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三民主義(上) 岩波文庫
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三民主義(上) 岩波文庫

孫文(著者), 安藤彦太郎(著者)

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三民主義(上) 岩波文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 岩波書店
発売年月日 1965/01/01
JAN 9784003323014

三民主義(上)

¥550

商品レビュー

3.5

2件のお客様レビュー

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2021/07/04

民族(まとまり)。国家レベルで団結すべきだ。中国人は家族や宗族のために団結してきたが、国家のためにも団結すべき。漢民族は同じ血統、言語文字、宗教、習俗習慣をもつ。まとまりを持つべき。まとまりがない遠因は中国が昔から、世界的な秩序の担い手だったから。外からの侵入に無防備になった(※...

民族(まとまり)。国家レベルで団結すべきだ。中国人は家族や宗族のために団結してきたが、国家のためにも団結すべき。漢民族は同じ血統、言語文字、宗教、習俗習慣をもつ。まとまりを持つべき。まとまりがない遠因は中国が昔から、世界的な秩序の担い手だったから。外からの侵入に無防備になった(※華夷思想で踏ん反り返っていた)。▼民権。人民が政治を管理すべき。中国には孔子・孟子の時代から民権の思想があった。良い政府なら全権を渡し、悪い政府なら彼らを罷免すればよい。▼民生(社会主義)。階級差別や搾取のない自由平等平和の社会を目指すべきだ(大同主義)。儒教の教典『礼記らいき』。権力を独占する者がなく平等で、財貨は共有となり生活が保障され、各人が十分に才能を発揮することができ、犯罪も起こらない世の中。中国的ユートピア。孫文『三民主義』1906 **** コミンテルンの工作員(ミハイル・ボロディン)が孫文と接触。続いて、ソ連の外交官(アドリフ・ヨッフェ)が孫文と接触1923。ヨッフェ「あなたの目指す民族独立と統一のために中国共産党と協力してほしい。見返りに莫大な援助を与える」。コミンテルンの思惑通り、孫文(国民党)は中国共産党と手を結ぶ(第一次国共合作1924)。 黄埔こうほ軍官学校(1924)。国民革命軍を組織・育成するための学校。ソ連コミンテルンの援助・指導のもと作られた。第一次国共合作の成果の一つ。総裁は孫文、校長は蒋介石、政治部主任は周恩来、教官にはソ連の軍人・スパイが多数配属。赤軍の司令官(ヴァシーリー・ブリュヘル)も教官。

Posted by ブクログ

2011/03/09

孫文の「三民主義」講演(1924)のうち、民族・民権4講までを含む。孫文の「民族」思想は、とにかく中国人をまとめようという意図をもっている。はじめに中国人には家族および宗族しかなく、国を単位とする思想がないことを論ずる。中国人は(固まらない)砂なのである。そして、中国が直面してい...

孫文の「三民主義」講演(1924)のうち、民族・民権4講までを含む。孫文の「民族」思想は、とにかく中国人をまとめようという意図をもっている。はじめに中国人には家族および宗族しかなく、国を単位とする思想がないことを論ずる。中国人は(固まらない)砂なのである。そして、中国が直面している危機が語られる。孫文によれば中国は「半殖民地」ではなく、殖民地にすらなれない「次殖民地」である。ほかの殖民地が一人の主人しか持たないのに対して、中国には複数の主人があるからである。そして、中国の搾取の様子が、関税権が外国人の手にあること、外国銀行の為替などの活動、海運の立ち後れ、租界の借地料、外国商人の特権的活動などから多面的に分析される。民族主義に対して世界主義を唱える若者に対しては当選くじを竹の中にしまった苦力の例を用いて批判している。民族思想は生活に必要なもので、それを捨ててしまっては、世界主義の道も絶たれるのである。また、清朝の圧迫下で失われた民族思想が明朝の遺臣によって任侠の世界に残されていることを指摘する。左宗棠と哥老会の関係など大変興味深いものである。どうやって民族思想を回復するのかという問題については、中国の政治哲学、とくに儒教の仁愛、『大学』の思想にその糸口を求めている。また、民国成立以来、「忠孝」の「忠」が削られてしまっていることにも苦言を呈し、民に対して忠であるべきであるとする。「民権」については、西洋の革命思想、とくにフランス革命の旗印「自由・平等・博愛」が、その本質は「民権」を追求するものであることを指摘している。「自由」については、中国の封建制が西洋と比較して苛烈でなかったことを指摘し、砂の様に個々が自在に動くことができる中国人には、空気のように「自由」があったので、「自由」という概念を中国人は理解できなかったと指摘している。「平等」については根本的な平等は存在せず、天が生み出した人間はそれぞれ独自の存在であり、才能を一律にすることなどできぬと指摘し、到達点の平等ではなく、出発点の平等を提唱する。革命は「皇帝になりたい」者とつねに戦う必要があり、「連邦制」についても、中国にはむかしから統一があり、この点で、外国の猿まねをすると、軍閥の割拠に根拠を与えると指摘している。全編を通じて、本末・先後などの中国哲学の方法で思索されており、身近な例をつかい、分かりやすい議論である。「自由・平等」を中国で唱えても、大衆が皮膚で必要性を感じていない理念では、彼等を導くことはできないとするのはたいへん現実的であり、中国人は「発財」(金儲け)のためには動くが、「自由・平等」のためには戦わないとするのはドラスティックである。代議政体についても、「ブタ議員」などの例をひき、その限界を指摘し、自由が放肆となり、平等が偽平等となる点を指摘しているが、この点は現代でも解決されていない深刻な問題である。人口問題については、中国の人口がへりつづけ、列強の人口がふえつづけ、亡国滅種の憂き目にあうだろうと指摘していが、この予言は歴史上はずれてしまい、中国は現在世界一の人口をかかえている。外れたわけはやはり孫文をついだ毛沢東の「人手」論による所が大きいが、毛沢東が人口より人手を重視した背景には、孫文のもっていた危機感が影響していることは否めないであろう。すくなくとも、富強になるために人口を増やすというのは、一つの方策ではあるだろう。

Posted by ブクログ

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