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ジェルミナール(下) 岩波文庫
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ジェルミナール(下) 岩波文庫

エミール・ゾラ(著者), 安士正夫(著者)

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ジェルミナール(下) 岩波文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 岩波書店
発売年月日 2006/02/01
JAN 9784003254493

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2012/02/04

この岩波文庫版『ジェルミナール』全3巻は1994年に一度復刊され、現在再び売り切れになっているようだ。翻訳は1954年のもので古く、旧字体が使われている。慣れてくるとふつうに読めるのだが、苦手な人は論創社でハードカバーの新訳が出ているようだから、少し高いがそちらを読んだ方がいいか...

この岩波文庫版『ジェルミナール』全3巻は1994年に一度復刊され、現在再び売り切れになっているようだ。翻訳は1954年のもので古く、旧字体が使われている。慣れてくるとふつうに読めるのだが、苦手な人は論創社でハードカバーの新訳が出ているようだから、少し高いがそちらを読んだ方がいいかもしれない。 世界文学史上の傑作に数えられる作品だろう。 『居酒屋』『ナナ』に比べても圧倒的にストーリーが面白く、ぐいぐいと引き込まれる。 鉱山労働者たちの悲惨な窮乏をえがき、彼らの全面スト抗争をテーマにしているのだが、いたずらに「労働者」を理想化するでもなく、彼らも、ブルジョワ(使用者層)も、いちようにリアルに、醜悪さそのままに造形化している。 職を求めてふらりとやってきた『居酒屋』の洗濯女の息子エティエンヌが主人公で、めきめきと仕事を覚え、人望も上がり、にわか仕込みながらマルクス主義的な思想をかじってストライキのリーダーとなって、その演説で人びとの大喝采を浴びるに至る過程は、ほとんどRPGの「勇者」のような上昇過程であるが、予想どおりストライキは2ヶ月にまで長期化して人びとは飢える。 労働基準法など存在もしていなかった当時、エティエンヌと共に知恵をめぐらす幹部も存在しなかったし、統率のとれない労働者集団は単なる暴徒と化す。 「パンをよこせ!」と怒鳴りながら彼らは徘徊し、使用者側にすりよっていた商人の死体を蹂躙する。この、死体に対する陵辱の場面はむごたらしく、たぶん当時のフランスでも読者をぎょっとさせたのではなかったか。YouTubeでの米兵の動画をも連想させるこのショッキングな場面のゆえに、この小説が『居酒屋』『ナナ』ほどに日本で有名になりえなかったのかもしれない。 しかし群衆の残虐を、エミール・ゾラは冷静に淡々とえがく。ちょっと白戸三平の『カムイ伝』『カムイ外伝』を彷彿とさせる。 ゾラは「群衆」の描写がうまい。 なにか共通の概念を得ることで、人びとは一体化して熱狂し、自らの「正義」を疑うことなく暴力的行動にまで走るが、きわめて気まぐれでもあり、何かつごうのわるいことが起きるとそれを一斉に誰かのせいにし始め、恩も昨日の信頼も忘れて、生け贄をつるし上げる。・・・こうした「群衆」の姿は、現在の「日本国民」そっくりそのままでもある。 主人公エティエンヌはストの失敗を周囲から自分のせいとして責められ、友人のアナーキストが仕組んだ事故で崩壊した炭鉱に閉じ込められるが、究極の飢餓を乗り越え、最後はたった一人、生き延びる。会社をクビになるものの、こんどはパリで革命理論家として活動を始めようという、ラストは希望に満ちた雰囲気で終わる。 ゾラはマルクス主義というか、共和主義に希望をもっていたのだろう。 「ストライキ」なるものの草創期をえがいたこの小説のインパクトは強烈だが、この時代から100年を経て、労働者たちの権利はかなり制度的に守られるようになったし、文明圏ではほとんど「飢える」ほどに困ることはなくなった。私たちは膨大な先達が築き上げてきたものに乗っかって、あぐらをかいているわけだが、肉体労働や「ぎりぎりの生活」から遠く離れることで、「リアルな生の意識」というものまで失ってしまった。 この小説はそうした原初的な生の光景を蘇らせてくれる。

Posted by ブクログ

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