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現代姥捨考 同時代ライブラリー291
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現代姥捨考 同時代ライブラリー291

新藤兼人(著者)

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現代姥捨考 同時代ライブラリー291

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 岩波書店
発売年月日 1997/01/17
JAN 9784002602912

現代姥捨考

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2013/10/27

映画監督・新藤 兼人は、 2012年(平成24年)5月29日に100歳で没した。この本は、新藤が亡くなる16年前、1996年に書かれた。後半生の伴侶となった乙羽信子が『午後の遺言状』の撮影を終えた1994年12月に亡くなった後、一人ぼっちになって「老人になった私」「老人とは何か」...

映画監督・新藤 兼人は、 2012年(平成24年)5月29日に100歳で没した。この本は、新藤が亡くなる16年前、1996年に書かれた。後半生の伴侶となった乙羽信子が『午後の遺言状』の撮影を終えた1994年12月に亡くなった後、一人ぼっちになって「老人になった私」「老人とは何か」「黒ネコの死」という掌編とともに深沢七郎の『楢山節考』をなぞりながら、現代の姥捨てを描く『現代姥捨考』が置かれている。 新藤はシナリオ書きらしい技法で、それぞれの編を進めている。神様と新藤本人の問答風のやり取りを文中に散りばめている。これが独特の風合いを醸している。『姥捨考』では、恐らくは深沢の節考のかなりの部分を引きながら、そこに様々な「老い」とその周辺を描いている。そのひとつは、執筆当時に起きた一つの老人と、その息子の餓死するまでの日記を引いて、都会の中の老人問題を抉っている。 新藤は、深澤が『節考』を1956年11月号で中央公論新人賞として発表した直後から、これを映画化することを検討した経緯があるらしい。後に木下恵介監督が田中絹代で、さらに今村昌平監督によって再映画化されている。新藤がこれを断念した段で、企画を検討した近代映画協会のK氏に こういったそうだ。「わたしは、とても、わたしのお母さんを背負って山へは登れない」と。これに対してK氏は「姥捨ては人類が生存してきた最大のチエだ」といい、「おれも、役に立たなくなったら、お山に捨ててもらいたい。辛いだろうけれどね」と。 『節考』の母親を捨てて帰る道で、雪が降ってくる。母親が日頃から、山に登る日のこととして予言していた通りの雪だった。息子は、雪を見て母親を捨てた山の頂へと走って戻る。そんな場面への話は、やはり新藤のシナリオ作家としての描写の冴えをも思わせた。

Posted by ブクログ