わたしはここにいる、と呟く。 徳間文庫

新津きよみ【著】

• 販売会社／発売会社: 徳間書店
• 発売年月日: 2010/09/02
• JAN: 9784198932244

商品レビュー

2019/11/29

短編。

自分を残して家を出た母に対する思いと、認知症になっている母。

探し物を見つけるのが得意な母の指輪を、両親が仲良くして欲しいからと隠した娘の気持ち。

自分の人生を楽しむ術を見つけた主婦と、娘の夢のためにとお金を出し続けた母の後悔。

担任がいじめに気付いてくれなかったことを恨み、介護される立場になった先生に仕返しするヘルバー職員の次のターゲット。

写真が嫌いだと言った昔の歳の離れた妻子ある男との思い出を断ち切るために、そのとき盗んだ写真を持ち主に返すことにした女。
娘の結婚を認めない父が見せられた写真に写っていた人物。

正義感が仇となり殺された兄の死を悔やんでいる妹と、事件の現場にいた人たちのそれぞれの思い。

くじ運の良い友達が指名手配犯として時効間近で逃亡していることと、彼女と買って預かっている宝くじの大金。

最初の話、もっと掘り下げれば面白かったのではないかと思う。終わり方に拍子抜けした。
最後のくじ運の良い指名手配犯の終わり方は気持ちが良い。

2017/05/24

一言でまとめると、懸命に生きる女性たちの数奇な巡り合わせと因果応報の短編集。

初めて読む作家さんでタイトルとカバーイラストの雰囲気に惹かれて購入。切ないお話なのかな、と……。
一話目の後味の悪さにそれらの前印象を裏切られた気分になり続きを読むのが躊躇われたけれど、読み進めるうちに頁を捲る手が止まらなくなった。予想していたものとは違ったけれど、なかなかどうして、面白い。読まされる感覚。

わたしはここにいる、というタイトルが印象的だけれど、読んでみるとあなたの居場所、どこにもなかったね……と呟きたくなる。そんな一冊。

2012/10/29

表紙につられて。
最近、表紙買い多い気がする。

「さがす」をテーマに書かれた、７つの物語。

＊わたしを探して
＊時のひずみ
＊あなたの居場所
＊忘れはしない
＊思い出を盗んだ女
＊あの日あのとき
＊その日まで

後味の良いものばかりじゃない。

さまざまな後悔。
手遅れになる前に気付けるかはその人次第。