介護現場の外国人労働者 日本のケア現場はどう変わるのか

塚田典子【編著】

• 販売会社／発売会社: 明石書店
• 発売年月日: 2010/10/07
• JAN: 9784750332765

商品レビュー

2014/03/21

いずれにしろ介護士の処遇改善は不可欠。給料と休みだけでなく、地位も高めるべき。

＜メモ＞
・やはり言葉の問題が大きい。ついで文化
・1960年代までの日本は米・メキシコ・ブラジル・チリ等への労働者の送り出し国だった。
・1970年代後半、戦争終結に伴うインドシナ難民の流入や風俗関連産業の東南アジアの女性増加。
・1980年代バブルで製造業・建設業で労働力不足により、産業界からは外国人労働者受け入れ拡大の声。
・1999年第九次雇用対策基本計画では、専門的・技術的な分野の外国人労働者は受け入れるが、単純労働者の受け入れは慎重な姿勢が示された。
・グレーな職種の外国人技能実習生。
・ＥＰＡ（経済連携協定）はシンガポール、メキシコ、フィリピン、チリ、タイ、インドネシア。
・ワーキングホリデーで来日中の外国人を活用。
・新たに受け入れるのではなく、すでに生活していて日本の文化に少しは慣れている在日外国人に介護職の魅力を紹介する。
・2010年現在、ＥＰＡの枠組みによる外国人労働者の受け入れは、我が国の公的機関である国際厚生事業団のみがインドネシアの海外労働派遣・保護庁あるいはフィリピンの海外雇用庁と連携して就労希望をあっせんし、同時に日本国内の受け入れ希望施設を集約してマッチングをしている。

2010/12/06

　最近はマスコミによる報道もあって、3K職場として労働者から忌避され、それを裏付けるように離職率の高さも指摘される介護産業。ここへの外国人労働者受け入れについての実務的報告が扱われる。

　四部構成でなりたっており、第一部は今後の介護産業の今後の成長予測と日本における外国人労働者の歴史的扱い。第二部で実際の受け入れに関するアンケート調査がまとめられ、第三部では実際に外国人労働者受け入れの支援を行っているNPO法人からの報告と提言が行われる。最後に労働者輸出国と受け入れ他国の状況が述べられる、全体を総括した上で今後の展望と改善点が語られる。

　現場の視点からの、いわゆるボトムアップ的な現行制度への改善策が多く示され、役所仕事である外国人労働者受け入れ制度についての批判としてはなかなか面白い。もっとも介護労働の報酬に関するくだりは、感情的には理解できるものの、少し強引な論法がないでもないように感じられ、介護産業の苦悩がここでも垣間見えた。