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ラサ島守備隊記 玉砕を覚悟した兵士たちの人間ドラマ 光人社NF文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 光人社 |
発売年月日 | 2011/02/19 |
JAN | 9784769826736 |
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ラサ島守備隊記
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ラサ島とは沖縄の東、大東島の南にある島で、沖大東島とも呼ばれる。本書は、沖縄戦において、おそらくまっ先に玉砕するであろうと思われた島の守備隊長、森田中尉の回想記である。ということは、森田さんは生きて帰ってきたということである。ラサ島はまったく攻撃を受けなかったわけではなく、艦砲射...
ラサ島とは沖縄の東、大東島の南にある島で、沖大東島とも呼ばれる。本書は、沖縄戦において、おそらくまっ先に玉砕するであろうと思われた島の守備隊長、森田中尉の回想記である。ということは、森田さんは生きて帰ってきたということである。ラサ島はまったく攻撃を受けなかったわけではなく、艦砲射撃、飛行機による機銃掃射を何度も受けている。にもかかわらず、病死、事故死を含めわずか8名の戦死者を出しただけで、320名もの兵士将校が生きて帰還したのである。それはなににもまして隊長である森田さんの指揮のすばらしさによるものであった。森田さんはもと国漢の先生で文人であった。それが招集され近衛兵となり、2度の招集を受けたあと、三度目に沖縄のラサ島へ派遣されることになった。したがって、隊の中での「和親」「団結」をかかげ、老年兵によるいじめや不合理な制度を改め、島の燐工場の人たちと力を合わせ堅固な陣地を築いた。だからこそ、なんども攻撃をうけたにもかかわらず犠牲者をほとんど出さなかったのである。森田さんは実に合理的な精神をもった人である。そもそも、島に向かうときにも、心では玉砕を覚悟しながら、みんなを生きて帰還させるとまで豪語している。そして、それをほぼ実行した。森田さんが戒めたのは蛮勇である。8名の犠牲者のうち、何人かは動かなくていいときに動いて犠牲になっている。実は本書を読んだのは、洪さんの『沖縄戦場の記憶と慰安所』という本に引用されていたからである。そうか、この島にも慰安所があったのか。でも、出てこない。そう思って読んでいくと、あとの方(p217)になってようやく、朝鮮人慰安婦7名が連れられてやってきたという記述が出てくる。森田さんはまだ新婚だったこともあって、彼女らを「やっかいなシロモノ」と面倒がっているが、慰安婦たちは、しばらくは慰安婦として働いたようだ。(ここは洪さんの本の第1章に詳しい。慰安所がどこにあったかも書かれている)森田さんは途中から、アメリカはラサには来ないと予測するが、日本が勝てないとも思っていた。だから、そのあと生きるためになにをすべきかということで、イモの栽培と漁をみんなで行う。さいわい、脚気などがではじめたが、この持久作戦でなんとか最後まで持ちこたえることができたのである。もっとも、終戦の詔勅が出た後も決戦を誓う血気盛んな人たちはいた。そんな人たちも森田さんは説得して連れ帰る。文章は決して名文ではないが、胸に迫るものがある。近頃読んだものでは感動的な1冊であった。(なお、光人社文庫はフォントが小さすぎて、目が疲れるので、ネットで95年の河出書房版を改めて買って読んだ。文庫はある程度フォントは大きくしてほしい)
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