タトゥー・セラピー

ウダPAOマサアキ【著】

• 販売会社／発売会社: 東京キララ社/河出書房新社
• 発売年月日: 2009/12/17
• JAN: 9784309908618

商品レビュー

2020/12/19

刺青彫師による自身の半生記と、自分が彫った作品（写真あり）の解説をその時のエピソードを交えて記した本。

以前写真家のヨシダナギ氏の刺青を間近で見る機会に恵まれ、その美しさに魅了された事があった。以来、刺青あるいはタトゥーのことが気になり始め、その技法や絵柄などに興味を持っていたところに本書と偶然にも出会った。

著者は依頼者の希望を聞き、話し合いを重ねたうえで自身で下絵を描き、それを依頼者の体に彫っていくというスタイル。その時のエピソードと完成した作品の解説が本書の主たる内容。まだまだ刺青への拒絶感が強い世の中で確固たる意志を持って刺青を彫ろうとする人も少なからずいることが本書を読んでわかった。

印象的な言葉としては著者の、「刺青を彫っただけではなにも変わらない。～大切なのは、彫った絵を見て、その思いを継続させること。それがない限り、絶対に変われないよね。」という発言。

確かに刺青を入れれば一時的な気分の高揚はあるだろうけど、次第にそれも慣れて薄れてしまう一方、刺青は薄れないまま一生残り、それを入れていることが知られれば何らかの不利益を被るかもしれないリスクは継続することを考えれば、著者の上記の発言は非常に刺青の本質を突いているのでは、と感じた。

私も仕事を完全引退したら肩口に何かタトゥー入れてみたいかも、などとうすぼんやりと思っていたが、著者の上記発言を読んで、そこまでの覚悟が自分にはあるのか？と自問するとはなはだ心もとない答えしかなかった・・・。

あと、本文とは直接関係ないが、カバー絵と本書カバー絵を漫画家の真鍋昌平（代表作「闇金ウシジマくん」）が描いているも印象的。

2013/01/01

自身が彫った刺青を取りあげ、そこにいかなる意味があるかを語り明かし、おそらく邪馬台国の住民並に刺青がはびこる今日この頃の風潮に一石を投じる作品。