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光の指で触れよ 中公文庫
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光の指で触れよ 中公文庫

池澤夏樹【著】

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光の指で触れよ 中公文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 中央公論新社
発売年月日 2011/01/25
JAN 9784122054264

光の指で触れよ

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商品レビュー

4.4

21件のお客様レビュー

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2022/08/12

ちょうどこの本を読む前に、白石一文の「この胸に深く突き刺さった矢を抜け」を読んでおり、それと比べてみて、この本の「小説らしい良さ」を感じた。この本の主人公である家族の冒険を描いたらしい一作目は読んでいないのだが、その知識がなくてもずいぶん面白く読めた。 強い絆で結ばれて信頼関係...

ちょうどこの本を読む前に、白石一文の「この胸に深く突き刺さった矢を抜け」を読んでおり、それと比べてみて、この本の「小説らしい良さ」を感じた。この本の主人公である家族の冒険を描いたらしい一作目は読んでいないのだが、その知識がなくてもずいぶん面白く読めた。 強い絆で結ばれて信頼関係にあるはずの夫婦でも、こうやってどちらかが嵐に巻き込まれるみたいに恋をしてしまったりすることはあると思う。恋だけじゃない、抗えない力が働いて、どこかに行ってしまう感じは、よくわかる。そういう気持ちをコントロールすることもできるし、できないこともあるということも、たしかにそうだと思う。そういう人物の描き方が素晴らしく、妻であるアユミにも夫である林太郎にも、「そうだよねえ」と思ってしまった。 心の中の深い声を聞かないと、私たちは自分の人生を歩むことができない。軌道修正するときも、じっと、自分自身の深いところにある何かを見つめて、聞きとらないといけない。 アユミが幼少期のトラウマを受け止め方はありきたりなようにも感じたが、これが癒しのパターンとしては一般的であるので、仕方ないのかなと思う。 息子である森介の成長と初恋も美しく描かれていた。 そして、パーマカルチャーについては私も興味があって本を買ったくらいだし、家庭菜園もやっていたので(失敗だらけだったが)、土に触れることで生命を感じる、何かに導かれるような気がするという感覚はよくわかる。ヨーロッパのコミューンも早速ネットで検索してしまった。機会があったらぜひ行きたい。チャクラを開く性技もすごかったが、こういう体験ができることは現実にはまあないと思うので、小説の中で感心したりした。 それにしても、私が生活している欧州では、妻がこんな風に子供を連れて出奔するなど論外で(しかも国外)、夫は子供連れ去りで妻を訴えるレベルの話である。こんな風に妻が子供を連れて姿を消したらEU内でも指名手配だ。しかも、日本からビザなしでオランダ、フランス、スコットランドに滞在するのは違法である(たぶん観光ビザは3ヶ月)。シェンゲン条約内の欧州であれば、パスポートコントロールもなく移動は可能だが、駅とかでは警察にIDを見せろと言われることもある。なので、私だったら子供を連れていきなり国外に行くなんて絶対にしない。 そう言う意味でも、小説世界は純粋に主人公たちの人間としての成長を感じられていいものだなと思った。

Posted by ブクログ

2022/01/23

前作からの森介の成長。明日子との恋。 なんだか、自分を省みるような、自分の子どもの成長を疑似体験したような、不思議な気持ち。 巻末の角田光代さんの解説がぴったり。私も一番、豪雪の停電のパートが印象に残った。 ちょうどそのあたりを読んでいる時に、トンガの海底火山噴火の影響で、...

前作からの森介の成長。明日子との恋。 なんだか、自分を省みるような、自分の子どもの成長を疑似体験したような、不思議な気持ち。 巻末の角田光代さんの解説がぴったり。私も一番、豪雪の停電のパートが印象に残った。 ちょうどそのあたりを読んでいる時に、トンガの海底火山噴火の影響で、津波警報が日本中を覆った。 久しぶりの緊張。津波と、豪雪と停電。 東日本大地震のころ、大雪の山形の自動車教習所にいて、丸一日ぐらい停電だったことを思い出した。寒さを凌ぐのは毛布にくるまるしかない。ろうそくの火の中で黙々と食べた教習の特典の米沢牛か何かのブランド牛(学生を釣るためのブランド牛だった)。自動ドアが、自動で開かない切なさ。翻って、電気が通った時の、自動ドアが自動で開くことの新鮮さと喜び。 この物語のどうこうはあまりなくて、池澤夏樹の本を読むと、作中のアユミがそうだったように、自分の中の色んな記憶が喚起される。と同時に、池澤の本を通じて、「こんなあり方や世界や考え方があるよ」と、知らない世界を旅しているような気持ちになる。コロナの世の中の気軽だけど貴重な移動手段。 そういう世界や考え方に触れた上で、時差もなく引き戻った現実で、私は今後の生き方や身の振り方に大いに迷う。途方に暮れる。 そしていつのまにか眠りこけ、何も変わらない明日がまた始まる。

Posted by ブクログ

2021/08/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

要するに、正直すぎる夫の不倫と家族の在り方の話であまり好きではなかった。アユミの思考は日本人に近いと思った。行動は大胆だけど。文章も独特でいわゆる日本の小説のような書き方じゃないと思う。私はスピリチュアルを信じているし、ナチュラリストのような生活もすごいなと思っているけど、行動しようとは思っていない。私から遠いところにあるお話なんだなと思った。

Posted by ブクログ

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