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戦争の世紀を超えて その場所で語られるべき戦争の記憶がある 集英社文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 集英社 |
発売年月日 | 2010/02/18 |
JAN | 9784087465341 |
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戦争の世紀を超えて
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ふつうの人がふつうに殺戮していた。 ポピュリズムの権化がナチス、ヒトラーが反ユダヤ主義を口にしたらあっというまに突出して世論の支持を得た。 欧州では、潜在的にユダヤ人はあまりいてほしくない、よき隣人でないと思っていたけれど、だからといって彼ら全員を殺してしまえという妄想は描かなか...
ふつうの人がふつうに殺戮していた。 ポピュリズムの権化がナチス、ヒトラーが反ユダヤ主義を口にしたらあっというまに突出して世論の支持を得た。 欧州では、潜在的にユダヤ人はあまりいてほしくない、よき隣人でないと思っていたけれど、だからといって彼ら全員を殺してしまえという妄想は描かなかった。 官僚主義的な組織によって、それを完遂した。 アウシュビッツでは、ガス室の隣にSSの食堂があった。
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政治学者の姜尚中と、映画監督の森達也の2人が、20世紀の戦争の記憶をたどる対談です。 「森さんは場に感応する方ですから」という姜の言葉で、戦争の痕跡を残す場所を訪ねながら対談するという本書の企画が始まったとのこと。2人が訪れた場所は、ナチスのホロコーストに協力したポーランドの村...
政治学者の姜尚中と、映画監督の森達也の2人が、20世紀の戦争の記憶をたどる対談です。 「森さんは場に感応する方ですから」という姜の言葉で、戦争の痕跡を残す場所を訪ねながら対談するという本書の企画が始まったとのこと。2人が訪れた場所は、ナチスのホロコーストに協力したポーランドの村・イエドヴァブネをはじめ、アウシュビッツ、デンクマール、市ヶ谷駐屯地、朝鮮半島の38度線、ソウルの戦争記念館、そして広島の平和記念公園など。 これらはいずれも、戦争という悲惨な過去をいまだ過去にすることができずにいる場所です。そうした場所に立ち、人類の歴史のトラウマにみずからの身体を置くことで、戦争の悲惨を観念的にもてあそぶような振舞いへの歯止めになるのではないでしょうか。 しかしながら同時に、それらの場所に立つことは、前へ歩み始めるスタート・ラインに立つということでもあるのではないかと思います。 そのように思ったのは、38度線の統一展望台で、目の前を流れるイムジン河を眺めながら2人が語った言葉を読んだときでした。姜が「河は浅そうですね」と語りかけ、それに対して森が「浅いですね。歩いて渡れると思いますよ」と応じます。それに続く姜の言葉は、次のようなものでした。「そこの坂道を駆け降りて、森さんと二人で大声を上げながら河を渡る気になればできますね。ここにいる観光客や兵士たちも後に続くかもしれない。統一など簡単です」。 終始重苦しさにつきまとわれている対談ですが、それと同時に、けっして希望がなくなってしまったわけではないということを強く感じました。
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現地に赴き、現地で思う。 人はよく知りもしないで(想像や固定概念や、自分勝手な妄想で)、戦争や他国や原発や震災被災者について、語りすぎる。姜尚中さんと森達也さんは、いろんな思いはあっても、事の起きた現場を訪ね、事について語り合った。 現地に行かなければわからない肌感覚や視点が、非...
現地に赴き、現地で思う。 人はよく知りもしないで(想像や固定概念や、自分勝手な妄想で)、戦争や他国や原発や震災被災者について、語りすぎる。姜尚中さんと森達也さんは、いろんな思いはあっても、事の起きた現場を訪ね、事について語り合った。 現地に行かなければわからない肌感覚や視点が、非常に繊細に語られ、事の良し悪しではない、人間の本質について語り合った本と言える。 人間はなぜ他者(人間)に敵意を抱くのか。そのことについて、昨年、一昨年からずっと考えてきた。 この本からも、その探求の一端を得ることができた気がする。
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