パレスチナに生まれて

ナージーアル・アリー【著】, 露木美奈子【訳】, 藤田進【監修】

• 販売会社／発売会社: いそっぷ社
• 発売年月日: 2010/06/20
• JAN: 9784900963481

商品レビュー

2024/02/29

パレスチナからイスラエルに向けての抗議の風刺漫画かと思っていたけど、かなりアメリカやアラブの支配者エリート（太った猫）も風刺されている。
なんか、今はやっぱりイスラエルがちょっとヤバすぎるし誰も止められないみたいな感じな気がするけどそこに至る所でヨーロッパやアメリカにも責任はあるよなと思う。
もちろん日本人の私の傍観態度もそうなんだけど

色々歴史を知らなすぎるので深く入れないところもある。これが身近に起こっていて、誰も声をあげられなくてって状況だったらすごく救いのようなものなんだろうな

2024/01/07

1917年から2009年までの、パレスチナが歩んだ苦難の道。
読み終わって、私は何も知らなかったんだな、知ろうともしていなかったんだな、と、自分が嫌になってしまった。が、知る機会を得られた今、自分の意志も定まった気持ち。

今回の、イスラエルによるガザへの空爆などの大量虐殺に対し、即時停戦を求めて始まったwithhandala運動。好きな漫画家さんが発起人だったので興味をもち、この本もその流れで貸して頂き読んだ。
ハンダラという名の難民の少年が、パレスチナの惨状や、イスラエル、アラブの支配層がアメリカの意のままに操られている様子を、後ろで手を組みながらじっと見据えている作品。
記号化されたようなシンプルなものから、モノクロなのに、生々しく赤い血が見えるようなものまで、時代の流れに合わせて収録されている。
パレスチナの難民キャンプで成長した作者のナージー・アル・アーリーは、1987年、50歳のときに、体制側の脅迫から逃れて移り住んだロンドンで暗殺されてしまった。
今生きていたら86歳とか。そうか、もう亡くなっているのか、と、まずそこでふっと気持ちが暗くなってしまう。

ナージーがパレスチナの惨状を訴え続けながら亡くなって、35年も経つのに、何も変わっていないどころか、今までバカみたいに詳しいことを知らないでのほほんと生きていた私のような人間ですら知ってしまうほどに現状は悪化している。どうしてなんだろう。

これを読むと、イスラエルVSパレスチナ、ていう単純な構造では全然ないというのがよくわかる。始まりはイギリスの委任統治権放棄、産油国でありながらほんの一部のアラブ支配層以外には酷い暮らしを余儀なくさせている、アメリカをはじめとする大国のコントロール、支配の強大さ。

紅白で、ウクライナのことは取り上げてパレスチナのことには触れないのはどうしてだったのか、今更ながらよく分かった。
知らなかったでは済まされないけれど、普通の生活を普通に送っていたら入ってこないようにされているようにも感じて怖くなった。

2023/11/01

・ パレスチナ問題の一番の被害者であるパレスチナ難民について、対イスラエル、対アメリカ、対アラブ諸国(例えばエジプト。1878 年のキャンプデービッド合意からは対イスラエル方針転換)、対 PLO 等々、様々な角度から考えさせられた。
・冒頭で、「20 世紀の前半にパレスチナにもともと住んでいた人々に起こったことに気づかずにいる人には、ナージー・アル・アリーの漫画も、今日の中東全体の状況も理解しがたいことだろう。」と書かれていたが、本当にその通りだと感じた。