絵本のひみつ 絵本の知と読み聞かせの心

余郷裕次(著者)

• 販売会社／発売会社: 南日本新聞開発センター
• 発売年月日: 2010/12/01
• JAN: 9784860741709

商品レビュー

2014/06/20

読みやすい。学術的成果を踏まえた記述。絵を読むこと、音読、読み聞かせの意義。高校野球の選手に読み聞かせた例など興味深い。絵本の射程は、まだまだ広がりそうだな。

絵本論の最初の入門書として最適。参考文献一覧とお薦め絵本一覧は巻末に。引用文献も本文中に多々あり。

・絵本の主人公の顔は、「かわいい」と意識する以上に深く強く登場人物への共感を生成する。
・絵本の読み聞かせは、授乳時の語りかけと類似の刺激。
・絵本の読み聞かせは授乳にはならない。しかし、それを補うひみつがある。それは多くの場合、食べ物が題材になるということ。
・高いお金を払って鑑賞する映画に、より集中し、感動を深く心に刻むためには、おやつは必須。
・ロボットの会話が人間と同様に行かない原因の一つに呼吸の問題がある。「呼吸の引き込みが身体的コミュニケーションの創出に重要な役割を果たしている」
・絵本を探すことは自分を探すこと。それも自己を肯定的に映し出してくれる鏡としての、あるべき自分を示してくれる鏡としての自分探し。
・岸田恵之助は「遅読」を提案。読むことは自分の理解のためにある。音読を文字を正確に音にする行為としてはいけない。