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東京の昔 ちくま学芸文庫
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東京の昔 ちくま学芸文庫

吉田健一【著】

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東京の昔 ちくま学芸文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 筑摩書房
発売年月日 2011/01/10
JAN 9784480093479

東京の昔

¥330

商品レビュー

3.3

8件のお客様レビュー

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2023/05/05

『時間』を読んだ時にも感じたことなのだけれど、吉田健一という人はほんとうに鋭利な知性を持った書き手だと感服させられる。この『東京の昔』でも、その知性の持ち主だからこそなしうるダイナミズム溢れた思考を繰り広げ、狭い日本や人間の一生といったスケールを軽々と飛び越えた発想でこちらを魅せ...

『時間』を読んだ時にも感じたことなのだけれど、吉田健一という人はほんとうに鋭利な知性を持った書き手だと感服させられる。この『東京の昔』でも、その知性の持ち主だからこそなしうるダイナミズム溢れた思考を繰り広げ、狭い日本や人間の一生といったスケールを軽々と飛び越えた発想でこちらを魅せる。吉田健一自身が国際派だったからなしえたことと言われればそれまでだが、それ以上に彼にとってどこか(日本という島国・自分という肉体)に縛り付けられる発想はリアルではなかったのではないか。ゆえにこの本は読んでいてこちらを相対化させる

Posted by ブクログ

2022/12/19

作中、会話の端々に散見される外国と、『思い出す』ことで語られる"昔の"東京。その対比に物理的且つ時間的な距離を感じてしまう。  街のことを考えている。街の上には営みがあり移ろう季節があり、過した歴史がある。むかし戦争で焼けた一軒の家で交わされた家族の会話は確か...

作中、会話の端々に散見される外国と、『思い出す』ことで語られる"昔の"東京。その対比に物理的且つ時間的な距離を感じてしまう。  街のことを考えている。街の上には営みがあり移ろう季節があり、過した歴史がある。むかし戦争で焼けた一軒の家で交わされた家族の会話は確かめようがないが、今俺が住んでるアパートの、向かいの家の庭で花をつけた植物の名前も知らない。知りようのない家族の会話と、俺の知らない植物の名前と言うのが俺が、ではなく君が、と言い替えることは恐れがある。ただその恐れすら乗り越えられるような気がする。 これらを担保するのは安いロマンチシズムではなく、確かな実存をそこに見出す事ができるからではないかとそんな事を考えている。 って俺が言うのが東京。君がいるのがフランス。昔俺が京都で作った歌の中には「フランスってのは一体どこにあるんでしょうね」から始まるのがあって、すごくそれを思い出した。 そんな小説ではないけれど。

Posted by ブクログ

2015/03/04

国語辞典、漢和辞典、英和辞典で言葉を調べながら読みました(笑)。 浅学な私としては、読み始めのころは、少々衒学的文章ではないかと思ってしまいましたが、日本とヨーロッパの文明・文化の比較を引き出すうえで、必然的にああいう書き方になったのだと途中から思いました。 少ない登場人物の...

国語辞典、漢和辞典、英和辞典で言葉を調べながら読みました(笑)。 浅学な私としては、読み始めのころは、少々衒学的文章ではないかと思ってしまいましたが、日本とヨーロッパの文明・文化の比較を引き出すうえで、必然的にああいう書き方になったのだと途中から思いました。 少ない登場人物のお酒を交えての他愛無い会話が、戦前の東京の風情をうまく醸し出されていました。 効率・効果・成果主義と暮らしにくくなった現代人としては、こんな暮らしやすい時代が日本にあったのかと思い知らされました。 講談社学術文庫の「あそびの哲学」で紹介されていた本ですが、吉田健一氏のあそびの本質がびっしり詰まった本を読むことが出来て幸せでした(笑)。

Posted by ブクログ

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