ドラッカーに先駆けた江戸商人の思想

平田雅彦【著】

• 販売会社／発売会社: 日経BP社/日経BP出版センター
• 発売年月日: 2010/05/24
• JAN: 9784822248093

商品レビュー

2012/04/11

グローバル資本、複雑な金融商品の勃興により、短絡的な利益を求めた結果により招いた金融危機。その資本主義至上主義からの脱却案として、かつて日本の優れた商人たちが有してした商人道をもって世界のイニシアティブをとっていくべきではないかと著者はいう。260年も平和が続いた江戸時代、商人は身分制度の士農工商の底辺という扱いを受けた。大名家による債務の踏み倒し、享保の改革で深刻な不況に陥り、当時の商家の7〜8割が倒産したという。そうした不遇の時代を商家の人達は信用、誠実、共生などの徳目を愚直に守り、家訓に遺し子々孫々の繁栄のために注いだ。そこでは、現在のような株主の意向に添う短絡的利益の追求はない。1番大切なのは事業の永続的繁栄であったのである。
今では、見る影もない日本の商人道といったところか。文明開化によって日本の技術は格段に上がった。だが、同時に大切な文化も失ってしまったのは事実だろう。西洋に追いつけ追い越せでここまでやってきた日本。金融危機によって明るみにでた欧米資本主義の弱点、限界。次の時代は果たして本当に東洋なのだろうか。日本の商人道は完璧になくなったのだろうか、ぼくは未だ日本人のDNAの奥底に刻まれているのではないかと思う。再び呼び起こすためには禅の心を学ぶことから始めるのがよいのではないか、付け焼き刃では通用しないだろう。勤勉で謙虚な日本人。日本の可能性を見た気がした。

2011/09/11

我々の中には、先人たちが作り上げてきた商売への考え方が染み付いている。これは、ここ最近行われている中国などによる開発の手段との違いで明らか。商売は、自分－買う人－社会が良くなることを願うというこの本の主題が、すごくここ最近の日本に再認識させられる。そういった意味でこの本はすごくいい。

2011/08/07

CSもCSRも、江戸時代の商人においては「常識」だったということがわかります。
今こそ、日本型経営の原点を確認して、それを踏まえたうえで、グローバル化に対処することが
重要なんだと思います。
「ドラッカーに先駆けた」というタイトルがついていますが、
ドラッカー理解の副読本として、読んだ方がいいと思います。

これに限らず、明治以降の近代化が行き詰っている今日、
江戸時代のことは、もっと再評価されるべきだと信じます。

■目次
第一章 お客様満足
第二章 自立
第三章 共生
第四章 謙
第五章 勤勉
第六章 倹約
第七章 誠実
第八章 現場主義
第九章 信用
第十章 持続的成長
第十一章 公