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パロール・ジュレと紙屑の都
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 角川書店/角川グループパブリッシング |
発売年月日 | 2010/03/31 |
JAN | 9784048740432 |
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パロール・ジュレと紙屑の都
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商品レビュー
3.7
25件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
言葉さえも凍ることがある北の国にあるキノフ。その街を舞台に凍った言葉の秘密をめぐって、紙魚と呼ばれる諜報員、刑事、言葉の解凍司、売春宿の女主人らが暗躍する物語。 さすがの吉田篤弘ブランド、世界感は独特でそこに入りこんでしまえば、物語はグイグイと進む。物語世界に入り込んで楽しんでいるうちはいいのだが、本作においては少々ミステリー要素もあり、クライマックスを楽しむには人物相関図をある程度正確に把握しておかないといけないのだが。 その人物相関図が複雑で、どっかに載っけて欲しいくらいなんだけど、掲載してしまうとネタバレになりかねないしというジレンマ。頭の弱さがツラかったぁ。もうちょいアホにも分かるように書いてくれればと、持たざる者の苦情というか弱音を吐いてしまいそう。 ラストの美しさも、俺がもうちょい明快に物語を把握してたらひとしおだったろうに、と星一つ減は自分の無力の責任なんだけどもなぁ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ユーモラスな語り口ではじまった物語は思いもかけないさみしさ、やるせなさを伴って幕を閉じる。 触れられそうな親しみがあったはずのストーリーが「離別」以前のことが明かされる(解凍される)とともにひんやりとした手触りの、壁を隔てたものに変わっていくよう。 一瞬の言葉が凍結し結晶化されるうつくしさ、義眼の中にかつて恋したひとのジュレをしまいこんでいたレン、その義眼に魅せられてロイドとともにジュレの神秘を守っていた写真家。タトイをはじめとした解凍士たち、レストランのコックなど、キャラクターの造形がとても印象的。 綿密に構築された世界は寒色の中にきらきらしさを内包していて、ついつい立ち止まっては一文を何度も眺めてしまう。 紙魚になれないわたしたちは何者に変貌することもできず、自分という視界で分厚いクッションを挟んだ状態で物語と向かい合うことになる。それでも、物語の中を存分に泳ぎ回るような素晴らしい時間を過ごすことができました。 優しいけれどどこか厳かな、何度も読み返したくなる小説。
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