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井口昭夫 将棋観戦記選集 上
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 地方小出版流通センター |
発売年月日 | 2009/06/01 |
JAN | 9784904686010 |
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井口昭夫 将棋観戦記選集 上
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商品レビュー
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1件のお客様レビュー
井口昭夫は元々毎日新聞の観戦記者。2008年に逝去されている。評判の高い観戦記者だったようであり、本書は、その中でも選りすぐりのものを集めた観戦記集である。 上下巻に分かれており、本上巻で扱っているのは、1977年のものが最も古く、1995年のものが最も新しい。大山や中原や米長が...
井口昭夫は元々毎日新聞の観戦記者。2008年に逝去されている。評判の高い観戦記者だったようであり、本書は、その中でも選りすぐりのものを集めた観戦記集である。 上下巻に分かれており、本上巻で扱っているのは、1977年のものが最も古く、1995年のものが最も新しい。大山や中原や米長が活躍していた時代から、羽生が名人になる頃までの時期に重なる。 観戦記は単に将棋の棋譜を技術的・専門的に解説したものではない。そこには、ドラマがある。それが最もよく表れているのが「盤上に映し出される人生」と題された、1985年の名人戦挑戦者決定リーグの最終節の、勝浦-加藤戦の観戦記だと思う。 リーグ戦の下位何名かは、下位リーグに陥落することになっている。本観戦記中の対局者の1人である加藤も、最終節を迎えて、その陥落候補の1人であった。同じ星で並んでいる者が3人。その3人の中では加藤は最もリーグ戦内の序列が上なので、(a)他の2人が共に勝ち、かつ、(b)加藤が負ける、という場合にのみ陥落となる。この将棋で加藤がとった作戦は将棋の戦法ではない。なるべく戦わない、なるべく対局時間を引き延ばす、ということだった。仮に早めの勝負をしかけて勝った場合は良いが、加藤が負けた場合には、他の同率の2名に勢いを与えることを怖れたのであろう。 加藤は、一時、将棋界を代表する棋士の1人であった。その加藤が、これほどの弱気を、と思ったのだけれども、しかし実はそれは「弱気」ではないかもしれない、とも感じた。加藤は他の2人のうちの少なくとも1人が負けることに賭けたのだ。自分の勝負・結果を長引かすことが、少しでもそれを助長することになるだろう、と考えて採用した作戦だ。これに賭けることが出来る気持ちを、弱気と言えるかどうか。こういうことが出来るのは、ある意味で、勝負師の勝負師たる所以ではないか、とも思うのだ。 結果的に、加藤は賭けに勝ち、残留を決めた。
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