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ラフカディオ・ハーンの耳 同時代ライブラリー340
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 1998/04/18 |
JAN | 9784002603407 |
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ラフカディオ・ハーンの耳
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ラフカディオ・ハーンが伝統的な日本文化を受容した態度を、「耳」や「聴覚」といったテーマにそくして考察している本です。 ハーンは、松江市近郊の被差別部落で聴いた口承文芸に多大な関心を示していました。彼は、日本における部落差別の存在についても知識をもっており、社会的マイノリティのも...
ラフカディオ・ハーンが伝統的な日本文化を受容した態度を、「耳」や「聴覚」といったテーマにそくして考察している本です。 ハーンは、松江市近郊の被差別部落で聴いた口承文芸に多大な関心を示していました。彼は、日本における部落差別の存在についても知識をもっており、社会的マイノリティのもとではぐくまれた芸能が近代化の進展しつつある日本からやがてうしなわれてしまうことを悼む気持ちから、その芸術性を理解したいと考えていたのです。ここには、西洋近代の文化圏からやってきて非西洋の伝統文化を理解しようとしたハーンが、聴覚を通してアプローチを試みていたことが示されています。 けっきょくハーンは、松江で触れることになった口承文芸のなかから高度な芸術性をつかみとる企図を放棄してしまいますが、ここに現われているモティーフが、かたちを変えてさまざまなしかたでハーンの活動のなかに見られることを、著者は明らかにします。そのうえで、『耳なし芳一』においてこの主題が文学的な結晶化を実現していることを示そうとしています。 とりわけ、森鴎外との比較をおこなっている論考は興味深く読みました。日本の近代化の最前線に立つ鴎外は『舞姫』において、ドイツの貧民街に暮らす少女に魅かれるも、やがてそこでの生活に終止符を打ち、エリートとしての人生をあゆんでいきます。他方エリスは、鴎外との別れのあと「癲狂院」に送られます。著者はこうした鴎外のたどった道とハーンの足跡を対照的にえがき出しています。
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