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天才 勝新太郎 文春新書
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天才 勝新太郎 文春新書

春日太一【著】

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天才 勝新太郎 文春新書

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 文藝春秋
発売年月日 2010/01/20
JAN 9784166607358

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天才 勝新太郎

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商品レビュー

4.2

39件のお客様レビュー

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2024/10/18

99%の汗と1%のひらめき…。

2024年10月読了。

読後、心から感動し泣いてしまった。こんなに偉大な役者が居たと云うこと、人並み以上の苦労や心労を他人には絶対に見せずに努力し続ける姿勢(それを隠す為に露悪ぶる可愛さ)、そしてこんなに心の優しい、シャイで我儘な天才の存在が、どんどん人々の記憶から...

2024年10月読了。

読後、心から感動し泣いてしまった。こんなに偉大な役者が居たと云うこと、人並み以上の苦労や心労を他人には絶対に見せずに努力し続ける姿勢(それを隠す為に露悪ぶる可愛さ)、そしてこんなに心の優しい、シャイで我儘な天才の存在が、どんどん人々の記憶から忘れ去られていくと云うことに…。

本書内で書かれてはいなかったが、『影武者』の撮影時、黒澤がカットを掛けて「違うよー、勝っちゃん」と言うと、彼は「俺は『武田信玄公』なんだよ、《勝っちゃん》じゃない!」と言い返したと云うエピソードを、昔聞いたことがある。私自身、『黒澤明ヲタク』を自認しているが、それでもあの作品は正直《駄作》と言わざるを得ない作品だと思う。しかし、万が一主演が勝新のままであったならば何らかの《化学反応》が起きて、もっと面白い作品に成っていたかも知れない。
こと映画の事となると≪まるで子供≫に戻ってしまう、二人の天才の些細な行き違いで、私達は『傑作』を一本見逃したのではないかとも感じる。

天才といえばもう一人、(昔々の)北野武が初めて勝新と会った時のことを嬉々として喋っていたのを思い出した。「オメェのところの弟子に『負古太郎』ってのが居るんだって?全く面白れぇ事を考え付くもんだな、アンタは。」と愉しそうに笑ってくれた、と。

黒澤明との対談でも、面白可笑しく「自分だったらこんな『座頭市』を作って笑わせたい」とコントのようなネタ話を話し、黒澤も「僕みたいな人間は全然そっち(コメディ)の方は駄目だから、アナタがそう云うのドンドン作ってよ」と笑いながら話していた、そしてその数十年後に武が本当に作った時には驚いた。出来も『北野武版』として観れば充分に佳作だった。

例のパンツ事件の後に、武が「あの人には(行政罰として)公民権(=選挙権等)を永久に剥奪した上で、その代わり映画だけはずっと作っていても良い、と云うような≪超法規的措置≫を国(政府)が考えてほしい。そうしないと、日本の映画文化にとって、多大な損失を被る事に成る」と、笑いながらも真面目に話していた事もあった。

…と話が大分逸れたが、とにかく≪勝新の偉大さ≫を日本の文化人はもっと称えるべきだし、『愛嬌のあるトラブルメーカーな昔の役者』程度で片付けてほしくない。これが本心である。何があったにせよ、彼の作品はもっと広く公開されるべきだ。
『○くら』と云う言葉だけで、《差別を助長する恐れのある放送禁止用語》だから放送出来ないとか、『兵隊やくざ』はそれ自体が《軍国主義的だからNG》等と言うのは、上っ面だけで中身の無い『茶番』以外の何物でも無い。それを差し置いて政府が語る「海外へも発信すべき日本の文化…」などの戯言を聞くと《お里が知れる思い》で恥ずかしい。
彼の作品こそ、国内どころか世界中に再発信してほしい。それだけの価値のある《役者》なのだ。このまま作品が埋もれていくのは如何にも惜しい。
何とかならないのだろうか、京都へ移った『文化庁』さん?

左衛門佐

2024/07/03

稀代の映画俳優、勝新太郎の映像制作におけるこだわりや周囲のスタッフへの対応が様々な年代を通して記される。彼の代名詞、座頭市に対する愚直な演出は時に他の製作スタッフの諍いもあるが、そこに映画スターの我儘でなく座頭市と向き合う上で譲れない信条が露わになる。その姿勢に感嘆するも当時の製...

稀代の映画俳優、勝新太郎の映像制作におけるこだわりや周囲のスタッフへの対応が様々な年代を通して記される。彼の代名詞、座頭市に対する愚直な演出は時に他の製作スタッフの諍いもあるが、そこに映画スターの我儘でなく座頭市と向き合う上で譲れない信条が露わになる。その姿勢に感嘆するも当時の製作現場の衝突は必ずしもポジティブな結果を残しているとは限らない。しかし彼を慕うスタッフも少なからず存在したことは事実であり、彼の魅力もそこに宿っていると確信する。やはり名映画人なのだ。

Posted by ブクログ

2021/02/03

 古今東西のシネアストの中で、最も妥協なく映画制作に臨んだのはチャップリンという見解がある。本書を読む限り、勝新太郎も負けていない。  出演交渉を断ったのだから、カツシン版『戦場のメリークリスマス』は夢の夢として、カツシン版『影武者』ならフィルムが何尺か残っている気がする。いつか...

 古今東西のシネアストの中で、最も妥協なく映画制作に臨んだのはチャップリンという見解がある。本書を読む限り、勝新太郎も負けていない。  出演交渉を断ったのだから、カツシン版『戦場のメリークリスマス』は夢の夢として、カツシン版『影武者』ならフィルムが何尺か残っている気がする。いつか観られる日に期待したい。  ブルース・リーとの共演が流れたのは惜しまれる。『ドラゴン怒りの鉄拳』を観た勝の感想は「紙芝居みたいな映画だな」だと聞き及んでいたが、本書によれば「これはマンガだよ」  マンガといえば、私の中では手塚治虫『火の鳥 鳳凰編』映画化の際、我王は勝新太郎が演じるべき、という想いがある。  

Posted by ブクログ

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