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メアリー・シェリー研究 『フランケンシュタイン』作家の全体像
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メアリー・シェリー研究 『フランケンシュタイン』作家の全体像

木村晶子【編】

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メアリー・シェリー研究 『フランケンシュタイン』作家の全体像

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 鳳書房
発売年月日 2009/12/15
JAN 9784902455236

メアリー・シェリー研究

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2017/12/30

メアリー・シェリー(1797- 1851)はイギリスの小説家である。詩人パーシー・ビッシュ・シェリーの妻にして、ゴシック小説であり初のSF小説とも目される『フランケンシュタイン』の作者でもある。 メアリーは19歳のとき一種問題作である『フランケンシュタイン』(1818)を執筆する...

メアリー・シェリー(1797- 1851)はイギリスの小説家である。詩人パーシー・ビッシュ・シェリーの妻にして、ゴシック小説であり初のSF小説とも目される『フランケンシュタイン』の作者でもある。 メアリーは19歳のとき一種問題作である『フランケンシュタイン』(1818)を執筆する。 二度ほど改訂を加えつつ版を重ね、現在流布している版は、1831年版である。 父親は無政府主義の思想家ウィリアム・ゴドウィン、母親はフェミニズムの先駆者メアリー・ウルストンクラフトという、当時としては「翔んでる」カップルの間に間に生を受けた。母は産褥熱で死亡、父の再婚相手とは馴染めず、いささか淋しい少女時代を送る。 長じて、ロマン派詩人の旗手であるパーシーと知り合い、妻帯者である彼と熱愛関係となるが、これに父のウィリアムが激怒。駆け落ち同然に国を離れ、のち、パーシーの妻の自殺後に結婚する。 欧州各地を転々とする生活の合間に子供をもうけては夭折させ、その最中に書かれたのが『フランケンシュタイン』となる。 本書はメアリーの人生と著作を複数の日本人研究者が多角的に考察したものである。 メアリー自身の著作として、現在も一般に読み継がれているのは『フランケンシュタイン』のみだろうが、本書では、その他の著作も取り上げられており、梗概と併せて解説も加えられていてなかなか興味深い。 『フランケンシュタイン』に興味を持つことはあっても、メアリー・シェリー自身の研究となると、あまりメジャーとは言えないだろうが、門外漢が読んでもかなりおもしろく読めたのは、メアリーが生きた19世紀という時代のせいかもしれない。 激動の時代、価値観の軸も立てにくい。 「進歩的」なはずの父からは、いわば情熱的な愛にダメ出しをされた形だが、実のところパーシーは控えめに言っても生活力のあるタイプではなく、娘の婿として一般的に望ましいタイプとは言えなかった。夢想家で変わり者、情熱的で鋭利な頭脳を持つとはいえ、子供が体調を崩しても父である自分の精神状態の方が大切というような「困ったくん」である。 とはいえ、父も経済的に豊かではなく、貴族階級のパーシーの財産にまったく関心がなかったわけでもない。 詰まるところ、「理想」と「現実」、「芸術」と「生活」の間にはかなりの隔たりがあったのだ。 そんな中、夫の実家との軋轢、実父との愛憎、幼子や夫のパーシー、友人との死別を乗り越え、メアリーがどういった作品を構想し、執筆していったかを通じて、ヴィクトリア朝前夜の不安な時代を渡っていく1人の女性の、控えめではあるが意外にしたたかな航跡が見えるようでもある。 歴史上の人物に材を取りつつ、架空のロマンスを重ねた作品、終末論を取り入れ、人類最後の1人となってしまう人物を描くSF的作品、家庭内の出来事に軸を据え、父と娘の精神的近親相姦を描き出す作品、と、その振れ幅は意外に広い。 現代の感覚でも鑑賞に堪えるかどうかはまた別にして、女性の身で作家として生きることがそう簡単でなかった時代、メアリーがどういった題材を選んでいったのか、その背景はなんだったのかが執筆者諸氏の検討から透けて見えてくる。 メアリーは1831年版の前書きで、I bid my hideous progeny go forth and prosper.(「私は醜い我が子を世に送り出し、幸運を祈る」)と述べている。 『フランケンシュタイン』の執筆には、夫パーシーの助言も多く取り入れられており、夫の才能に惚れこんでいたメアリーには、この処女作はそれこそ、2人の間の子供のようなものであったろう。いささかいびつであり、最後には、縹渺たる雪原のみが残るような、ある種、救いのない物語だが、異様な勢いがあることは否めない。 この作品で「怪物」を生み出したのは、「科学」なのかどうかについてはもう少し考えてみたいと思っているのだが、変わりゆく時代の不安を描き出したものとして、やはりマイルストーン的な作品ではあるのだろうと思う。

Posted by ブクログ

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