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戦後行政の構造とディレンマ 予防接種行政の変遷
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 藤原書店 |
発売年月日 | 2010/02/22 |
JAN | 9784894347311 |
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戦後行政の構造とディレンマ
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3件のお客様レビュー
戦後日本の予防接種行政を素材として、不確実性下の行政活動が抱える構造的問題を考察し、そこに見られる行政手法の変容を浮き彫りにする。 予防接種行政に限らず、不確実性下における行政活動には「作為過誤」と「不作為過誤」が存在し、かつ、この両者を同時に回避することはできないという「過誤回...
戦後日本の予防接種行政を素材として、不確実性下の行政活動が抱える構造的問題を考察し、そこに見られる行政手法の変容を浮き彫りにする。 予防接種行政に限らず、不確実性下における行政活動には「作為過誤」と「不作為過誤」が存在し、かつ、この両者を同時に回避することはできないという「過誤回避のディレンマ」があるが、戦後日本の予防接種行政の変遷の中で、この過誤回避のディレンマを緩和するために適用される行政手法が変容してきたことを示し、現在は「分散化」戦略によって行政が自らの責任領域を縮小させる傾向にあることを論じている。 内閣法制局の審査資料なども参照し、我が国における予防接種行政の変遷を的確に跡づけ、そこから不確実性下の行政活動に関する鋭い理論的示唆を導出しており、説得力のある行政学研究であると感じた。 コロナ禍でのワクチン問題もあった中で、我が国の予防接種行政の歩みについても勉強になった。
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本書は、不確実性下での行政活動が、何を行政の「過誤」と定義するのかによって左右される側面を、予防接種行政の戦後史を後づけることで明らかにした一冊です。 著者は、以前レビューを書いた『行政改革と調整のシステム』の牧原ゼミ出身の若手研究者(77年生まれ)ですが、徹底した歴史分析とその...
本書は、不確実性下での行政活動が、何を行政の「過誤」と定義するのかによって左右される側面を、予防接種行政の戦後史を後づけることで明らかにした一冊です。 著者は、以前レビューを書いた『行政改革と調整のシステム』の牧原ゼミ出身の若手研究者(77年生まれ)ですが、徹底した歴史分析とその分析視角の特異性には、同書に通ずる面白さがありました。 著者は、行政の過誤の在り方を不作為過誤(するべきをしなかった)と作為過誤(しないべきをした)とに区別します。予防接種行政で言えば、前者は接種の遅れによって被害を生じさせた場合、後者は拙速な接種によって副作用をもたらした場合がそれです。この両者の回避は両立困難な関係にあり、その意味で行政は「過誤回避のディレンマ」を抱えていることを著者は指摘しています。そして、この過誤回避の方向性をを規定するのが、行政への帰責性の程度であり、責任分担体制の在り方ということになります。第1章以下では、この責任分担体制がどのように変容を迫られ、その結果行政がどちらの過誤回避に傾くに至ったのかが、詳細に後づけられていきます。 まず、GHQによって半ば強制された戦後の予防接種法は、集団・強制接種を基本としており、不作為過誤回避の志向性を有していたと言えます。この時期、副作用が発生した事例も、被接種者の特異体質や、ワクチン製造業者の業者責任として処理されることが多く、行政の作為過誤は「潜在的」です(第1章)。GHQが去った後でも、衛生状況が劇的な改善を見せたにもかかわらず、伝染予防調査会への科学的言説の一元化の中で、しばらくは市民の自発的服従を促す不作為過誤回避志向が継続していきます(第2章)。 しかし、70年前後を転機として、マスコミ報道の過熱、全国規模の被害者団体の活発化によって、予防接種の副作用が徐々に認知されていきます。76年には、被害者救済制度の創設などの予防接種法大幅改正が実現し、行政は副作用に対する救済責任を負うようになります。一方で、この時期はまだ、作為過誤は「不可避」のものとされ、行政の施策責任までは問われていません(第3章)。その後、90年代に入ると、副作用を「回避可能」なものと判断した92年東京高裁判決を経て、状況は変化していきます。94年には、科学的言説の多様化が生じた影響もあり、集団・強制体制から個別・勧奨体制への転換を示す予防接種法が再改正され、行政は次第に情報提供を主な役割としていき、その責任領域を縮小していきます。(第4章) 著者は、以上のような予防接種行政の変遷を、作為過誤の態様が「潜在的」「不可避」「回避可能」になっていくにつれ、行政の過誤への対応が「不可視化」「希釈化」「分散化」していった歴史としてまとめています。そして、当初は「社会防衛」を目的としてきたはずの予防接種行政が、個人に責任を転嫁する「分散化」戦略をとることの矛盾を指摘しつつ、本書を終えます。 以上が本書の要約になりますが、以下で簡単な感想を書き加えます。 第1に、「過誤回避」を行政職員の行動原理として位置づける本書のアプローチには、大変魅力を感じました。個人的に、「省益志向」を前提とする性悪説的なアプローチと、それの後押しを受ける昨今の人事制度改革等の行政改革には疑問を感じていました。両アプローチの関係は曖昧ですが、責任分担体制の適正化を通じた制度改革に直結する「過誤回避」アプローチの方が、より建設的であり、現実的であるように思います。 第2に、新自由主義的な行政改革の「行政の責任転嫁」的な側面はよく指摘されていますが、それを行政学的に裏付けた点に本書の価値があるように思います。さらには、この責任の「分散化」が、予防接種行政分野では本末転倒な事態を呼び起こしているという著者の指摘も興味深いです。著者は、この「分散化」傾向を政策領域横断的なものとしていますが、生活保護政策分野では行政の責任領域が拡大し始めているという論稿(原田久「生活保護政策における「過誤回避」・試論」季刊行政管理研究2010.12)もあるので、更なる横断的な研究が期待されます。 以上、長くなってしまいましたが、それだけ読み応えがある本でした。内容もさることながら、文章も丁寧で、かつそんなに難しい専門用語も出てこないのですらすら読めます。また、序章の書き出しが秀逸で引き込まれます。 政治学系に関心のある方には強くお勧めできる内容です。 そうでない方も、序章と終章だけでも読んでみると面白いかもしれません。
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手塚先生、よく調査されました。感動でむせび泣くレベル。科学技術行政の構造が本質的に内包するディレンマを予防接種行政を素材に膨大な文献や歴史資料を調査した上で再構成し、詳説している。できれば次作では2001年の法改正なども解きほぐして欲しい。現在、同僚みんなが読んでいます。予防接種...
手塚先生、よく調査されました。感動でむせび泣くレベル。科学技術行政の構造が本質的に内包するディレンマを予防接種行政を素材に膨大な文献や歴史資料を調査した上で再構成し、詳説している。できれば次作では2001年の法改正なども解きほぐして欲しい。現在、同僚みんなが読んでいます。予防接種に興味のある方、関係者は必読の文献である。
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