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激走 小学館文庫

鳥飼否宇【著】

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 小学館
発売年月日 2010/03/04
JAN 9784094084856

激走

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2014/05/12

福岡国際マラソンを舞台にしたマラソンスポーツ小説で 箱根駅伝を舞台にした三浦しをん『風が強く吹いている』は 読んだことがあったけど、マラソンランナーの駆け引きを 描写した小説は読んだことがなかったので、 新鮮な気持ちで楽しめた。 あまりマラソン自体を見ることが少ないので ペース...

福岡国際マラソンを舞台にしたマラソンスポーツ小説で 箱根駅伝を舞台にした三浦しをん『風が強く吹いている』は 読んだことがあったけど、マラソンランナーの駆け引きを 描写した小説は読んだことがなかったので、 新鮮な気持ちで楽しめた。 あまりマラソン自体を見ることが少ないので ペースメーカーという存在がマラソン競技に 存在することも今回はじめて知ったくらいで 新しく聞き知ることが多かった。 物語の仕立てとしては、それぞれの思いを胸に秘めた マラソンランナーの駆け引き・人間ドラマを味わいつつ 市川の目論見とは何なのか?、急死した二階堂の 死の真相は何なのか?というミステリー要素も 盛り込まれた内容になっているけど、 純粋にマラソンをめぐる人間ドラマに絞った方が よかったのかもしれない。 少なくとも二階堂の死と白バイ隊員の推理は レース終盤、どういう展開でゴールを迎えるのかという ハラハラしながら読んでいる読者の関心とは相容れない上に、 スポーツ小説の爽やかさと人の生き死というミステリーは 相性が悪く、蛇足感が否めなかった。 そういう意味で、ペースメーカー役の市川の目論見が 何なのかという謎が終盤明らかにされ、伏線が回収される という部分の謎解き要素だけでも、ミステリー的な試みは 十分果たせていたように思う。 ただ、全体を通してどこか詰めが甘いチグハグさがあって それが読後の爽快感を減じさせていた。 マラソンレース中に殺人が行わる非現実感だったり、 パラリンピックを目指しているはずの選手が●●登録していたり 市川・洋子・洪の目論見と人間描写・性格描写が不一致で 後味が悪かったり、どーにもすっきりしない部分もあった。 ゴール寸前で「ちーす、●●です」とか嫌味を言ったり 「ざまみろ」とか思ったり「オレってばすごすぎね?」的な 自分が勝つことしか考えていない 性格の悪さ・嫌らしさを持つ人間に、 自分が得られるであろう栄光を捨て、全てを捧げて 献身的な働きをするものなのだろうか? それを応援する恋人もだけど。 別に美談仕立てのお涙頂戴にする必要はないけど 市川が回想する洪像と本人の独白にギャップがありすぎて 後味がものすごく悪かった。

Posted by ブクログ

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