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中学生までに読んでおきたい日本文学(5) 家族の物語
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | あすなろ書房 |
発売年月日 | 2011/01/30 |
JAN | 9784751526255 |
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中学生までに読んでおきたい日本文学(5)
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商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
「唐芋武士」海音寺潮五郎 作者の父親から聞いた話。 西南戦争の頃、14歳の少年敏也とその家族、乞食小屋のような家に一人で暮らす15歳の隼太のはなし。 貧しくてひ弱でも、武士として崇高な精神を持った隼太のふるまいに胸が締め付けられた。 国家、権力は人間の純粋さを利用してはいけないと感じた。
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松田哲夫編『中学生までに読んでおきたい日本文学5(家族の物語)』(あすなろ書房) 2011.1発行 2023.5.4読了 おばあちゃん 金子光晴の詩。首にギプスを巻いたまま会話もろくろくできないおばあちゃん。老いのむごさが伝わって来て、解説にいうような「きれいに澄んだ」感じは...
松田哲夫編『中学生までに読んでおきたい日本文学5(家族の物語)』(あすなろ書房) 2011.1発行 2023.5.4読了 おばあちゃん 金子光晴の詩。首にギプスを巻いたまま会話もろくろくできないおばあちゃん。老いのむごさが伝わって来て、解説にいうような「きれいに澄んだ」感じは私には伝わらなかった。 洟をたらした神 貧しさのためにおもちゃ一つ買えない境遇を後ろめたく思う母親と、そんなことを一切気にせずに場に適応していく子ども。逞しく成長していく子どもの姿に母親は「厳粛な精魂」をみる。やや宗教的な雰囲気をもった作品。 唐薯武士 子どもの出陣を見送る母親の真っ青な姿がクライマックスに当たる。出陣は、敏也にとっては勇敢で気高い行為以外の何物でもないが、母親にとっては身を切るような苦痛の瞬間である。戦争の惨たらしさ、悲惨さの表現が隼太の悲壮感に凝縮されていて、素晴らしい作品。 母を恋うる記 一読しただけではよく分からなかった。夢オチの幻想小説のような作品で、情景が綺麗である。文章力が凄まじい。ここまで表現できるのはさすが谷崎潤一郎といったところか。 小さき者へ 有島武郎の代表作の一つ。有島武郎の晩年を知っているからこそ、この作品には悲壮感が漂う。弱い父親がそれでも自らの子どもたちに夢や希望や勇気を語ろうとした、その姿勢が何とも痛々しくて尊い。 終焉 父の最期を記録した作品。気の動転した娘の前で弱った姿は見せられないとでも思ったのか、死期を前にして一向に衰えない精神力。本来は立場が逆だろうに。でも、幸せな最期だったのかもしれない。 同居 綾子は情に厚い性格なのだろう。この感情は女には分からないかもしれないが、確かに結婚を躊躇わせる何かがある。母子密着というか近親相姦というか、とにかく気持ち悪いのだ。 かわうそ 宅次は定年まであと3年という中年サラリーマンで、出世コースからも外されて日々鬱憤を募らせている。しかし、その鬱憤はかわうそみたいな妻との結婚生活のおかげで、何とか解消されてきたようだ。 宅次の被害妄想なのかどうかは分からないが、解説にいうとおり、一番身近にいる家族をこういう目で見るようになったら、どんどんつらい気持ちが募っていくことだろう。 夫婦の一日 キリスト教式の結婚式には「病める時も健やかなる時も……」という誓いの言葉があるが、その誓いの言葉を意識した作品なのかもしれない。今回はただの鳥取旅行で済んだが、これが大理石の壺など聖典などにエスカレートしたらどうするつもりなのだろうと想像してしまう。 葬式の名人 川端康成は若い頃から身寄りがほとんどいなかったようだ。そのせいか知らないが、生きた他人にどこか冷淡な印象がある。作者の心は死んだ親類の方を向いていて、生きていることに対してどうしも関心が向かないようなのだ。 へんろう宿 解説では「心温まる話」としているが、生まれた境遇で人生が決定づけられてしまうという点で、私は共感できなかった。この時代にしては恵まれた境遇なのかもしれないけれど。 黄金風景 当初、主人公の「私」はお慶を損得勘定で見ていた。しかし、お慶が「私」を恨むどころか「私」に感謝しており幸せな家庭を築いているのを見て、「けわしい興奮」が「気持よく溶け去ってしまう」のを実感する。やや出来すぎた話のようにも思える。 風琴と魚の町 行商人の親をもつ娘の話。生き生きとした文章で綴られていて躍動感がある。人生のアップダウンを謳歌した作者らしい作品である。ドタバタと生きる人間の生のエネルギーに満ちている。 【収録作品】 おばあちゃん/金子光晴 洟をたらした神/吉野せい 唐薯武士/海音寺潮五郎 母を恋うる記/谷崎潤一郎 小さき者へ/有島武郎 終焉/幸田文 同居/吉村昭 かわうそ/向田邦子 夫婦の一日/遠藤周作 葬式の名人/川端康成 へんろう宿/井伏鱒二 黄金風景/太宰治 風琴と魚の町/林芙美子 URL:https://id.ndl.go.jp/bib/000011097542
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明治、大正、昭和初期あたりの時代の話が多く、当時の時代背景そのままで現代向けに分かりやすく訳しているわけでもないので、文学もの慣れしていない身としては、児童書とはいえ、なかなか難解な本でした。 話によっては登場人物の言葉の訛(?)が強いものもあります。 ほっこりしたり、ちょっと...
明治、大正、昭和初期あたりの時代の話が多く、当時の時代背景そのままで現代向けに分かりやすく訳しているわけでもないので、文学もの慣れしていない身としては、児童書とはいえ、なかなか難解な本でした。 話によっては登場人物の言葉の訛(?)が強いものもあります。 ほっこりしたり、ちょっと切なくなるような家族の話が大半ですが、向田邦子さんの「かわうそ」だけは、ホラーテイストてゾッとします。
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