親の顔が見たい

畑澤聖悟(著者)

• 販売会社／発売会社: 晩成書房
• 発売年月日: 2009/04/01
• JAN: 9784893803771

商品レビュー

2009/11/17

図書館本。
書評を見て興味を持ち、読んでみた。
とある私立女子中学校で1人の女子生徒が自殺した。
原因はいじめであったらしい。
遺書らしきメモに記された5人の同級生の保護者が学校に呼ばれ、話し合いをするところから物語は始まる。
保護者たちは皆自分の子どもを庇う発言をくりかえすばかり。
あげくは自殺した子に問題があるかのような発言をし、ついには遺書を燃やしてしまい、何もなかったことにしようとする。

読んでいて頭がくらくらした。
責任を転嫁し、自分さえ良ければという思いの上に乗せられた、「親の子を思う言葉」は正直気味が悪かった。

しかし問題はもっと根の深いものだと感じさせられた。
物語のあちこちに問題提起がなされている。
読後自分の中にざらざらとした感情が生じたが、それはこの問題提起に対する反応なのだと思う。
簡単に解決する問題ではないけれど、考えていかなければいけない問題なのだと思う。