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幻の旅路 1978年~1984年 ヨーロッパひとり旅
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幻の旅路 1978年~1984年 ヨーロッパひとり旅

大湾節子【著】

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幻の旅路 1978年~1984年 ヨーロッパひとり旅

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 茉莉花社/本の泉社
発売年月日 2010/08/30
JAN 9784780704730

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商品レビュー

4.3

3件のお客様レビュー

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2010/12/13

本書は著者が30代に足しげくヨーロッパへの一人旅に出かけ、旅のメモを基にして30数年を費やして執筆した「自分と正直に向かい合った心の日記」である。本書誕生に至る著者の気が遠くなるような30数年の年月と道程はこの労作に結実した。 著者は昭和女子大英米文学科卒業2年後の1969年に...

本書は著者が30代に足しげくヨーロッパへの一人旅に出かけ、旅のメモを基にして30数年を費やして執筆した「自分と正直に向かい合った心の日記」である。本書誕生に至る著者の気が遠くなるような30数年の年月と道程はこの労作に結実した。 著者は昭和女子大英米文学科卒業2年後の1969年に南カリフォルニア大学大学院シネマ科で5年間学び、今や彼女のアメリカ生活は40余年になる。 著者が初めてヨーロッパの旅に出たのは1978年、33歳の時であった。当時人生の一つの大きな挫折に直面したことが彼女をヨーロッパに駆り立てた。旅に憑かれ、旅をし続けることが彼女の人生の基軸となった。それはロサンゼルス(LA)に根を降ろした彼女の生活に襲いかかる困難と戦い且つ克服しながらの過程であったに違いない。事実、LAでの会社の同僚や東京での旧友たちから感じ取った彼女の「生き方への非難」は旅行中に夢となって現れたという記述が4ヶ所ある。そして、「こうして旅に出るのはいいが、何だか同じ同心円を描いて一生が終わってしまいそうな不安」(p.551)に悩まされる。それでも、彼女の旅は半端ではなかったのである。「自分と正直に向かい合った」決断と続行は、非日常の空間と時間を越えた。後年LAで写真展を何回も開催し、旅行写真家としての地位を築き上げた。 著者がこれまでにした旅行の範囲はヨーロッパにとまらないが、『幻の旅路』はなぜヨーロッパであったのであろうか。「幼少の頃からヨーロッパの映画や音楽、文学や美術の世界に影響を受けていた」という記述が「序 旅のはじめに」に見られるが、これが、困難をはらんでいても、彼女にとって自然な心の成り行きであり、帰結であったことが読み取れる。  2万3千余のコマのネガから選んだという40枚のカラー写真の一枚一枚が、本書を読み進むと、刻々と変化する著者のある瞬間の内奥を垣間見る、生きた風景になる。「追憶の場所、旅の記録」なる巻頭ページのサブタイトルの下にある写真は、60歳を過ぎて出版準備の具体的作業を開始した著者の心を占めていたものではなかったか。40代で本書初稿の出版チャンスがなかったわけではなかったとのことであるが、仮にその時出版していたら、この写真は巻頭には来なかったと、私は思う。本文を読み進みながら、私は何度ページをめくって、カラー写真と序文に戻ったかしれない。  そして、巻頭を飾る40枚のカラー写真も、本文の記述と一致して掲載されている280枚の白黒写真も、日本がバブル経済の恩典を受けて一般化されてきた海外旅行以前に、著者の内奥メッセージとして撮られた作品であることを、私は痛く感じた。彼女が一番好きだったのは、スイスのブリエンツ湖畔であったらしい。  写真に劣らず重要な比重を占めているのは、人との出会いであった。文筆の道を歩むジャン・ピェール、ヴァイオリニストのマーク、『旅情』のキャサリン・ヘップバーンや『終着駅』のジェニファー・ジョーンズのようにはいかなかったけれど、著者が恋心を抱いたビジネスマンのアルベルト、やさしい町娘ファニー、著者を歓待してくれたディーニュ(フランス)のホテル・オーナー一家など、忘れ得ぬ人たちの出会いの発端とその後の経過は実にインスピレーショナルで、その人たちの大半との交情は、何千マイルも離れて暮らしてきても、現在に至るまで続いている。邂逅のすばらしさは求めずしては与えられないことを、読者は学ぶ。  邂逅のハイライトの一つは、私(筆者)の独見で、「スイス・ヴィルデック城の窓辺のプラント」(p.20 1993.09.04撮影)であろうか。本文での記述はないが、「2000年の私(著者)の写真展で、この城の子孫と偶然巡り合い友だちになる」とのキャプションは、正に奇遇のドラマを感じさせる。  私が心打たれた写真は、「晩秋のベルサイユの森」である。厳しさのある美である。「夕暮れの中、向こうに消えていく」男が、私には、『第三の男』の忘れ得ぬ最終場面で去り行くアリダ・ヴァリを想起させた。アントン・カラスのチター演奏が聞こえてくるではないか。私の瞬時のひとりよがりのこの発想は、著者には意外な驚きになるかもしれない。  本書は視覚的な喜びを享受し、本文を心で読む本である。著者の感性がヨーロッパへいざない、駆り立てたのだから。  著者のライフワークとなった労作の一読をぜひお勧めしたい。

Posted by ブクログ

2010/11/08

素敵な本。とくに最初の頁のカラー写真の美しさ、なかなかのカメラセンス。 序やあとがき、そしてところどころ拾い読みしながら旅の楽しさを感じている。

Posted by ブクログ

2010/11/06

最初、640頁の長編で字が小さいので、読めるか? と心配になったが、とても興味深い内容に引き込まれ、本から目が離せなくなった。自分までヨーロッパのどこかに旅をしているような街の雰囲気、人々の表情、匂いまで感じられるような気がしてくる。楽しみながら、ゆっくり読むには最高の本。

Posted by ブクログ

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