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その数学が戦略を決める 文春文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2010/06/09 |
JAN | 9784167651701 |
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商品レビュー
3.8
89件のお客様レビュー
2007年に単行本、2010年に文庫化ということで、世の中でビッグデータがもてはやされ始めた時期の作品です。内容的には、マネーボールや標準偏差などの話題に触れながら、「絶対計算」の未来と限界を論じたもの。 以下は、閑話休題。 本書の翻訳者は山形浩生氏。 1964年、東京都に生まれ...
2007年に単行本、2010年に文庫化ということで、世の中でビッグデータがもてはやされ始めた時期の作品です。内容的には、マネーボールや標準偏差などの話題に触れながら、「絶対計算」の未来と限界を論じたもの。 以下は、閑話休題。 本書の翻訳者は山形浩生氏。 1964年、東京都に生まれる。麻布中学に入学し、学校の帰りに橋本治の『花咲く乙女たちのキンピラゴボウ』を立ち読みして影響を受ける。また、当時からSFや漫画にも興味があったという。中学校3年生ごろから御茶ノ水の駿台予備校に通う合間に秋葉原へ行くなど、パソコン少年でもあった。予備校には、秋山仁と山本義隆の講義を受けるために通っていた。麻布高等学校を卒業し、東京大学理科I類に入学する。東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻を経て、野村総合研究所研究員となる。その後、マサチューセッツ工科大学大学院不動産センター修士課程を修了する。 野村総合研究所で開発コンサルタントとして勤務する傍ら評論活動を行っている。また先鋭的なSFや、前衛文学、経済書や環境問題に関する本の翻訳を多数手がけている。(ウィキペディア) 文庫本あとがきで、質問に対する著者からの丁寧な返答に「ありがとう」、翻訳ミスを指摘してくれた人にも「ありがとう」・・でもそこは、「ありがとうございます」でしょう!確かにすごい経歴ですが、ここではイチ翻訳者であるという立場がわかっていないと思わせる俺様感が強烈。 イアン・エアーズ:経済学者、弁護士。イェール大学ロースクール教授 NYタイムズ、ウォールストリート・ジャーナル、FTなどに寄稿。彼の研究はプライムタイム・ライブ、オプラ、グッドモーニング・アメリカ(いずれもテレビ番組)でも取り上げられている。ベストセラー『その数学が戦略を決める』など、著作は10冊に及ぶ。イェール大学およびMITで学位を取得。
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本書の原題は『Super Crunchers』。絶対計算者たちという意味だ。2007年に上梓されたものなのだが、絶対計算が世界を支配しているという実感はない……が、インターネットが普及して統計調査が低コストでできるようになった今、cookieを使った追跡型広告を含め、消費者の知ら...
本書の原題は『Super Crunchers』。絶対計算者たちという意味だ。2007年に上梓されたものなのだが、絶対計算が世界を支配しているという実感はない……が、インターネットが普及して統計調査が低コストでできるようになった今、cookieを使った追跡型広告を含め、消費者の知らないところで普通に支配されているのかも知れない。標準偏差を用いた2SDルールという考え方を有効に使えるようになりたいと思った。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
巨大企業がビッグデータを活用しているというニュースを頻繁に耳にするようになったIT全盛の今、データってすごく活用できるんですよと言われると、そりゃそうでしょうと思わない人は少ないだろう。それだけでなく、AIが発達して人間から仕事を奪うという意見もよく耳にするようになった。この本はまさにそんな統計データが想像しているよりもずっと多くの場面で活用されているということだけでなく、統計データの解析と人間の関わり方についての本でもある。ただ、取り上げられている理論を詳細に解説するような本ではないので、より深く勉強するには他の専門書を手に取った方がよい。 活用法は脚本の段階で興行収入を予測したり、教育政策の効果を検証するなど企業から正負までたくさんの例が紹介されているのだが、その中で印象的だったのはワインの品質(値段)が log e (その年のボルドーワインの平均価格/61年物の平均価格) = -12.145 + 0.00117×冬の降雨量+0.616×育成期平均気温-0.00386×収穫期降雨量+0.0238×熟成年数(83年の時点) という方程式で導けるという主張だった(実は上式は本文中のものとは違う。これについては後述)。というのも、偶然にも先日読んだ『熱狂のソムリエを追え!』では味覚や嗅覚などの感覚を極限まで高めてワインの評価をするソムリエたちを通してワインについて語られていたからだ(こちらもとても面白かった)。この本ではそのような主観的要素を排した統計データの解析でワインの評価をする話が初めに書かれていて、同じワインに対してここまで方向性の違うアプローチがあるということに面白さが感じられた。 そもそもワインの品質と値段を同一視していいのかという意見もあると思われるが、これについては『熱狂のソムリエを追え!』でも同じ話はあった。それによると、ある一定の値段までは値段に伴って品質も向上するが、そこを越えると希少性が高まるのでさらに値段が上がるということだった。とはいえ、訳者付記でも書かれていたように品質を現実的に判断するのに値段を用いるのはそれなりに有効であるという主張には納得できるところもある。 このように具体例を挙げるだけだったら感心して終わりだったが、この本の主眼は別のところにある。最近AIが人間の仕事を奪うのではという意見がよく見られたが、ここでも同じ話が出てくる。一般人だけでなく、専門家の予測よりも統計データに基づく予想の方が優れているという結果がたくさん出てきているからだ。医者の下す診断よりも、データから同じ症状を示す病気を調べた方が正確だったという話は聞いたことがある人もいるかもしれない。それでは人間はいらなくなるのかというと、そうではない。これがこの本の後半の論点で、正しくデータを活用するには人間は必要で、うまく折り合いを付けなければいけないという話になる(ただし、きちんと知識を身に着けたうえで)。というのも、先程は主観的要素を排してと言ったが、分析に使う変数や、分析の結果から何をするのかを決めるのは人間だからだ。いずれにせよ、これからの時代を生きていくには色々なことを学び続けないといけないということなのだろう。 最後に先程のワイン方程式だが、気になって調べてみたところ訳者など複数の人が検証していた。詳しくは下記を参照していただきたいが、論文から引用する際のミスで式が本来のものとは違っているようだ。情報を鵜呑みにせず自分で調べることも大事だということを再確認するという副次効果を得られたということにしよう。 https://cruel.hatenablog.com/entry/20150121/1421802947 http://tenmei.cocolog-nifty.com/matcha/2014/07/post-746c.html
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