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世界がわかる石油戦略 ちくま新書
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
発売年月日 | 2010/04/07 |
JAN | 9784480065445 |
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世界がわかる石油戦略
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商品レビュー
3.7
7件のお客様レビュー
太平洋戦争勃発の一因、真珠湾攻撃という実行力による先手を打つ流れの背景には日本のエネルギー事情があった。戦艦も航空機も戦車も油が無ければ動かない。石油の大半をアメリカからの輸入に頼っていた日本だが、満州国設立により中国における権益をアメリカと争った事で同国からの石油が止められた。...
太平洋戦争勃発の一因、真珠湾攻撃という実行力による先手を打つ流れの背景には日本のエネルギー事情があった。戦艦も航空機も戦車も油が無ければ動かない。石油の大半をアメリカからの輸入に頼っていた日本だが、満州国設立により中国における権益をアメリカと争った事で同国からの石油が止められた。「石油の一滴は血の一滴」と言われるように、エネルギーが止められればどんなに優れた兵器があろうとも意味をなさない、ただの鉄屑だ。それが好戦的な軍隊と民意を早期の戦争による決戦に向かわせてしまったのは言うまでもない。 戦時中も国民総出で節約や松の油を集めたのもそうしたエネルギー不足が背景にある。 戦後はアラブ諸国や東南アジアの天然ガス、ロシアとのサハリン共同開発に向かうのも、結局は自国の資源で賄えないエネルギーを一国に握られるリスクを分散するためだ。その一つに原発も位置付けられる。日本は唯一の核被爆国民にも関わらず、原発というハイリスクかつ自分たちを苦しめたエネルギーに向かわざるを得ない事情もそこにある。食料も資源も石油などのエネルギーも自国で賄えないものは海外から調達するしかない。それが今のグローバル経済の原点になっているが、他国との経済的な繋がりは地政学的なリスクを伴う。共同開発で出資した国が戦争を起こしたり内戦で不安定になれば、それまでの投資も失う可能性がある。現にウクライナ侵攻後のロシアとの共同プロジェクトがその様な状況に陥っている。結局のところ、殊エネルギーに関しては資源国が有利だし、調達側は足元を常に見られる。かつての7大メジャーの様なリスクを取れる体力がない限りチャレンジングな取引や開発に乗り出せない。日本の弱さもそこにある。 近年はそうしたエネルギーを持たざる国や先進国が主導した温暖化対策中心の国際的な取り組みも多いが、これも資源国の利益やこれから石油を大量消費して工業力を上げたい途上国など様々な利害関係が交錯して簡単には進まない。 そんな中でも自国の地質や気象条件をフルに活かしたクリーンエネルギーで電力の多くを賄っている国もある。四方を海に囲まれた日本でも風力、海流、ソーラーパネルなどやれる事は沢山ある。ただ実際にはエネルギー消費大国の日本ではまだまだ時間のかかる課題だ。問題はそこだけでは無い。電気をつけっぱなし、水は流しっぱなし、食べきれない程の料理を作っては捨てている国民自体がガス代や電気代の値上がりに文句ばかり言っている様な意識にもある。確かに安易に原発を再稼働させればエネルギー問題も改善されるが、東日本震災の東電の様な最悪の結果も招く。 本書では後半各国のエネルギー対策をわかりやすく説明している。最後には一番簡単な対策は省エネであると言うが、全くその通りだ。作る使う事ばかりに目を奪われ、使わない、作りすぎない(無駄の無い)事には不便さが伴うために中々意識が向かない。 日本のエネルギー政策が如何に日本自体を振り回して来たか、そして思わぬ結果を引き起こしたか、本書含め多くの歴史から学ぶことが大切だ。そう言った意味で世界のエネルギー戦略とそれがもたらした結果、そして今後の世界情勢の行く末を予想するためにも本書は有効だ。 そろそろ私もしっかり現実を見据え未来の地球のためにも、リッター6キロ、排気量4リッター近い愛車について考えなければならない。
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戦争の背景には必ず「エネルギー」が絡む 過去、戦争の引き金は全て「原油」、それは莫大なマネーが動き経済が一変するからだ。一旦戦争が始まると武器商人たちのビジネス、特に大国の懐具合は潤う構図になっている。既に160年以上もそんな繰り返しの世界を見てきていることが恐ろしく、世界のオイ...
戦争の背景には必ず「エネルギー」が絡む 過去、戦争の引き金は全て「原油」、それは莫大なマネーが動き経済が一変するからだ。一旦戦争が始まると武器商人たちのビジネス、特に大国の懐具合は潤う構図になっている。既に160年以上もそんな繰り返しの世界を見てきていることが恐ろしく、世界のオイルメジャー企業始めエネルギー関連の富裕企業にとっては「第三のエネルギー」は不要で新たな投資をすることはない。だが、そろそろ新たなエネルギー改革のベンチャーが開発、発見してくれることを願ってやまない。日本はメタンハイドレードの実用化時期だ(この書は2010年出版)
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石油国にまつわる歴史やビジネス、そして我が国との関係について網羅的に説明している。 石油関係に無知な私にとっては、本書のように全体を概観してくれるタイプの説明は、非常にわかりやすかった。 以下に面白かった点を書いておく。 ①WTI石油が主要な石油価格となった背景 1983年にW...
石油国にまつわる歴史やビジネス、そして我が国との関係について網羅的に説明している。 石油関係に無知な私にとっては、本書のように全体を概観してくれるタイプの説明は、非常にわかりやすかった。 以下に面白かった点を書いておく。 ①WTI石油が主要な石油価格となった背景 1983年にWTI石油の先物が上場したが、現在ほど主要な石油価格指標ではなかった。現在の地位を占めるようになったのは、2008年の金融危機によって、潤沢な資金が金融市場から商品市場へと流入したからである。 ②イラン・イラク戦争 アメリカが対露政策の防波堤としてイランに肩入れし、食糧援助や資金援助を通じて、イランを支援していた。しかし、ホメイニ師が主導したイラン革命によって、米国とイランの国交は断絶。ホメイニ師は近代化を推進するイラン国王と対立し、イラクへと亡命を余儀なくされる。その後、革命が起こるのを恐れたイラク政府は、ホメイニ師をパリへと強制送還する。 こうした動きに対して、米国はイランへの経済制裁を課すだけでなく、イラクへの経済支援を開始する。そして、イラクはイランへの攻撃を突然開始し、イラン・イラク戦争へと発展する。この戦争が引き金となって、石油価格は暴騰した。 ③イラクのクウェート侵攻 イラクが湾岸戦争を仕掛けたのは、同国の財政問題が深く関係している。イラン・イラク戦争の戦費を補償してくれたのは、イランが民主化することを恐れた湾岸諸国であった。戦争終了時に債務返済をできそうになかったイラクは、石油の生産余剰力があるクウェートへの侵攻を決断した。 ④イランと我が国との関係 イランからの石油輸入量は、サウジアラビア、UAEに次いで三番目に大きい。 ⑤中国の石油戦略 高度経済成長を続ける中国では、石油を始めとする天然資源への需要が高まっている。逼迫する石油需要に対応するために、中国はカントリーリスクが高い国からも積極的に輸入をしている。 ⑥北朝鮮との関係性 北朝鮮は石油輸入の100%を中国に依存している。中国の石油は北朝鮮の生命線と言える。 ⑦スマートグリッドåの特色 スマートグリッドは、電力の需給の情報を管理して、需用量と供給量を管理することである。
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