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無実はさいなむ ハヤカワ・ミステリ文庫
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無実はさいなむ ハヤカワ・ミステリ文庫

アガサ・クリスティ(著者), 小笠原豊樹(著者)

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無実はさいなむ ハヤカワ・ミステリ文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 早川書房
発売年月日 1991/06/30
JAN 9784150700300

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無実はさいなむ

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2022/11/12

「アガサ・クリスティ」のミステリ長篇『無実はさいなむ(原題: Ordeal by Innocence)』を読みました。 「アガサ・クリスティ」作品は、今年の6月に読んだ『殺人は容易だ』以来なので約2ヶ月振りですね。 -----story------------- 慈善家の老婦...

「アガサ・クリスティ」のミステリ長篇『無実はさいなむ(原題: Ordeal by Innocence)』を読みました。 「アガサ・クリスティ」作品は、今年の6月に読んだ『殺人は容易だ』以来なので約2ヶ月振りですね。 -----story------------- 慈善家の老婦人が殺され、評判の悪い養子の「ジャッコ」が逮捕された。 彼はアリバイを主張したものの有罪となり、獄中で死んだ。 それから二年後、外国から帰ってきた男が、「ジャッコ」の冤罪を告げに遺族の住む屋敷を訪れた。 が、その来訪は遺族にとって迷惑だった。 落着したはずの事件が蒸し返されることになったのだ。 ----------------------- 1957年(昭和32年)に刊行された「アガサ・クリスティ」のミステリ長篇、、、 「エルキュール・ポアロ」も「ミス・マープル」も登場しないノン・シリーズモノですが… 以前、「ミス・マープル」モノに変更されて、アレンジを加えられた映像化作品の『ミス・マープル3 無実はさいなむ』を観たことがある作品です。 資産家の「レイチェル・アージル」は、子に恵まれなかった… 彼女は慈善事業に乗り出し、やがて何人かの 身寄りのない子ども達を養子に迎えた、、、 ある日「レイチェル」は何者かに殺され、 養子たちの中で一番の問題児「ジャッコ」が逮捕される… 彼はアリバイを主張したが、アリバイが証明できず有罪となり、その後、獄中で病死する。 その2年後、北極探検や交通事故でしばらく俗世界と隔たっていた地理学者「アーサー・キャルガリ」が 遺族の住む屋敷を訪れ、「ジャッコ」のアリバイを証言し、彼は無罪だと告げる… 「ジャッコ」の犯行ということですべて決着がついていたはずの事件が 新たな証人の登場で再び動き出す、、、 真犯人は誰か!?「レイチェル」の夫「リオ」、 「リオ」の秘書「グェンダ・ヴォーン」、家政婦の「カーステン・リンツトロム」、養子の「メアリ」、「マイケル」、「へスター」、「ティナ」、そして「メアリ」の夫「フィリップ・デュラント」… それぞれが、昨日までと違う疑心暗鬼の目で周囲の人間を見るようになる。 出来の悪い息子「ジャッコ」の犯行と言うことで解決していた事件が、新証人が現われ、「ジャッコ」は無罪、犯人はまだ家庭内にいるという事になり、疑心暗鬼になった家族の視点から物語が描かれており、心理描写をじっくりと愉しめる作品でしたね… 探偵役は、一応「キャルガリ」なんですが、冒頭と終盤しか目立った出番がないので、「クリスティ」も、推理することよりも、心理描写を愉しまそうと意図て描いたんだと思います、、、 それにしても、「ジャッコ」の評価が序盤・中盤・終盤では、全く異なるという展開… 「クリスティ」らしいといえば、らしいのですが、、、 犯罪者と思っていた人物が、無罪と思え、そして、実は裏で犯罪の糸を引く犯罪者だったとは… 騙された家政婦の「カーステン」も、加害者とはいえ、被害者でもあったんですよね。 「ジャッコ」の被害に遭った女性の証言、、、 「ジャッコのやり方は実に巧妙でした。  そう言う女に、心底惚れたふりをする。  いったん信じ切ってしまうと、女という者はこわいものです」 という、言葉に、事件の真相に繋がる愛憎が収斂されている感じがしましたね… でも、似たようなストーリー展開や動機が、別な「クリスティ」にもあったような気がしますねぇ。 でも、思い出せません… まぁ、「クリスティ」らしさが愉しめる作品だったので、別にいいや。 以下、主な登場人物です。 「アーサー・キャルガリ」  地理学者 「レイチェル・アージル」  資産家 「リオ・アージル」  レイチェルの夫 「グェンダ・ヴォーン」  リオの秘書 「メアリ(ポリー)」  アージル家の養子 「マイケル(ミッキー)」  アージル家の養子 「ジャッコ(ジャック、ジャッキー)」  アージル家の養子 「ヘスター」  アージル家の養子 「ティナ(クリスティナ)」  アージル家の養子 「フィリップ(フィル)・デュラント」  メアリの夫 「モーリン」  ジャッコの先妻 「カーステン・リンツトロム」  アージル家の家政婦 「マクマスター」  老医師 「ドナルド(ドン)・クレイブ」  若い医師 「アンドリュウ・マーシャル」  弁護士 「ヒュイッシ」  警視

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2019/06/29

今BSでドラマを放送しているので第1話を見たところで読んでみた。(2019.6.22,29,7.1 3話放送) あるお屋敷で夫人が殺される。夫人には5人子供がおりそのうちの一人が逮捕される。そして子供は全員養子だった。この説明で興味をもった。 時代は第二次世界大戦前夜から発表...

今BSでドラマを放送しているので第1話を見たところで読んでみた。(2019.6.22,29,7.1 3話放送) あるお屋敷で夫人が殺される。夫人には5人子供がおりそのうちの一人が逮捕される。そして子供は全員養子だった。この説明で興味をもった。 時代は第二次世界大戦前夜から発表時1958あたり。テレビをみてもうるさいばかりでつまらない、などという記述もある。 物語は、犯人とされたジャッコにアリバイがあるとやってくる男の来訪から始まるが、それでは犯人は誰?と他の兄弟、残された父とその秘書、家政婦が疑心暗鬼になる。それぞれの描写が次々に続き、夫人に対する感情が露わにされる。それがこの小説の一番おもしろい所だ。また養子についてはクリスティはあまり肯定していないのか?  警部の言葉で「殺された人間はどんな人間だったか。世間の人は犯人の精神状態にばかり興味をもちすぎる」というのがある。これは自伝でも述べている。 今回またしても殺された夫人はひとりよがりな性格。子供ができなかったため次々に養子をとるが、養子たちは夫人の子育ての満足の道具にすぎなかったという設定。「スタイルズ荘の怪事件」(1920)「春にして君を離れ」(1944)に次ぎ、このあと「鏡は横にひび割れて」(1962)もそうだ。どうしてもクリスティはひとりよがりの女性は殺されることにしたいのか? 自伝を読むとこの性格はクリスティ自身にもあるし、それゆえ最初の離婚となったのかと思えるし、クリスティの母にも感じる。 クリスティ作品の殺された人の性格一覧を作ってみようかなどと思った。 NHkBSHP https://www4.nhk.or.jp/mujitsu/ ドラマはなんと犯人が違う人になっていてびっくり。登場人物の性格設定や関係も少し違っていた。原作とは別物と考えた方がいい。7.7 1958発表 1978.2.15初版、1984.11.3011刷 図書館

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2017/12/30

ある晩、サニーポイントと呼ばれるその家に一人の男が訪ねてきた。 罪に問われ既に獄死した男の無実を、自分は知っていると伝えるために。 訪ねてきた男は交通事故で記憶喪失となり、さらに南極探検隊に加わったため、当時の事件の顛末を全く知らず、今頃になって彼のアリバイを証明できるというのだ...

ある晩、サニーポイントと呼ばれるその家に一人の男が訪ねてきた。 罪に問われ既に獄死した男の無実を、自分は知っていると伝えるために。 訪ねてきた男は交通事故で記憶喪失となり、さらに南極探検隊に加わったため、当時の事件の顛末を全く知らず、今頃になって彼のアリバイを証明できるというのだ。 だが、その家の家族に喜びはなかった。では一体誰が、この家の女主人を殺したというのだ。 養子縁組の繰り返しで複雑に入り組んだ家族間に疑心暗鬼が広がっていく。 「問題は正義の裁きということではない、無実の人たちがどうなるかだ」 アガサ・クリスティーお得意の、登場人物たちの心理面での葛藤を物語の中心に据えた作品です。 有罪で死んだ人物の名誉回復などより、無実なのに疑心暗鬼に陥り苦しむ人々。 それぞれがその家の誰かを怪しみ、また誰かを庇おうと駆け引きが錯綜します。 疑心暗鬼が疑心暗鬼を呼び、誰もがはっきりと語らないままに空気が重苦しくなっていく描写はさすがに手慣れたものです。 その家族構成もこうした葛藤を呼ぶにふさわしい舞台設定となっています。 これまたクリスティーが得意とした、暴君の女主人とそれに従わさせられている家族たち。 しかし、今回の「暴君の女主人」は一風変わっていて、慈善事業に力を注ぎ最大限の「善」を周りに強制するタイプで、実子がいない彼女ら夫妻は貧困や悪境遇の子らを養子として迎え、彼・彼女らに最大限の生活を与えてきたという「女暴君」です。 クリスティーは、古代中国では慈善は美徳でなく悪徳であると解されてきたというこの言い伝えをそのままに、強制された慈善は受け取る側に鬱屈や憎しみを醸成するという状況を巧みに作りだし、何とも言えない「家族」間の葛藤を生み出したといえるでしょう。 そしてさらにクリスティーの得意とした回想殺人物とくれば、クリスティーの真骨頂が味わえるというものです。 ちなみに、私は真犯人は別の人だと思っていましたが外してしまいました。それより、不意の来訪者ことキャルガリ氏の明晰な推理の神がかり様が納得いかーん!(笑) ですが、割ときれいにまとまった作品だったのではないでしょうか。 この作品は、ドナルド・サザーランド主演の『ドーバー海峡殺人事件』として映画化されたのですが、『オリエント急行殺人事件』に始まり『ナイル殺人事件』『クリスタル殺人事件』『地中海殺人事件』といった先行作品がエルキュール・ポワロやミス・マープルが登場した作品なのと、映画としても華やかさや美しい風景で魅せてくれた作品だったのに対し、『ドーバー海峡殺人事件』は上記の通り「名探偵」が登場せず、映画の雰囲気も全体として暗かったと記憶していて、人気も今ひとつだったようです。 クリスティーのお得意な物語構成だっただけにちょっと残念ですね。 DVDも無いようですが、久しぶりに観てみたいなあ。

Posted by ブクログ

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