き記されるようになって初めて、曲を後世に残すことが可能になったのだ。つまり記譜法の発明なくして、「作曲家」登場への道は切り開かれなかったとも言える。 本書の中で最もインパクトのあった発明は、「平均律」である。平均律とは1オクターブを十二の音に等間隔に分けた音階のことで、音楽におけるカレンダーや時計のような役割を果たす。この平均律というものが、なかなかの食わせ物である。ピュタゴラスが元々発見した音の調和の法則に基づくと、オクターブがあがるにつれて、音が半音ずれていってしまうのだ。この現象を「ピュタゴラス・コンマ」と言う。そして、これを解決したのが、バッハである。音階を機械的にプロットする平均律を適用しても、気持ちの良い音律になるような楽曲集『平均律クラヴィーア曲集』を仕上げてしまったのである。この発明により、ハーモニーは普遍性を持ち、国境の壁を越えていくこととなった。 その反面、この平均律による普遍性には、音楽における帝国主義という側面も孕む。仮に平均律に基づかない民族音楽を再現しようとしても、その過程で使用される録音技術や電子楽器は平均律に基づいて作らているのだ。このため、西洋的な文脈においてしか、これらの音楽を再現することは不可能なのである。実際に、東洋古来の音楽などが、荒削りで「調子はずれ」に聞こえるケースがあるのは、平均律の支配下にあるということが要因である。 本書の最大の魅力は、さまざまな文化と組み合わせることのできる「音楽」というものの自由さを、そのまま体現しているというところにある。音楽の歴史を振り返りながらも、楽譜の世界をやすやすと飛び出して、テクノロジー、思想、政治など、さまざなま境界域で豊かな演奏を繰り広げる。また、ところどころデジタル化に対しての警鐘を鳴らしている点も注目である。このあたり、電子書籍の議論になぞらえながら読み説いても、面白いと思う。

Posted by ブクログ

2011/04/06

記譜法、オペラ、平均律、ピアノ、そして録音。 著者が選び出したのはこの5つ。 (個人的には「オペラ」は「?」ですが、単に私がオペラに興味がないからかもしれません。) 通史ではなく、こうして対象を絞りこみ、その上で音楽史が語られると、見落としてきたものがたくさん見つかります。言われ...

記譜法、オペラ、平均律、ピアノ、そして録音。 著者が選び出したのはこの5つ。 (個人的には「オペラ」は「?」ですが、単に私がオペラに興味がないからかもしれません。) 通史ではなく、こうして対象を絞りこみ、その上で音楽史が語られると、見落としてきたものがたくさん見つかります。言われるまで、ホールが巨大化して、楽器は大きな音が出せるように進歩したが「歌手はそのままである」という単純な事実にさえ気付いていませんでした。 なるほど!

Posted by ブクログ

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