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護持院原の敵討(あだうち) 他二篇 岩波文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 1996/10/01 |
JAN | 9784003100677 |
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護持院原の敵討(あだうち) 他二篇
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『護持院原の敵討』 題目の通り、仇討ちの話。 暴漢によって父を殺害された武家の一家が、敵である下手人の行方を追って、日本全国ほうぼう歩き回る。 手がかりはほぼないに等しく、普通に考えれば無謀極まりない旅である。尋常ならざる苦労と歳月を費やす。時に炉銀が尽き果て ものごいまがいのこ...
『護持院原の敵討』 題目の通り、仇討ちの話。 暴漢によって父を殺害された武家の一家が、敵である下手人の行方を追って、日本全国ほうぼう歩き回る。 手がかりはほぼないに等しく、普通に考えれば無謀極まりない旅である。尋常ならざる苦労と歳月を費やす。時に炉銀が尽き果て ものごいまがいのことをし、時に病に倒れ、そしてとうとう、果てのない(かのように思われた)旅を息子は諦め敵討ちを断念してしまう。それでも諦めることなく敵を追い続けた叔父と付き人は、数年かけて、どうやら敵が江戸(犯行現場の近く)に戻っていることを突き止める。そしてとうとう下手人を取り押さえ、見事にかたきをとったのだった。 という内容。 なんか、あらすじを書いてしまうと平凡な感じになっちゃうんですが、読んでる間はけっこうわくわくしてました。 敵討ちは成功するの?しないの?どっち?!みたいな。 作中、息子君(宇兵)は旅に疲れてドロップアウトしちゃうのですが、このときの彼さぞや内心葛藤したでしょうね(そのへんの描写が、淡々としててあまり無いので、逆に推察するのが楽しくなるんですが)。でも、息子君は意思薄弱者でもなんでもなく、極めて普通というか賢明な判断をしたと思いますよ!というかむしろ、常人よりはるかに堅固な意思をもって長旅に耐えてきたと思いますよ! むしろボロボロな状態で、なお旅を強行した叔父のほうが、ファナティックつーかちょっと狂気感じましたね~ で、結局、下手人を斬ったのは娘(りよ)ちゃんと叔父さんと付き人の三人で、それぞれその功労を讃えられ褒賞まで貰ったわけですが、小説には「宇兵のその後」が一切、書かれてないよね。これってどうなの?この物語は、艱難辛苦に耐えて大願を成就させた家族と、一方で、努力したが報われず表舞台から姿を消してしまった宇兵の、ふたつの対比がシビアな物語でもあるんだな、、と思いましたね。 『安井夫人』 幕末の漢学者、安井息軒とその妻、佐代についての歴史小説。 小説というほど主人公の内面に迫ったり情緒を綴ったりするような内容は少なく、特に表題にもなっている安井(佐代)夫人が息軒に嫁いでからは、あくまでも淡々と事実のみを書いている。史伝というか、史料を口語で書き下した印象である。 安井息軒は、優秀な頭脳を持ち漢学者として当世一流の名を残したが、色黒、ちび、あばた面、隻眼と、外見はすこぶる醜男。どんな女もこの男との結婚は嫌がるであろうところ、なんと当時評判の美人だったお佐代さんが自らこの男に嫁ぎたいと言い出した。 で、婚姻をむすび息軒はすばらしい学業を残すが、冨や名誉におぼれず清貧を極めた生活を送る。お佐代さんもそんな夫によく遣え、終生、贅沢とは無縁の生活を送り、51歳でその人生の幕を閉じた。 内容は、こんなかんじ。さらっと読んでしまえるけれど、「美人であった安井夫人が何故、醜男の息軒に嫁いだのか?」「何を思って夫や子供の世話をし、どのような気持ちでその人生を終えたのか」など、メンタルに迫る記述は(ほとんど)無いので、読者の推量にまかせられる。読み終えたときは本当に不可解だったし、小説といえるほどのストーリーせいもないように思われたので、なんかなーって感じだったが、よくよく考えると、 「お佐代さんが当時珍しく『自ら望んで人生を切り開いた』(親の言いなりでなく、自分の望む相手と結婚した)」点は、明治期のいわゆる自由主義的なハイカラ女性に通じるものがあるよね、とか 結婚において何を重視するのか?(ルックスとかお金とかではなく、お佐代さんの場合は、夫の栄達こそが、自分の生き甲斐だったのではないかな、と…。)とかがまぁ、うっすら見えてくるわけです。 だから、お佐代さんは経済的にも恵まれなかったし夫はイケメンではなかったけれど、 すばらしい学業を成した夫に遣えることこそが彼女の喜びであり、同時にブサメンであっても学識に富んだ夫のことが誇りであったのだろうな~と。 実際はどうだったのか知りませんが、彼女の人生は決して不幸ではなかったろうと、(鴎外翁も言ってますが)私もそう思います。
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