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指揮者の仕事術 光文社新書
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指揮者の仕事術 光文社新書

伊東乾【著】

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 光文社
発売年月日 2011/01/20
JAN 9784334036041

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商品レビュー

3.7

16件のお客様レビュー

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2022/08/21

 指揮者がどんな仕事をしているのか、普段聴衆の目に見えない部分、どうやってプレーヤーたちをまとめていくのか、その下準備がどのようなものかという話を、著者自身の経験談をふんだんに入れて、一般のビジネス書的な要素も若干入れつつ解説した本。  まずもって著者が東大で物理を勉強してました...

 指揮者がどんな仕事をしているのか、普段聴衆の目に見えない部分、どうやってプレーヤーたちをまとめていくのか、その下準備がどのようなものかという話を、著者自身の経験談をふんだんに入れて、一般のビジネス書的な要素も若干入れつつ解説した本。  まずもって著者が東大で物理を勉強してました、とか実は全然音楽と関係のない本を書いて賞をもらいました、という話、音楽に関してはレナード・バーンスタインと仲良く話しました、とかいう話があったりして、なんか凡人からかけ離れた人の自分語り、という感じで読んでしまって、素直に読めなかった。まず「仕事術」みたいなビジネス書的な要素はもういらないんじゃないか、と思う。  以下は面白かった部分のメモ。まず「歌手はしばしば歌詞を忘れます。しかも、リズムがずれる、音程が外れる、楽譜の繰り返しを勘違いする。」(p.38)というのは、そんなしばしばあることなのか、と思った。確かに自分が見た数少ないオペラでも、なんか歌手が無言だった時があったような、という、そういう時に指揮者が何かしてるのか、と思った。最近、少し指揮について勉強しないといけない機会があって、ピアノの先生が、「オレンジの斎藤秀雄先生という方が書かれた『指揮法教程』がバイブル的な本で…」ということを話していて、図書館でちらっと借りてみたりしたけど、これはどうやら「禁断の本」らしい。「『サイトウメソッド』は、日本生まれの型から入る指揮法です。日本のテレビドラマなどで俳優が、実に器用に指揮者の真似ができるのも、この型を教えてもらうからです。逆に言うと、このような型から入る指揮法は本家本元のヨーロッパ音楽には存在しません。」(pp.45-6)ということで、色んな楽曲をこの型にあてはめて指揮をする、というのは初心者には使い勝手がいいけれど、本職はやるべきことではないらしい。そして、古い斎藤先生の本、と言ったら、おれは英語学の巨人の斎藤秀三郎、という名前を何となく連想していたのだけれど、そしたら「斎藤先生のお父上は、明治時代に日本語で英文法を整備した斎藤秀三郎」(p.46)というのがあって、驚いた。あと音の勉強をしていると平均律、という話を聞くけれど、「指揮者になるにはピアノとヴァイオリンを習う必要があるという本当の理由は、平均律、純正律、それに金管楽器などで活用される自然倍音列など、複数の異なる音律の音感と合奏法を身につけるためなのです。」(p.113)ということで、平均律だけではないらしい。そしてこの「平均律」という仕組みは、「正解がほとんどない代わりに落第点もあまりない」(p.126)という感じで捉えられるらしい。へえ。じゃあ五線譜で書いてあることをそのまま表現してもダメではないけど正解にもならないのかあ、と思ったりした。そして、音楽科教育の勉強をすると、「豊かな感性」とか出てくるのだけど、「音楽は言葉と違って、論理的に複雑な意味を伝えることはできません。その代わり、人の気持ちや心の微妙なニュアンスなどは、とても雄弁に伝えることができます。そういう意味で音楽はとても正直であるため、意味が分からないまま歌詞を棒読みしているような歌などは、仮にリズムや音程が整っていても魅力的には聴こえません。」(p.182)というところは、なるほどと思った。でもまず指導者が「雄弁に」というその雄弁さを感じ取れるだけの感性を身に付けないといけないのだけれど。あと、「実は、人間は音を聞きとろうとするとき、利き耳だけで聞いています。そして利き耳でないほうの耳から入ってくる音は、脳のなかで『捨てて』しまっているのです。」(p.200)だそうだ。へえ。どっちが自分の「利き耳」なんだろう??ちなみにp.200の「携帯電話は『利き耳』で聞く」の「携帯電話」の写真はいつの時代の携帯なのか、この写真必要なのか?という。どうでもいいけど。最後に、音の響きを聞き分け、「劇場の中で言葉に生命を吹き込む技術」(p.206)である「職人技」は今では失われていっている、そして「職人的に高度な技術は一度伝承が途絶えると、ちょっとやそっとで復活させることはできません。」(p.207)という、おれの前の仕事とすごい関わりがあるなあと思って、個人的には注目したポイントだった。  あとはやっぱりヴァーグナーの「トリスタンとイゾルデ」は見てみないとなあ、という感じ。指揮の振り方の話も少し書いてあって面白い部分はたくさんあるが、最初に書いたように、この本を素直に読めるきれいな心が欲しい、と思った。(22/08/21)

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2021/02/19

なるほど、と色々と思った。 ベートーベンの交響曲第九番はそんな意図があるのか、と感じ、 ワーグナーややっぱり偉大だ、と感じたり。 この本に出てくる作曲家はドイツ語圏の作曲家が多かった。 私はドイツ語圏の作曲家がかなり好きだ。 なので非常に興味深く読むことが出来た。 読んでつくづく...

なるほど、と色々と思った。 ベートーベンの交響曲第九番はそんな意図があるのか、と感じ、 ワーグナーややっぱり偉大だ、と感じたり。 この本に出てくる作曲家はドイツ語圏の作曲家が多かった。 私はドイツ語圏の作曲家がかなり好きだ。 なので非常に興味深く読むことが出来た。 読んでつくづく音楽や芸術というのは 物理現象なのだと深く感じた。 芸術といえば思想ばかりを語りがちだけど、 やっぱり物理現象なのだと強く感じた。

Posted by ブクログ

2018/11/19

日経ビジネスオンラインなどにもよくコラムを書いておられる、指揮者、東大准教授の伊東乾さんが書き下ろした仕事術の本ということで、指揮者がオーケストラをまとめて総合力を発揮するための方法を学び、ビジネスシーンにおいてリーダーが持つべき信条や仕事術を学びたい、と思って買ったのだが、いい...

日経ビジネスオンラインなどにもよくコラムを書いておられる、指揮者、東大准教授の伊東乾さんが書き下ろした仕事術の本ということで、指揮者がオーケストラをまとめて総合力を発揮するための方法を学び、ビジネスシーンにおいてリーダーが持つべき信条や仕事術を学びたい、と思って買ったのだが、いい意味で期待を裏切られた。一つ一つの内容が非常に濃いのだ。指揮における関節の動き、バーンスタインやブーレーズのリハーサルの様子、第9交響曲の歌詞に秘められたべートーヴェンの真の思い、ヴァーグナーが設計したバイロイト祝祭劇場の音響効果・・。作者が実感したことが生の言葉で語られ、実に面白い。ただ、これらの内容を一般の仕事術に落とし込もうとするところはかなり無理があると感じた。なぜこんなにオリジナリティに満ちて面白い内容を「仕事術」の狭いカテゴリに収めなければならないのか。出版社の企画ミスだと感じた。

Posted by ブクログ

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