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信長 近代日本の曙と資本主義の精神
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | ビジネス社 |
発売年月日 | 2010/06/02 |
JAN | 9784828415857 |
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商品レビュー
3.8
10件のお客様レビュー
小室直樹の著書には、高揚感がある。異説で新しい考え方のようで根拠がしっかりとしているし、俯瞰しながらも本質論を捉えていて、かつ、知的好奇心を満たしてくれるから。また、そもそも話し上手で論理的だから、という理由もあるだろう。本作は、織田信長が、近代日本に与えた影響が甚大であるという...
小室直樹の著書には、高揚感がある。異説で新しい考え方のようで根拠がしっかりとしているし、俯瞰しながらも本質論を捉えていて、かつ、知的好奇心を満たしてくれるから。また、そもそも話し上手で論理的だから、という理由もあるだろう。本作は、織田信長が、近代日本に与えた影響が甚大であるという話だ。 プラトンのいう生得の知識により、シックザールを従えてエトスを変えた信長(この横文字を漢字へのルビとして用いるのも小室文章の特徴)。主なポイントは、次のような点。 楽市楽座のような自由競争の基礎を作りながらも特権的独占資本をも作り上げていった事。日本版宗教改革とも言える堕落した仏教との対立。兵農分離、軍隊の組織化。このような列挙だと歴史の教科書みたいな話だが、視点が違うのだ。 例えば、信長の「楽市楽座」政策は不徹底であった、という。つまり、楽市楽座を称賛しているのではない。凄いのは、市場の自由化を推し進めると同時に、他方、特権的独占資本をも作り上げていった事だと。信長は、美濃征服後、尾張の豪商伊藤惣十郎に朱印状を与え、彼に輸入品と呉服を扱う商人の司として、特権を与えている。産業保護と巨大資本の育成、その軍事利用も同時に行なっていたのだ。 また、これは徳富蘇峰の論によるが、信長の死に際に際し、身辺に居た者で脱走したのは、黒人だけであった。つまり日本人は、全員、自発的に玉砕した。それまでの日本の戦いにおいては、捕虜になることは、少しも差し支えのないことであった。所謂、将棋のように、新しい主人に忠義を示す事は恥ではなかった。しかし、近代、乃木大将なよる影響もあろうが、それより前、信長において玉砕を見る。これこそ行動様式の改変だと。 私的な掠奪をモチベーションとする戦闘個人主義を廃止した事も大きい。西洋てまは、個人が軍隊の部品だと見做されるようになったのは、クロムウェル以後。カルヴァンの流れを汲む禁欲的プロテスタントであったクロムウェルは、人間は神の道具であると考え、神の道具なんだから神のために戦う軍隊の道具、即ち部品でも良い訳である。部品であるとは、個人の人格が問題ではなく、役割が問題であるということ。それ以前は、戦争と言えば、掠奪、強姦し放題で、それがモチベーションとなり戦っていたという。日本では、戦果を示すために首や耳、鼻を切り落として、数を数えた。信長は、そうではなく、戦を総合的に見て、貢献の大きさで評価した。 思い出しながら書いていてもお腹いっぱい。こじ付けもあるだろうし、信長以降に全て当てはまるには無理もありそうだが、それでも面白かった。
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本書は、1992年の「信長の呪い-かくて、近代は生まれた」を加筆し、2010年に再刊行されたものです。 小室先生の著作ゆえ、単なる伝記物ではありません。 信長が従来の農民兵システムから兵農分離を行い、傭兵システムを確立して戦争労働者を生み出したことは、近代資本主義の成立に必要な労...
本書は、1992年の「信長の呪い-かくて、近代は生まれた」を加筆し、2010年に再刊行されたものです。 小室先生の著作ゆえ、単なる伝記物ではありません。 信長が従来の農民兵システムから兵農分離を行い、傭兵システムを確立して戦争労働者を生み出したことは、近代資本主義の成立に必要な労働者を発生させることにつながった、このことにより日本人の間に近代的行動様式が形成された…なんてことまで世界史的視点から論じられています。 信長も小室先生も恐るべし!
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小室直樹の信長論。 戦国時代の武士は強い武将に着く風見鶏だったが、信長の家臣団は、信長という空気に支配され忠誠を誓った家臣団だった。これは日本軍に繋がる。 桶狭間は奇襲ではなく、正面切っての強襲であった。奇襲、ミラクルに頼ることがなく、合理的戦争方法に徹した。 信長は傭兵制度を初...
小室直樹の信長論。 戦国時代の武士は強い武将に着く風見鶏だったが、信長の家臣団は、信長という空気に支配され忠誠を誓った家臣団だった。これは日本軍に繋がる。 桶狭間は奇襲ではなく、正面切っての強襲であった。奇襲、ミラクルに頼ることがなく、合理的戦争方法に徹した。 信長は傭兵制度を初めて導入した。 なるほど。信長は日本資本主義の元祖であったというのが本書の中心の論。小室本はいろいろ読んでますが、本書も論が明快で読み応えあり。
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