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聖ヨハネ病院にて 新潮文庫
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聖ヨハネ病院にて 新潮文庫

上林暁(著者)

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聖ヨハネ病院にて 新潮文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 新潮社
発売年月日 1993/11/01
JAN 9784101500119

聖ヨハネ病院にて

¥495

商品レビュー

3.3

3件のお客様レビュー

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2018/11/06

やはり私は大衆文学・娯楽小説だな。 上林暁(かんばやし あかつき、1902-1980年)さん、一言でいえば私小説家です。これまで未読。 元々、私小説は苦手なのでめったに手を出さないのですが、ある人が話題にしているのを見て読むことにしました。 ちなみに新潮文庫の復刻版で旧字旧仮名...

やはり私は大衆文学・娯楽小説だな。 上林暁(かんばやし あかつき、1902-1980年)さん、一言でいえば私小説家です。これまで未読。 元々、私小説は苦手なのでめったに手を出さないのですが、ある人が話題にしているのを見て読むことにしました。 ちなみに新潮文庫の復刻版で旧字旧仮名遣いです。 最初の短編『薔薇盗人』。これは良い。 怠惰な親を持ち貧窮に喘ぐ少年が病気の妹を慰めるため、校庭に咲いた一本のバラを盗む。昏く貧しい家の垢まみれの布団に寝る少女の胸の上の一輪の赤いバラ。モノクロの一部にカラーを入れた写真のように鮮やかに浮かび上がります。「書いた」と言うより「刻み込んだ」という味わいの文章と共に見事な作品です。ただ、これは私小説ではありません。 続く『天草土産』『野』。 旅や散歩で出会う情景とその中で想う事を綴った私小説。描写は美しく、時に『薔薇盗人』のような色彩の鮮やかさが有り、これが上林さんの特長かと思う。しかしそれだけ。巻末の解説で伊藤整(それだけでも凄い事ですが)が『野』を最高傑作と呼んでいるのですが、伝わって来ない。 『二暇人交游録』『小便小僧』 ちょっと諧謔があって面白いが、一方で破滅型の生活無能力者である事を誇る文学至上主義がチラチラ見える。貧乏を嘆きながら、友と将棋、釣り、酒にうつつを抜かし、家庭を顧みない。 そして『明月記』『聖ヨハネ病院にて』 上林さんの代名詞的な“病妻もの”。奥さんは精神病を患い、戦後まもなく栄養失調も伴って亡くなるのですが、その看護の様子を描いた作品です。献身的なような、違うような。毎日泊りがけで付き添いをし、妻に優しく接しようと考えながら、一方で逃避し、激しく辛く当たる。そういう自分の言行不一致を露悪的に描き、妻からは「どうせ小説のネタにするのでしょう」と指摘されたりする。 やはり私はこういう破滅型の私小説と言うのは苦手なようです。確かに文学的には高いものなのでしょうが。。 ネット上で「読んで楽しい作品が大衆文学で、読むと考えさせられる作品が純文学作品。」という定義を見かけましたが、私は文学(読んで考え学ぶ)より文楽(ブンガク;読んで楽しむ)の方が良いようです。

Posted by ブクログ

2010/06/06

1949年版ではなく、新潮社の復刻文庫で読んだ。 帯には 「狂った妻に添う夫の献身。至純の夫婦愛を描く名作」 とあるのだが、果たしてそうか?。 作中、隠しておいた芋を妻が食べてしまうシーンがある。夫は当然ながら、それを詰る。 「駄目ぢやないか。俺の朝飯がなくなつたぢやないか。弁...

1949年版ではなく、新潮社の復刻文庫で読んだ。 帯には 「狂った妻に添う夫の献身。至純の夫婦愛を描く名作」 とあるのだが、果たしてそうか?。 作中、隠しておいた芋を妻が食べてしまうシーンがある。夫は当然ながら、それを詰る。 「駄目ぢやないか。俺の朝飯がなくなつたぢやないか。弁当も食べないで、介抱が出来ると思ふのか。俺が倒れたら、どうする。さうしたら、誰があんたを介抱してくれるんだ。今夜から家へ帰つたきり、もう病院には来ないよ。」 悪口雑言だが、一面真実でもある。戦時中の事ゆえ、しょうがないのだ。病人は我侭だから、それに付き合うのは大変である。引いた一文でもって、夫は妻に愛情の欠片も無い断じるのは、早計である。ただ、愛情があるから・・だけではない。 それだけでは、共に生きては行けない、ましてや相手が病人とあっては・・。 私が純なものを感じたのは別の作品で、森という男を主人公に据えた「天草土産」である。終焉の部分で、 「三重は疲れがひどいらしく、横になるとすぐに瞼を閉じてしまつた。森は疲れてゐるのに眼は冴えるので、薄暗い灯の下で、ヴエルレエヌの詩集を取り出した。一つ二つ詩を読んでゐると、急に瞼が疲れてきた。一眠りしようと思って、詩集をぽたりと取り落し、ふと三重の顔を見ると、実に健やかな鼾を立ててゐて、顔の表情には、一点の翳も曇りもなかつた。森は唇をそつと三重の頬へつけた。」 長くなったが、若く、田舎者丸出しの妻・三重の飾らなさを森は愛しておりながらも、一寸、困らせられたりもする。されど、横溢する愛情を此処に感じた。 だが、これは若い夫婦の小旅行に於ける情景だ。この三重との結婚生活が、聖ヨハネ病院の景色へと繋がるのに、然程、長い時間を必要とはしないと思われる・・。 結婚は愛を殺すと迄は云わないが、変質させるものではあると、そう思うのだ。 (引用文中の旧漢字は独断で改めました)

Posted by ブクログ

2007/03/09

1995.6.26これ、雰囲気あるし、好きなんですよ。ハッピーじゃないけど、救われないばっかでもないような。

Posted by ブクログ

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