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本は、これから 岩波新書
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2010/11/19 |
JAN | 9784004312802 |
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商品レビュー
3.5
99件のお客様レビュー
電子書籍の登場によって これから本はどう変わっていくのか。 老舗の岩波書店が各界の著名人に問いかけた。 まぁ、賛否両論。 まだ普及が始まったばかりですしね。 物珍しさに手を出した人がどれだけ定着するか。 識者の意見もいろいろで 真っ向から反対する人、賛成の人、 どちらも上手に使...
電子書籍の登場によって これから本はどう変わっていくのか。 老舗の岩波書店が各界の著名人に問いかけた。 まぁ、賛否両論。 まだ普及が始まったばかりですしね。 物珍しさに手を出した人がどれだけ定着するか。 識者の意見もいろいろで 真っ向から反対する人、賛成の人、 どちらも上手に使えばいいんじゃない?という人も。 5年後にこの本を読み直したとき どうなっているでしょうね。 ↑と、10年前に感想を残していました(笑) 電子書籍は確実に普及したけど 本がなくなるかといえば、意外とそうでもない。 実用書は電子のほうが 必要な部分のチェックや検索が気軽にできそう。 でもまだ自分は、小説は紙で読みたいな。 読む場所や時間の確保の問題などもあって 両者の棲み分けができてきたような気もします。
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電子書籍元年である2010年出版。紙の本の今後を憂い始めたことは文中からもわかるが、今出したら話題になるかもという出版社側の思惑を感じないこともない。 電子書籍が台頭してきた中での「本は、これから」について、37名がエッセイを寄せている。 まず、読むと自分の文章の好き嫌いが如実...
電子書籍元年である2010年出版。紙の本の今後を憂い始めたことは文中からもわかるが、今出したら話題になるかもという出版社側の思惑を感じないこともない。 電子書籍が台頭してきた中での「本は、これから」について、37名がエッセイを寄せている。 まず、読むと自分の文章の好き嫌いが如実にわかる。そして、本好きは少々面倒になりやすいのかもしれないな......と感じた。本が好きだとそんな自分も好きになり、本を偏愛すると、自分を偏愛してしまうのかも。 似た主張が多い中、池上彰や土屋峻は他とは違う視点で目を引き、最後の松岡正剛、宮下志朗のエッセイで締まった感があるのがよかった。
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351 池上彰 でも、もし客室乗務員が、派手な表紙のミステリーのハードカバーでも持ち込んでいたら、客は、「仕事中だろう。本なんか持って来るな」と突っ込みを入れたくなってしまうのではないでしょうか。 Kindleでの読書には、こんな利点もあったのだと合点しました。 どんな形をとろ...
351 池上彰 でも、もし客室乗務員が、派手な表紙のミステリーのハードカバーでも持ち込んでいたら、客は、「仕事中だろう。本なんか持って来るな」と突っ込みを入れたくなってしまうのではないでしょうか。 Kindleでの読書には、こんな利点もあったのだと合点しました。 どんな形をとろうとも、読書は読書。映像や図ではなく、活字だけを読み進むことで、頭の中に豊穣なイメージを紡ぎ出す。これぞ読書の醍醐味です。活字からイメージを想像するという作業をすることによって、人は精神的に成長するのだと私は思うのです。 読書という作業をするための道具は変化するかも知れません。読書そのものは永遠に不滅なのです。 では、開発途上国の書店はどうか。いまから十年ほど前、ベトナム戦争の取材でべトナムを訪れたときのことです。目抜き通りに大型書店があったので、立ち寄りました。そこで、万引きをした若者が店員に捕まる瞬間を目撃しました。若者が万引きしようとしたのは、 英語の教材でした。きっと高価なものだったのでしょう。でも、漫画や猥褻な本を万引きしようとする、どこかの国の若者とは大きな違い。万引きはいけないにしろ、知識欲の旺盛さには圧倒されました。 その印象は、書店を出て街を散策しても変わりませんでした。昼の暑い最中、みやげ物店で 店番をしている若い女性たちは、日陰に座っています。何をしているのかと見ると、みんな読書の最中でした。昼寝などしていないのです。店番をする間も、本を手放せない。この読書欲に満ちあふれた若者たちがいる国は、きっと発展するだろう。そんな確信を持ちました。その後、ベトナムが、どれだけ発展したかは、ご存知の通りです。 ベトナムから西へ。カンボジアを通った先は、ラオスです。首都ビエンチャンは、まるで眠ったような街でした。中心部のロータリーを、牛車がゆっくり通ります。 ここでも書店めぐりを思い立ったのですが、書店というものが存在しないではありませんか。教科書だけは、市場の雑貨用品売り場に置いてありましたが、私たちがイメージする書店はないのです。書店はないのかと聞いて回った結果、ようやく突き止めた一軒の店。そこは、欧米からのバックパッカーたちが、読み終えたペーパーバックを売り払う古書店でした。すっかり 古くなったペーパーバックに値段がつけられて並べられていましたが、ラオス語の書籍は見当たりませんでした。当然のことながら、街のどこに行っても、読書する人の姿はありません。 ラオスの独裁政党は、私が見るところ、国民に対して、いわば”愚民政策"をしているよう 。由らしむべし知らしむべからずという方策をとっているのです。なまじ国民が多様な情報を得ると、政府の方針に反対する動きが出かねない。本を読む習慣が身につかず、古今東西の思想に触れることがなければ、統治は容易になる、というわけです。ラオスが経済発展を遂げているというニュースを、その後も耳にしない理由が、これでわかるような気がします。かくして、私流の、「これから発展する国の見分け方」を編み出しました。書店が多数あり、 国民が読書にふける国は発展する、というものです。 「人生を決めた一冊の本」というのは、本当に存在したのです。 さらに、本好きな私が、時間を忘れて読みふけり、その後の人生に大きな影響を与えてくれ 本。そのひとつが、吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』 でした。 本が大好きだった父は、死の床にあった晩年、『広辞苑』の新版が出たことを知り、私に買って来てくれと頼みました。寝たきりになっているのに、大部な辞書を、開いては、読みふけっていました。この読書欲。知識欲。明日世界がなくなるとしても、万巻の書を読みたいと思ってしまう自分に、かつての父の姿がダブります。 本は不滅なのです。
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