![水妖記(ウンディーネ) 岩波文庫](https://content.bookoff.co.jp/goodsimages/LL/001634/0016348913LL.jpg)
- 中古
- 店舗受取可
- 書籍
- 文庫
- 1225-16-06
水妖記(ウンディーネ) 岩波文庫
![水妖記(ウンディーネ) 岩波文庫](https://content.bookoff.co.jp/goodsimages/LL/001634/0016348913LL.jpg)
定価 ¥528
330円 定価より198円(37%)おトク
獲得ポイント3P
在庫わずか ご注文はお早めに
発送時期 1~5日以内に発送
![](/library/dummy/img-pickUp01.jpg)
店舗受取サービス対応商品
店舗受取なら1点でも送料無料!
店舗到着予定
2/22(土)~2/27(木)
![](https://content.bookoff.co.jp/assets/images/banner/campaign/limited/blank-750-120.png)
商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2006/01/19 |
JAN | 9784003241516 |
![](https://content.bookoff.co.jp/assets/images/banner/campaign/limited/blank-680-160.png)
![](/library/dummy/img-pickUp01.jpg)
店舗受取サービス
対応商品
店舗受取なら1点でも送料無料!
さらにお買い物で使えるポイントがたまる
店舗到着予定
2/22(土)~2/27(木)
- 書籍
- 文庫
水妖記(ウンディーネ)
商品が入荷した店舗:0店
店頭で購入可能な商品の入荷情報となります
ご来店の際には売り切れの場合もございます
オンラインストア上の価格と店頭価格は異なります
お電話やお問い合わせフォームでの在庫確認、お客様宅への発送やお取り置き・お取り寄せは行っておりません
水妖記(ウンディーネ)
¥330
在庫わずか
ご注文はお早めに
商品レビュー
4.1
16件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
フリードリヒ・ド・ラ・モット・フーケーの『水妖記』は、一見はロマン主義的なメルヘンの装いを持つが、より深層においては元素霊に関する秘教的な知識を伝える書として読むことができる。クロウリーが『魔術―理論と実践』でこの作品を「元素霊の解説として貴重」と評価したように、物語は水の精霊の本質的な性質を巧みに描き出している。 ウンディーネという存在は、パラケルススによって体系化された四大元素の理論における水の精(エレメンタル)を具現化したものだ。注目すべきは、物語が単にその外形的な特徴を描くにとどまらず、元素霊と人間存在の本質的な関係性を探究していることだ。ウンディーネが「魂を持たない」存在として描かれる設定は、元素霊の根本的な性質――すなわち、純粋な元素的存在でありながら、人間的な意識を希求する存在であることを示している。 物語における叔父クーレボルンの存在は、より深い意味を持つ。彼は単なる敵対者ではなく、元素界の根源的な力を体現する存在として機能する。人間世界に対する彼の介入は、自然の力が人間的な秩序を超越していることの表現であると同時に、人間存在が忘却している元素的な次元との関係を喚起する働きを持つ。 ウンディーネが人間の騎士との結婚によって魂を獲得するという設定は、魔術的な意味を持つ。それは単なるロマンスの筋書きではなく、元素霊と人間存在の結合という秘教的なモチーフの表現として理解できる。この結合は、物質的次元と精神的次元の統合、あるいは自然の力と人間的意識の融合という錬金術的な主題を内包している。 水辺という空間は、物語において単なる背景以上の意味を持つ。それは物質界と精神界、可視界と不可視界が交わる場として機能する。特に泉や井戸は、元素的な力が人間界に顕現する「門」としての性質を持つ。これは多くの魔術的伝統において、水が異界への通路として理解されてきたことと呼応している。 魂の獲得と喪失というテーマも、秘教的な文脈で読み解くことができる。ウンディーネが騎士との愛によって魂を得る過程は、元素的な存在が意識を獲得していく神秘的な変容のプロセスを示している。しかし同時に、その魂が完全な「人間化」をもたらすわけではないという設定は重要だ。ウンディーネは変容後も元素霊としての本質を保持し続ける。これは自然の力と人間的意識の関係についての深い洞察を含んでいる。 結末において、ウンディーネの涙が泉となって騎士の墓を覆うという描写は、元素的な力と人間存在の究極的な関係性を示唆している。それは完全な分離でも完全な融合でもない、より複雑な結合の形を示している。この結末は、人間存在が自然の力と取り結ぶ関係の本質的な様態を象徴的に表現しているのだ。 このように『水妖記』は、メルヘンという形式を通して、元素霊に関する深い秘教的知識を伝える書として読むことができる。それは19世紀ロマン主義の自然観を反映すると同時に、より古い魔術的・錬金術的な伝統の知識を内包している。クロウリーがこの作品を魔術書として評価したのも、まさにこのような重層的な意味の存在を認めてのことだろう。物語は、人間存在と元素的な力の関係性について、芸術的な形式を通して本質的な真理を伝えているのである。
Posted by
久しぶりに小説を読んだ。 最初は自由気ままで感情の波が烈しいウンディーネに振り回されている気分になったが、時々垣間見える優しさ、愛らしさに次第に惹かれていった。 どんどんウンディーネに感情移入していった結果、後半は涙無しには読めなかった。 人に愛されて、人を愛することを知ったウン...
久しぶりに小説を読んだ。 最初は自由気ままで感情の波が烈しいウンディーネに振り回されている気分になったが、時々垣間見える優しさ、愛らしさに次第に惹かれていった。 どんどんウンディーネに感情移入していった結果、後半は涙無しには読めなかった。 人に愛されて、人を愛することを知ったウンディーネは、どの登場人物よりもたくましく、優しくて、愛情深く成長する。 そのことが結果的に自分を苦しめる原因になってしまうのだけど、その儚さがより一層ウンディーネの美しさを際立てている
Posted by
三島由紀夫の『仮面の告白』の中に出てくるのだが、これまで全く知らなかったので一度読んでみようと思い、タイトルを手帳に書き留めておいた。先日アマゾン・マーケットプレイスに1円で出品されていたのを見て、直ぐに取り寄せた。 表紙には「ヨーロッパに古くから伝わる民間伝承に材をとった...
三島由紀夫の『仮面の告白』の中に出てくるのだが、これまで全く知らなかったので一度読んでみようと思い、タイトルを手帳に書き留めておいた。先日アマゾン・マーケットプレイスに1円で出品されていたのを見て、直ぐに取り寄せた。 表紙には「ヨーロッパに古くから伝わる民間伝承に材をとった、ドイツロマン派の妖しくも幻想的な愛の物語」とある。 娘をなくした漁師夫婦に育てられた水の精ウンディーネと騎士フルトブラントの恋物語だ。水の精であるウンディーネはフルトブラントと結ばれ、人間のような魂を得るが、やがてフルトブラントはベルタルダに心変わりすると、ウンディーネは姿を消してしまう。実はベルタルダは亡くなったと思われていた漁師夫婦の娘だった。やがてフルトブラントがベルタルダと結婚すると、水の精ウンディーネは掟に従いフルトブラントの命を奪う。 ウンディーネの由来は、水精をラテン語のunda(波)に基づいてウンディーナ(undina)と名づけたが、ドイツではこれをウンディーネ(Undine)またはオンディーネ(Ondine)と呼び、フランスではオンディーヌ(ondine)と呼んでいるそうだ。 伝承では、水の精は女の姿をしていて、人間の男に愛され妻になると魂を持つ。夫は水辺でその女を罵ったりすると、女は水中に帰ってしまう。その後別の女を娶ると、水精が夫の命を奪いに現れるという。こんな怖い伝承があって、フーケーはこの『水妖記』に仕立て上げたのだという。オペラやミュージカル、バレエなどにもなっている、ヨーロッパでは良く知られた言い伝えらしい。これまで知らずにいたのが恥ずかしいくらいだ。 岩波文庫は「読まずぎらいしていませんか」と書いている。確かにドイツ文学なんていうと取っ付き難いように聞こえる。しかしそれでも読んでみるべきだ。読んで良かった。こんなに面白い物語が埋もれていた。三島由紀夫に感謝しなければならない。
Posted by