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雪の練習生
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2011/01/30 |
JAN | 9784104361045 |
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雪の練習生
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商品レビュー
3.8
57件のお客様レビュー
環境運動で有名な実在のホッキョクグマ、クヌートとその母トスカ、祖母の話をオムニバス方式で綴った物語。 祖母とクヌートの話はクマの一人称で綴られるが、哲学的なのに驚かされた。 空想と現実がない交ぜになり、3話それぞれに独特な雰囲気を醸し出す、不思議な物語。
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ホッキョクグマ親子三代の物語。多和田ワールドにすっかり翻弄されたが、ラストまで読むことを諦めないで良かった。熊の目を通して見ると、人間社会って奇妙で、不条理で・・ベルリン在住の著者ならではの鋭い視線に圧倒された。 1章「祖母の退化論」 冒頭の調教シーンからゾクリとさせられる。 「...
ホッキョクグマ親子三代の物語。多和田ワールドにすっかり翻弄されたが、ラストまで読むことを諦めないで良かった。熊の目を通して見ると、人間社会って奇妙で、不条理で・・ベルリン在住の著者ならではの鋭い視線に圧倒された。 1章「祖母の退化論」 冒頭の調教シーンからゾクリとさせられる。 「ある日、彼が変なものをわたしの後ろ足に縛り付けた。・・床に触れた左手が焼けるように痛い。あわてて床を突き放つ。何度か繰り返しているうちに、いつの間にかわたしは二本脚で立っていた。」モスクワで生まれた熊が、サーカス引退後に自伝を書き、作家になって亡命する。この奇抜な発想はなに。 2章「死の接吻」 旧東ドイツのサーカスで、娘のトスカは女曲芸師と伝説的な芸を編み出した。ウルズラの口の中にある角砂糖をトスカが舌で絡め取るシーン。舌の感触や匂いまで感じさせる文章力の高さに驚いた。 3章「北極を想う日」 1、2章を読んだ時の文体への違和感が消え、言葉が滑らかに落ちてくる。母親トスカの育児放棄により、飼育員のマティアスに育ててもらったクヌートが主役の章。愛らしい熊の子も成長すると「散歩は勉強になるが、ショーは仕事。どうすれば観客が退屈しないか」を考えるようになる。見せる自分を意識するクヌートが切ない。雪の舞い散る日に、彼を地球の脳天に向かって飛ばせたのは、せめて物語の中だけでも外に出してあげたいと著者が願ったからだろうか。クヌートの話が実話で、本の出版後に亡くなったことを知った後は、ラストの数行がなお心に響く。「その日は空気が重く湿っていて・・」で始まる詩的な文章が哀しい。
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以前によんだ著者の「言葉と歩く日記」で、この本を自身でドイツ語に翻訳する話しがあったので、読んでみた。 ホッキョクグマの視点からみた世界。 3部構成になっていて、母→娘→孫と3代にわたる話し。(ホッキョクグマの寿命は短いので、この3代は実は象徴で何世代にもわたって繰り返された...
以前によんだ著者の「言葉と歩く日記」で、この本を自身でドイツ語に翻訳する話しがあったので、読んでみた。 ホッキョクグマの視点からみた世界。 3部構成になっていて、母→娘→孫と3代にわたる話し。(ホッキョクグマの寿命は短いので、この3代は実は象徴で何世代にもわたって繰り返された物語が折重なっているものとされる) 最初の初代のホッキョクグマは、ソ連、東ドイツがあったときの時代設定のなかで、ホッキョクグマや他の動物が人間と自然に話し合うというシュールな状況が描かれる。初代のホッキョクグマの「私」は、国が主催するさまざまな会議に出席したり、自伝を書いて、有名になったりする。そうしたなかで、西ドイツに亡命したり、そこからさらにカナダに亡命?を考えたりする。 2代目の物語は、女性猛獣使いとの交流を中心にしつつ、サーカスで曲芸をして、有名になって、世界公演をしたりする。ここも東西冷戦下の時代背景が描かれていて、面白い。 3代目の物語は、だいぶ現代になってきて(クヌートという実在したホッキョクグマがモデル)、動物園でスターになって、環境保全活動のシンボルとなる。 いづれも荒唐無稽の話しなのだけど、東西冷戦時代の描写やホッキョクグマの視点にしっかり入り込んだ書き方が妙にリアリティを感じさせる。 現象学における「主観」みたいな感じがあって、先入観なしに自分が体験しているものをそのまま記述しているようなナマナマしさが、なんともすごい。ぐっと身体の内側に入っていくようでなんだか切ない感覚がある。
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