佐藤さとるファンタジー全集 復刊版(1) だれも知らない小さな国

佐藤さとる【著】

• 販売会社／発売会社: 講談社/復刊ドットコム
• 発売年月日: 2010/09/10
• JAN: 9784835445434

商品レビュー

2017/02/16

小2の頃、初めて読んだ。コロボックルの世界に引き込まれて、当時の表紙絵の男の子が木に登って望遠鏡を覗いている場面を真似して、木に登って読んだり、大きめの葉っぱを傘がわりにしたりした。テレビで『冒険コロボックル』という番組がやっていたが、内容は全然違うものだった。

2010/09/23

小学校三年生のときだった。もちの木をさがしにいったぼくは、こんもりした小山や杉林にかこまれた、三角形の平地をみつけた。小さないずみがわき、まっかなつばきの花のさく、どこかふしぎな感じのする場所だった。――そして、とうとうぼくは見た。小川に流れていく赤いくつの中で、虫のようなものが動いているのを。小指ほどしかない小さな人たちが、手をふっているのを!それ以来、コロボックルと名づけた小人たちと仲良くなった「せいたかさん」は、彼らの国をつくろうと奔走する。

小学校の頃、夢中で読んだ作品。絶版だったファンタジー全集が復刊されたのを機に、十年ぶりくらいに読み返しました。やっぱり、本物の物語は何年たっても子供だろうが大人だろうが面白いんだ、と再認識。私にとっての小人=コロボックルであり、ファンタジーの原点はここにある。豊かな自然や人間の畏れ敬う気持ちが決してなくしてはいけないものだと諭されているような気持ちになる、「日本のファンタジー」だと思う。
せいたかさんの目線に立って、まるで今自分の周りで見えた影はコロボックルたちじゃないか・・・そんなことを思ってしまうくらい、佐藤さんの世界はリアルで、戦後すぐの時代の話のはずなのにやけにすんなり入っていける気がします。必死で自分たちの場所を守ろうとする彼らが皆カッコいい!そしてそれを純粋に助けようとするせいたかさんや、おちび先生の凛とした姿に憧れます。そしてもしこんな事態が起きたら、自分もこうあれますように。村上先生の絵もとても素敵でした。