完全版 突飛なるものの歴史

ロミ【著】, 高遠弘美【訳】

• 販売会社／発売会社: 平凡社
• 発売年月日: 2010/04/26
• JAN: 9784582238068

商品レビュー

2023/08/22

週末に大量に本を仕入れてきて何から読もうか迷い、まず手に取ったのがこの本。「本の体裁を取ったサーカス…」一行目から、早々の開始宣言。手放せくなる。

突飛なるもの＝アンソリット=奇抜なもの。
ラテン語のアンソリタス(慣習的な、普通の)の反対概念から来た言葉。日常の慣習の裏返し。説明はこのような内容だが、今では倫理的にどうかと思うようなフリークショー、見世物小屋の風情。絵や写真も多く、幼少期に覗いた図鑑のようなワクワクする世界が広がる。

悪魔信仰の話。シュルレアリスム、幻想動物、空想旅行。行き過ぎたアート。いかに注目度を上げるか、いかに空想を楽しむか。テレビのない時代。物事の科学的な解説が不完全な時代。人は今より自由に空想し、それをアートや物語として創作し、互いに空想を高め、時に恐怖や愉悦、差別意識を共感し合い、楽しんだのだろう。

幻想へのトリップ。非科学の世界へ。澁澤龍彦好きには垂涎ものの世界観請け合い。

2022/04/06

幻想と怪奇のサーカスを見ているかのような気分になる本です。奇妙なものが好きな方はこの本の魅力に惹き込まれる事でしょう。澁澤龍彦や種村季弘が愛読したというのも納得。

2019/03/02

時代や場所を問わず、あらゆる｢突飛なるもの｣を集めてごちゃごちゃに展示した見世物小屋のような本。全編に統一性はなく本当に並べ立ててあるだけ、といった調子なのに面白い。作者のロミ自信かなり突飛な生き方をした方のようだ。個人的には古い詩の訳文がしっかり文語だったのがかなりポイント高い。