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日本陸軍戦争終結過程の研究
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 芙蓉書房出版 |
発売年月日 | 2010/10/10 |
JAN | 9784829504932 |
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日本陸軍戦争終結過程の研究
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これはタイトル買いをしてしまいました。終戦系行事が重なる、暑い夏がやってくる前に読了しようと思い、がんばって読んでみました。 アジア太平洋戦争における戦争指導の在り方について、主に終戦戦略に至る道筋を軸とした陸軍部内の対立を派閥組織の見地から描いた研究である。 倫理的見地からの忌...
これはタイトル買いをしてしまいました。終戦系行事が重なる、暑い夏がやってくる前に読了しようと思い、がんばって読んでみました。 アジア太平洋戦争における戦争指導の在り方について、主に終戦戦略に至る道筋を軸とした陸軍部内の対立を派閥組織の見地から描いた研究である。 倫理的見地からの忌避に加え、現代人のどこか遠い昔の他人事のような過去の日本の戦争体験について(「8月15日」「終戦記念日」という言説が代表例と思う)、その現実面でのトータルな止揚がいつまでもできない中で、実際問題として日本の政略・戦略は成り立っていたのかを組織論的観点で問い直す。ちなみに、このような検証がいつも忘れ去られるため、国家戦略なるものがどこまでも下手な日本なのであると思う。 参謀本部作戦課の主戦論に対し、三国同盟懐疑派としての戦争指導課が緩やかな反対派として登場する。作戦課の構想とは、ドイツが優勢な間にアメリカ・イギリスと開戦し、イギリス領であったインド制圧にてドイツのイギリス攻略を支援するとともに、蒋介石・中国を制圧、対ソ連開戦も視野に入れ、アメリカ・イギリスとの戦いについてはイギリス屈服によりアメリカは打つ手が無くなり講和に持ち込めるというものだ。イギリス・ソ連屈服はドイツ頼り、アメリカ・イギリスとの戦いは海軍頼りという、およそ他人任せを戦略の中心に据えるという幾重もの愚かしさである。だが、その作戦課が主導権を握り、東条内閣のエンジンとして機能していたことは事実で、この愚かな戦略のもとでは勝利の可能性など微塵もなかったこともまた明らかだろう。 戦局が次第に悪化し、ドイツの敗勢が明らかになっても、作戦課はドイツ勝利の可能性にしがみつき、アメリカを甘くみて太平洋方面そっちのけで、(中国)大陸打通作戦を始め、戦力を著しく損耗する。この愚かな指導者と軍事官僚たちは全く救いようがない。 それに対抗するように早期講和を目指す動きをするのが、松谷大佐を主とした戦争指導課だ。早期講和派は陸軍部内では少数であるため、海軍高木少将や外務省など陸軍外との連携を深めるが、戦局悪化に伴い次第に主戦派は力を失い、東条退陣後、実権を握った中間派の杉山陸軍大臣と梅津参謀総長が両派を天秤にかけた上で、敗勢とともに最後は中間派も講和派に与し戦争終結の道筋を付けたということである。そこで、著者は一般に政治野心が強く慎重と目された梅津だが、人事権を握った後、一旦左遷された講和派を復活させ、最後には陸軍戦力の喪失を認めることで戦争終結への鈴付けを行ったと見直し評価をしている。確かに梅津はミズーリ号での降伏文書への署名なども含め、その責任を取る姿勢は評価できるが、このタイミングで?という思いをせずにはいられず、終戦工作としては遅きに失したといえるだろう。 敗戦後、主戦派の服部大佐グループは再軍備構想と自衛隊への影響力を持とうとするが、それこそお前らが言うな!という思いは共通だったと思われ排除されたということである。巻末のメンバーリストはとても良い試みで、国を滅ぼし甚大な犠牲に責任がある愚者の面々として、後世にまで残される必要があるだろう。また、本書の中心で描かれた早期講和派が単純な和平派と捉えるのは早計で、講和後の戦略をどう構想していたのかは今後の研究に期待したい。 ジョークとして、陸軍と海軍は双方の喧嘩の片手間にアメリカと戦争をしていたという話があるが、陸軍は中国との戦争の片手間にアメリカと戦争をしており、結局、勝利はドイツ・海軍・神頼みだったということがよくわかりました。 最後に本書の難点を記すと、挿入された組織図と文章が一致しておらずわかりにくくなっている所は少し不親切で残念だ。また、論述内容としては、何度も何度もそれこそウンザリするくらい同じ内容を繰り返し記載するのは、論文集というよりは研究ノートの寄せ集め?と思えるほどであり、もう少し論理構成を収斂する努力をして欲しい。 本書は昨今の歴史学研究の専門書としては格安の値段となっており、とても好感が持てる。
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