氷海のウラヌス

赤城毅【著】

• 販売会社／発売会社: 祥伝社
• 発売年月日: 2010/06/20
• JAN: 9784396633417

商品レビュー

2013/01/30

太平洋戦争開戦前、日本はドイツを味方につけるべく
隠密に行動した作戦「暁工作」。その密使は日本が
開発した驚異的性能の魚雷「九三式魚雷」をヒトラーへの
土産として届け、かつドイツの参戦を取り付ける...という
あくまでも裏からの工作。故に2人の海軍軍人はドイツの
仮装巡洋船「ウラヌス」に乗り込み、北極海ルートで
ドイツへと向かう...。という軍モノ海洋冒険小説。

国籍を越えた軍人...というより船乗りとしての
男達の絆、そして戦争がもたらす死。悲劇。
分かっていながらも、やはり読んでいて胸が
ググっっとなる熱い場面が盛りだくさん。
戦火の中、それぞれが自分に与えられた使命、
そしてなによりも何が一番大切なのかを、自分で
考えて行動する熱い男の姿と、ツンデレな
人種偏見思想のドイツ人艦長と日本人2人の
友情に熱くなってください(笑)。

2013/01/07

不覚にも、クライマックスで泣きそうになった。

単純だけど、何かに殉じる人間の姿って、涙を誘う。

望月老人が病床で泣くのは、堀場の心を知ったからではなく。共有してくれる人間が現れたから、だと思う。

堀場の心情は、望月老人にだってわかってはいたはず。
ただ、それを理解してくれる人間。伝えてくれる人間がいなかっただけ。
あの病室の場面で、初めて理解したってことはないですよ。

自分以外の第三者から語られることによって、個人の感情でなく事実として、望月老人の心に響いたんだと、思います。

ずっと長い間、一人で考え閉じ込めていた感情を、あのとき解放されたんだと思います。

2010/11/26

最近読んだ本の中では異色中の異色。
ジャンルとしては仮想戦記もの？

第二次世界大戦前夜、日本の軍人がドイツの仮装巡洋艦に乗ってドイツを目指し、ソ連潜水艦やイギリス艦隊と交戦した、というもの。

軍人の描き方はややステロタイプだし、ストーリー自体も意外な展開というものはほぼ無かったんだけど、それほど大規模な武装をしていない仮装巡洋艦ウラヌスが、イギリス艦隊を相手取って懸命に闘う様子にはアツくさせられました。