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光さす故郷へ

朝比奈あすか(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 マガジンハウス
発売年月日 2000/07/19
JAN 9784838711895

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商品レビュー

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2016/01/20
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※このレビューにはネタバレを含みます

第二次世界大戦でその戦争に翻弄されたよしと寅雄の体験した戦争。 満州国に渡り、戦争という悲劇の中に放り込まれた二人。 数百万人という犠牲者を出した中の二人の戦争の体験を親戚の娘である著者がその話を聞いて書き起こした一冊。 にこやかに暮らすよしばあちゃんの生きた時代の話を親戚の出会いで惹かれ、泊まり話を聞いたことがこの本のスタートだが、読み進むうちに満州で夢と希望を国家から吹聴され日本人たちがその地へ向かい、戦争という中で国家から見捨てられ信じられないような悲劇を繰り返しながら中国大陸で命を落としたり、そのまま日本に帰ることがかなわず中国に留まったり、中国人として託された日本の子どもであったり、血のにじむ思いをして何とか日本にたどり着いたよしさんのような人であったりと日本が負けたと言うだけの歴史ではなく、この本のように、生きた人や死んだ人などそれだけの人の数ほどの数百万人の悲劇がそれぞれにあったのだと戦争の悲劇をこの本はよしと寅雄の話をよしから聞き取った形で書き下ろされている。 国と国の一対一の戦争ではなく死んでいった数百万の人たちの悲劇や無念が実はこの戦争の裏にはあった。 そして戦争というものがこういうものであり、悲劇しか生まず、もう二度とこういう世界にはしてはいけないのだとこの本を読んで再認識する。 戦争をするのは国家だがその中で苦しめられ悲劇に見舞われ大切な子どもや愛する人を失うのは国民一人ひとりで、それは今生きている全ての人々の上に降りかかる。 戦争は絶対に許せないと思える一冊で、ぜひ読んでもらいたいと思った。

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2015/05/06

著者の大伯母のノンフィクション。これほど壮絶な戦争体験を僕は知らない。 戦争には悲劇しかない。腕にウジがうごめきながら死んでいく14歳の少年。亡くなったお母さんの側を離れない5歳の男の子を一人置き去りにする。人前で堂々と日本の若い女を連れ去るソ連の兵士。我が娘が川に流されていくの...

著者の大伯母のノンフィクション。これほど壮絶な戦争体験を僕は知らない。 戦争には悲劇しかない。腕にウジがうごめきながら死んでいく14歳の少年。亡くなったお母さんの側を離れない5歳の男の子を一人置き去りにする。人前で堂々と日本の若い女を連れ去るソ連の兵士。我が娘が川に流されていくのをただ見ている。乳すら飲むことができずに静かに息を引き取る娘をただ看取る。他にも語られることのなかった無数の悲劇、無念があるのだろう。 しかしどんな状況でも神のような人がいることに驚かされる。もうあと一歩も下がれないという時にその人は現れる。腕の中で亡くなった娘も故郷に母を導こうとした神なのだと思った。 今の日本の平和がこの時代を生き亡くなった方々の犠牲の上に立っていることを忘れないことと、この先も永遠に日本と周辺諸国の平和を守ることが我々の役割なのだと。

Posted by ブクログ

2011/11/25

『憂鬱なハスビーン』の著者の、なにか別の作品を読んでみようと借りてきた本。小説なのかと思っていたら、著者の大伯母さんの話だった。結婚して満州へ渡り、ソ連参戦後に命からがら故郷へ帰りついた、よしの話。 もうあと少しで本土という夜に、よしが命をわけた娘の初代は死ぬ。2歳と半年だっ...

『憂鬱なハスビーン』の著者の、なにか別の作品を読んでみようと借りてきた本。小説なのかと思っていたら、著者の大伯母さんの話だった。結婚して満州へ渡り、ソ連参戦後に命からがら故郷へ帰りついた、よしの話。 もうあと少しで本土という夜に、よしが命をわけた娘の初代は死ぬ。2歳と半年だった。よしが満州から故郷へ向かうあいだにも、行きだおれ、命をおとした女こどもが幾人もいた。 帰還船のなかで子どもを亡くし、しかし海に葬ることを拒んで、子どもの亡骸とともに下船した若い母親が、よしのほかに3人いたという。港町から少し離れたところにある火葬場で、母親たちは自分に言い聞かせるように声をかけあう。 「ねぇ、みなさん、辛いけど、強く生きていきましょうね」 「本当に辛いけど、それでも私らは生き延びた。これからだって生きていかなきゃならないんだよ」 「そうね、この子たちの分も、うちたちが必死で生きんとね」 「がんばりましょうよ、ね」 松崎運之助さんが、よしと同じように子どもを亡くして帰ってきた母から、毎年の誕生日に聞かされたという話を思い出す。「おまえの命のうしろには、無念な思いで死んでいったたくさんの命がつながっとるとよ」と、松崎さんの母は繰りかえし運之助さんに伝えたという(『母からの贈りもの』)。 よしを満州へ渡らせた夫の寅男は、ウランバートルの捕虜収容所で死亡していたことが、ずっとあとに知らされた。「暁に祈る」で悪名高い吉村隊にいたのだという。 80になろうという大伯母は、自分の半生を、22歳の著者に一晩中話しつづけた。そもそもは、40で再婚したというこの大伯母に「じゃあ前の旦那さんとはどうして別れちゃったの、子供はどうしたの」という不躾な質問を、好奇心のおもむくまま投げかけたことから、この大伯母の思い出話は始まったのだった。 「私には、帰りたいと思える場所、守りたいと思える人がいた。それはね、本当に幸せなことだったと思うわ」と、よしは振り返る。ただひたすら故郷が恋しく、命を懸けても帰りたかった。 ▼この国が、未来の子供たちにとって、帰りたいと思える場所であれば良い。そして、守りたいもののために抱く情熱の矛先が、決して自分たちの辿った過ちと同じ方向へゆかないように。  よしは強くそう思う。(p.211) ほとんど一気に読み終える。 ※『We』148号でも、誕生日に聞く母の話について松崎さんは語っている。 【インタビュー】松崎運之助さん 路地裏の豊かさ http://femixwe.cart.fc2.com/ca12/12/p-r12-s/  (在庫あり、1冊800円+送料) (11/21了)

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