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『七人の侍』と現代 黒澤明再考 岩波新書

四方田犬彦【著】

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 岩波書店
発売年月日 2010/06/18
JAN 9784004312550

『七人の侍』と現代

¥220

商品レビュー

3.6

10件のお客様レビュー

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2020/02/24

(01) 1954年に公開された映画を約半世紀後の時点で分析する. 個人的な映画体験から,この映画を体験した国際的な情況,制作された時代の背景,当時の時代劇の趨勢,また,この映画が対象した16世紀末にまで光をあて,現代との接続を試みている. いくつかの疑問が残る. この映画のヒッ...

(01) 1954年に公開された映画を約半世紀後の時点で分析する. 個人的な映画体験から,この映画を体験した国際的な情況,制作された時代の背景,当時の時代劇の趨勢,また,この映画が対象した16世紀末にまで光をあて,現代との接続を試みている. いくつかの疑問が残る. この映画のヒットによりジャンルとしての「七人の侍」が現れ,有名な「荒野の七人」をはじめ類似する映画が後続したとする.が,その背後にはさらに,「七人の侍」が寄って立つところの物語の典型的なプロットや民俗,そして人類学的類型があったと考えることができないだろうか. また,歴史的な解釈をめぐって,この映画の監督である黒澤明は,侍側や百姓側に偏向しており,野伏せへの理解が欠けていると著者は指摘する.そしてその原因には,黒澤の二元論的な認識の枠組みや,当時の歴史学の成果から得られた認識の限界を指摘する.しかし,この映画で野伏せの個性が描かれていないのは確かであるが,野伏せが描かれていないわけではない.この野伏せの描写の意味はより深く点検されてよいし,脚本執筆時には,野伏せが侍や百姓と相同的な存在であったことは知られていたし,映画描写の細部からみても,歴史的な背景の探索にあたって,そうした史料や論考を参照した蓋然性は高い.むしろ問題にさせるのは,なぜあのように野伏せを描かないように描いたかであり,黒澤の歴史的認識や偏向による限界であるというより,それは黒澤が選び取った演出方法であるともいえる.

Posted by ブクログ

2019/03/23

七人の侍とゴジラは同年公開。いずれも、まだ戦争の記憶がまだ生々しく残っている中での作品であることを思い起こすと、七人の侍のラストシーンにもまた違った感慨が湧いてくる。パレスチナやユーゴスラヴィアなど紛争地で七人の侍がいまだアクチュアルであり続けることから出発する評論。

Posted by ブクログ

2019/01/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

一章では黒澤の死をめぐっての個人的な感想ではじめる。そこから「映画ジャンルと化した七人の侍」と章立てして二章に入り、1960年にハリウッドのジョン・スタージェスによって、「荒野の七人」(原題Magnificennt Sevenn:気高き七人)としてリメイクされたところから話を始めて、あまたのアジアの映画から果てはアニメ映画「美女戦士セーラームーン」に至るまで、解説、紹介したうえで、「七人の侍」という映画が成立した1954年という時代背景にたちもどるという展開。 1954年とは、平和国家を標榜する一方で自衛隊がつくられ、第五福竜丸の被爆が「死の灰」という言葉を生み、本多猪四郎が「ゴジラ」を撮った年であることに言及したうえで、黒澤の「構想」と苦難の「制作」過程を解説し、革命的「時代劇」として大ヒットするまでの「映画史」を論じたのが五章「時代劇映画と黒澤明」、ここまでが、いわば本書の前半。 後半は戦後社会の観客を前に超大作として登場した作品の内容が俎上にあげられる。 六章、七章では「侍」、「百姓」、「野伏せ」という階層、階級を指摘したうえで、まず、個々の「侍」たちの背景を暗示し、個性を強調した演出の卓抜さが論じられる。  続けて、戦乱の中で「百姓」から、浮浪児となったに違いない、「菊千代」が母親を殺されて泣き叫ぶ幼子を抱きしめて「こ、こいつは…俺だ!俺も‥‥この通りだったのだ!」と叫ぶ姿が、1950年代の観客に呼び起こしたにちがいないリアリティーと親近感のありか、「農民」の敵として登場する「山岳ゲリラ」、すなわち「野伏せ」たちの描き方に宿る日本映画のイデオロギーに対する批判と、それに縛られていた黒澤の孤独について、それぞれ論じられている。  映画の細部についての言及は、筆者の博覧強記そのままに、さまざまな映画や、歴史資料を参照しながら繰り広げられて、興味深い。 https://www.freeml.com/bl/12798349/1030672/

Posted by ブクログ

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